メディア・報道

「なぜ助けない?」東日本豪雨報道に見る報道の使命とは

わんこ

撮影している余裕があるなら救助しろ

濁流から逃れようとする犬

先日、日本全土を襲った台風による被害は、予想以上に甚大でした。

関東近辺では栃木県、茨城県などで河川が氾濫し、自衛隊や消防による救助活動が連日テレビでも報道され、いまさらながら自然災害の恐ろしさを実感させられましたね。

このなかでひとつ気になったことがあります。

今にも濁流に呑まれそうになっている犬の映像がテレビで放映されたのですが

「撮影している余裕があるのなら、なぜ助けないのか」


という意見がツイッターなどで複数投稿されていたのです。

今回はこの意見について考えてみたいと思います。

まず、筆者は

「なぜ助けないのか」

という意見には反論があります。

これは筆者が以前報道に関わっていたという背景が影響しているためであり、だからこれから述べることは、一般的に通用する意見だとは思っていません。

また「犬なんて見殺しにしてもかまわない」と主張したいわけではありませんので、理解のうえ、おつきあいください。(筆者も愛犬家のひとりです)



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報道とは何か

いきなり堅いサブタイトルですが、要は報道の目的は何であるのかということです。

今回でいえば、被災地の現状を伝えるのが目的です。

河川が氾濫し、近隣の住民は生命の危険にさらされている。

それを視聴者に伝えなければ、カメラを持って現地に向かう意味がありません。

そのような使命を持って現地に赴き、撮影したのが、先の

「濁流に呑まれそうな犬」

の映像です。

それをみた視聴者が、

「ただカメラを向けるだけなのか? 命が危険にさらされているというのに助けないというのか?」


という疑問を持つのも仕方がないと思いますが、ここで考えてもらいたいのが、危険な目に遭っているのは撮影している取材クルーも同じだということです。

現状を伝えるためには、現地に行かなければなりません。

取材クルーも命を危険にさらしていると言ってはちょっと贔屓目が過ぎるでしょうか?

そこまでしてクルーが伝えたかったものは何なのでしょう。くりかえしになりますが、それは

「被災地の現状」

です。

「ハゲワシと少女」

話は変わりますが、みなさんは

「ピューリッツアー賞」

をご存じでしょうか?

優れた報道、文学、作曲等に与えられる賞なのですが特に報道部門が有名です。

1993年にケビン・カーターという南アフリカの報道写真家が、当時内戦が続いていたスーダンで撮影した写真が評価されこの賞を受賞しました。

「ハゲワシと少女」

という写真です。

これはとてもショッキングなヴィジョンなのであえてリンクは張りません。興味のある方は検索してください。

詳細な解説は避けますが、飢饉のため、痛々しいぐらいやせ細ってしまった少女がうずくまっており、その背後にハゲワシがいるというものです。

まるで少女が死ぬのをハゲワシが待っているようにも見えます。

そして「ピューリッツアー賞」の受賞者であるにも関わらず、ケビン・カーターはバッシングを受けることになるのです。

その理由は、

「なぜ、少女を助けなかったのか」


というものでした。

その結果彼は授賞式から2ヶ月後に自殺してしまいます。

後日、周囲の証言からバッシングを受けたことが直接の原因ではないとされていますが、当時この写真をめぐって

「報道か人道か」

という論争が展開されました。

伝えることが報道の使命

助けたかもしれないし、他の方法もあったかもしれない

東日本豪雨の報道のはなしに戻りますが、もしかしたら撮影した後、クルーが犬を救助したかもしれません。

あるいは、他の方法で被災地の現状を伝えることだって可能なはずでした。

たとえば犬を救助するクルーの様子をそのまま撮影する、などの方法です。

いずれにしても、

「なぜ、救助しないのか」

と考えた人たちは、なぜクルーは被災地に向かったのかということを少しだけ考えてみても良いと筆者は思います。

現地では様々な人たちが活動していました。

そのなかで撮影クルーたちは

「この現状を多くの人に伝えること」

を使命として行動し、その結果が放映された映像なのです。

そして伝えるためには「徹しなければならない」時もきっとあると思うのです。

まさケロンのひとこと

現状を多くの人に伝えることで、人はいろんなことを感じたり、思ったり、今後に活かしていく。これがまた人から人へと伝えられていって、「ずっと残るものになる」って考えたらとても大事なことだと思うんだ。

masakeron-normal


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筆者情報

言祝(kotoho)

映画オタク。日課は読書。最近は料理にハマっています。座右の銘は「好奇心を失ったら、そこで終わり」