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小顔を目指して努力する人へ・危険な矯正にご注意ください

Written by すずき大和

世の中いろいろなシェイプアップが、時代の色を繁栄して流行ったり廃れたりしてきました。ここ最近、商戦的に売れ筋なのが、「小顔」というキーワードです。

腫れぼったくたるんだ顔をすっきりと引き締める、という主旨のシェイプアップですが、中には頭部のサイズそのものを骨格から小さくすることを目指すものもあります。

頭蓋骨のサイズなんて、そうそう縮められるものでもないのですが、頬骨だけ、顎だけひっこめて顔の形を変える、ということを謳うものまであります。

当然、中にはかなりインチキ臭いものもあり、消費者庁などには、それらのサービスを受けた結果、健康被害にも及んでしまったという報告が複数寄せられています。



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小顔になるしくみ

一度で顔がすっきり小さくなるのは、むくみを取っているだけ

誰でも朝起きだばかりは、顔全体がややむくみ気味で、まぶたもはれぼったい感じになっています。それは、寝ていると心臓と顔の高さがあまり変わらないので、頭部に水分がたっぷり行きわたっているせいです。

起きた姿勢では、頭が上になるので、少しずつ水分が下に下がり、日中は自然にむくみが引きます。水分量は容易に変化し、顔のサイズは伸縮しています。

適切なマッサージを行うと、水分を他の部分に分散できるので、一時的にむくみが取れます。エステなどで顔痩せマッサージで瞬時に効果が出るものは、この「むくみ解消」による成果です。よくあるコロコロローラータイプの器具も、そのための商品です。

ただ、分散した水分は、同じような姿勢で同じような生活をしていれば、またもとに戻ってきますので、定期的にマメにマッサージしつづけないと、効果が保てません。

太っている人が顔だけ痩せることはない

いわゆるおデブちゃんは、顔も肉付きがよく、首まで脂肪がついてくると二重顎になってきます。これはもう、痩せることでしか解消できません。ただし、食事制限や運動によって消耗するからだの脂肪は、まず胴体部分から減ります。

ちょっとダイエット始めると、ウエストサイズにすぐ効果が表れるのはそのためです。お腹やお尻、背中や肩などの皮下脂肪がある程度取れてくると、次に手足が痩せ、顔の脂肪が落ちるのは一番最後です。

顔の表情を作る筋肉を鍛えると、顔全体の血行が良くなり、新陳代謝も活発にはなりますが、皮下脂肪を減らせるほど顔に筋肉がいっぱいつくことはありません。

何かを口にくわえるとか表情を動かすエクササイズで即顔痩せ効果を感じたら、それも、血行が良くなったことにより、むくみが解消された表れです。

太ってパンパンの顔を痩せさせたかったら、全体的に痩せる努力を地道に続けるしかありません。顔の皮下脂肪だけが消耗される「顔痩せ」のしくみはありません。

頭蓋骨をグイグイ押し込んでも小顔にはならない

頭蓋骨サイズを変えることの危険

頭蓋骨のサイズを力の圧迫によって小さくすることはできません。できたとしても、そんなことをしたら、命に関わり危険です。

生まれて来る時狭い産道を通るために、赤ちゃんの頭蓋骨は、いくつかのパーツに分かれ、互いに少しずつ隙間があります。しかし、成長するにつれ、その隙間(骨の継ぎ目)はしっかりと埋まり、骨の内側をがっちり守るようになります。

頭蓋骨の中には脳があり、脳は三重の膜に覆われて脳脊髄液に浸っています。脳が安全に活動するためには、一定の圧力で安定した環境が必要です。そのために、硬い頭蓋骨で内部の形と容量が簡単に変化しないよう守っているのです。

外から骨をグイグイ押し込んで頭蓋骨内の容量を変えてしまうと、脳にかかる圧力が高まる危険があります。

脳に負担がかかると、

  • めまい
  • 吐き気
  • うつ病
  • 自律神経失調症
  • パニック障害

などの症状が表れます。実際小顔矯正した影響と思われる、そうゆう事例が多く報告されています。

骨の圧迫では小顔にならない

仮に頭蓋骨内容量を圧縮しないように、骨を圧迫したとしても、それで顔のバランスが歪むことはあっても、顔の長さや幅が数センチ単位で目に見えて小さくなるわけがありません。

骨の構造的に、頬骨だけひっこめるなどそもそも不可能です。顎の骨の位置を整える矯正はできますが、幅を細くすることはできません。

「大人になると頭蓋骨の骨の間の隙間が広がって顔が大きくなる。矯正はそれを戻すこと」

という説明をしている美容クリニックなどありますが、それは真っ赤な嘘です。

大人になってもまだ多少の伸縮箇所があったとしても、それは脳の圧力を調整するためにある遊び部分ですから、矯正でくっつけてしまうことは危険です。

脳に外側から圧力をかけるということは、下手をすると重い障害や死亡に至る影響が出るくらい危険なことです。これらのことは、ちゃんと医師免許を持っている人には容易に判断できるので、お医者さんが頭蓋骨矯正など絶対にやりません。

実際に矯正を行っているのは、整体師と呼ばれる人たちですが、そんな国家資格はなく、誰でも「私は整体師です」と名乗ればなってしまえる肩書です。

正しい情報、正しい判断で被害を防ごう

減らない危険な矯正

2013年、消費者庁が悪質な宣伝をしていた業者を厳重注意するニュースが流れました。

「頭蓋骨のつなぎ目を詰めると小顔になる」

「えらの骨や頬骨に力を加えると内側に入る」

「一度の施術で効果が継続」

という主旨の宣伝をした業者に、計測データなどを提出させたけれど、合理的根拠が発見できなかった、ときっぱりと宣言しました。

ちなみに、指摘された業者では、1回の施術で20万円以上請求され、一年間の売り上げが2億円を超えていたそうです。

それ以後、あからさまな宣伝文句は減っていきましたが、ちょっと言い方を変えた説明手法で、痛みを感じるほどのグイグイ押し込む矯正術を売り込む業者は、未だに耐えません。そして、頭痛や吐き気やうつ病になってしまう人も、後から後から出てきています。

嘘の宣伝に引っかからないようにしよう

国などの摘発が追いつかないせいもありますが、怪しい矯正クリニック等が減らない一番の理由は、そんな業者を喜んで利用して大金を払う人が一向に減らないためです。

痛かったりしんどかったりするほうが、なんとなく効果があるような気持ちになってしまう人も少なくないそうで、安全に痛くないマッサージしかしない小顔エステでは不安になる人もいるのだとか・・・。

最近は小顔マッサージと小顔矯正をセットでやっているところも多く、マッサージによるむくみとり効果を小顔矯正効果だと思い込ませる手法も多く見られます。

むくみの取れたしゃっきりした顔にすることは、美的効果も上がるでしょう。しかし、頭部の長さや幅が、たかだか数ミリメートル縮むかどうかで、見た目の美しさなんて全然変わりません。そもそも顔が大きいことを恥ずかしいことだと気にする文化は日本と韓国にしかないそうです。

自分磨きにお金と時間をかけて、逆に健康を損ねたり、結局自信を持つことに繋がらなかったら意味がありません。どうか、宣伝文句をすぐ鵜呑みにせず、情報の信憑性について判断する慎重さを持ってください。

まさケロンのひとこと

足つぼマッサージじゃないんだから、あんまり痛かったりしんどかったりするのがカラダにいいわけないんだよね。むくみをとれば十分!

masakeron-happy


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。