神社仏閣

縁日好きですか?露店の商品の移り変わりに見る世相

縁日の祭り
Written by すずき大和

11月といえば、お酉さまの季節ですね。これを書いている年は三の酉まであるカレンダーでした。お祭好きなので、先日、早速近所でやっている一の酉に出かけてきました。

熊手を売っている所は、平日にも関わらず、既にものすごい行列で入れそうになかったので、縁日だけ一通り冷やかして帰ってきました。

不謹慎に聞こえるかもしれませんが、私は神様や神事にはそれほど興味がなく、初詣以外の時は、お参りはしません。でも、縁日を見て回るのが好き、という祭好きです。

しかも、どんなに大規模な祭でも、エリア中のテキ屋さん屋台をとにかく隅々まで見て回らないと気が済まないくらいの「縁日フェチ」なんです。



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露店なんて、どこも似たようなもん、じゃないです

東京の祭の露店チェック

神事の形式は祭によって様々なものがありますが、露店が参道や境内にずらっと並ぶ「縁日」の光景は、盆踊りでも、初詣でも、お酉さまでも、山車や御輿渡御の祭でも・・・・ほぼ共通して見られる風物詩です。

また、神事祭事でない、自治会や商店街主催の町おこし系お祭でも、テキ屋さんの屋台が並ぶ一角があることは多いです。

私は東京に生まれ育ちました。東京は、とても神社仏閣の多い地域です。都内の大きな自治体では、自転車で15分程の範囲だけで、20ヶ所以上の神社仏閣及びその祭があることが珍しくありません。

毎月縁日の立つ神社もあるし、連日何十万人もの人出がある巨大規模の祭もあります。ちょっと足を伸ばせば、夏祭・盆踊り・秋祭・初詣・・・と、年がら年中祭を楽しめます。

三社祭や、初詣時季の明治神宮、池上本門寺の御会式、浅草鷲神社のお酉さまなど、広域にわたって路肩に露店が並ぶ大規模のお祭になると、露店を全部見て回るのに、それだけで3、4時間かかります。

どこも同じような光景に見えて、扱っている商品やお客さんの動向にも、微妙な流行りすたりがあったり、地域による特徴があったりします。買わずに見ているだけでも、いろいろな世相が見えてきて案外面白いのです。

露店はこだわり職人の宝庫

毎年、露店を隅々まで見て回っていると、決まった日の決まった場所に同じ露店が出ていることも少なくないことがわかります。

テキ屋さんたちの多くは、同じ商品を地道にずっとそれ一本でやっています。どこでも同じように見える焼きそばやお好み焼きでも、独自のレシピを開発して、味や材料のこだわりに誇りを持っている職人気質の人の店の中には、そこだけ行列ができるような露店もあります。

いわゆるテキ屋家業の人たちだけでなく、一年中全国各地の縁日や市民まつりなどのイベントを回っている行商の人たち・・・漬物、佃煮、竹細工、民芸品などの屋台も、長年の馴染み客が付きやすい露店です。

飴細工など、もう伝統芸の域の職人技が見られる屋台も人気です。

テキ屋の並びに映る世の中のあれこれ

東京の祭、ヒット商品の流行り・廃り

長年出ていた店が、ある年突然いなくなって、周りの屋台に聞いてみたら、高齢だった店主が昨年亡くなったとか・・・なんて話も毎年いくつかあります。独自の個性的商品の露店の時は、何かひとつの時代が終わったような気持ちになることもあります。

一方、新規参入の商品やテキ屋さんが目まぐるしく入れ替わっている部分も多く見られます。時にはヒット商品と呼べるような流行りが出る時があり、10件に1件はその屋台になってしまう、なんてこともあります。

ちょっと古いですが、「だんご三兄弟」が流行った時の「焼き団子」屋台とキャラグッズの勢いは凄かったです。

最近では、2000年代半ばからの「肉巻きおにぎり」ブームの勢いが目立っていました。

宮崎発祥のご当地B級グルメとしてTVなどでも随分話題になり、縁日にもあっという間に広がりました。が、だんだん盛りあがりは沈静化し、2013年に考案元だった

「元祖にくまき本舗」

が破産申請した後は、露店からも次々姿を消していきました。たった数年のブームで鎮静化したものもありました。

「佐世保バーガー」もB級グルメのイベントで有名になって、東京にも出るようになりましたが、最近はさっぱり見かけません。

突然わっとたくさん出てきた「鳥皮ぎょうざ」は、今ではひとつの祭にせいぜい1件あるかないかです。

今は「富士宮焼きそば」がユルいブームですが、来年どうなっているかはわかりません。

国際情勢も見えてくる外国籍フードのお店

2000年代からこっち、在日外国人がやっている露店の種類と数が随分増えました。

2002年のサッカヘワールドカップ以後、韓国のソウルフード系が急激に増えました。

  • 「ちぢみ」:韓国風お好み焼き
  • 「トッポギ」:韓国風パスタ(実は餅)料理
  • 「チャプチェ」:韓国風春雨料理

など、それまで韓国料理屋さんに行かない人は知らなかった名称を縁日の屋台で初めて知った・経験した、という人もたくさんいたと思います。

中国の観光客が増えてきた頃からは

「シャービン」

という丸くて平たいもっちりした皮の餃子が定番化してきました。手づくりのパオツ(包子)などの点心も一時期は随分多彩に出ていました。台湾ラーメンの屋台も増えました。

東アジアの屋台グルメは、日本人にも好かれる味のものが多く、どこもよく売れていました。一時、お好み焼きの屋台よりもちぢみのほうが多かった時すらありました。

それが、竹島や尖閣や歴史認識などによる対立が顕著になってきた途端に、東アジア系の屋台がごっそりと姿を消しました。シャービンだけ、数は減りましたが生き残って定番化に成功しています。が、韓国系は今もうほとんど絶滅したかのようです。

在日外国人たちがいなくなったわけではないでしょう。対立感情が高まる中、ヘイトスピーチ等を歓迎するタイプの人たちによる嫌がらせがあったり、差別や対立が暴力につながることを恐れる主催者から敬遠されたりする面もあるそうです。

トルコやインドなどの中近東系人が売っている屋台もバブルの終焉の頃から少しずつ増えてきています。

「ケパブ」とか「ドネルサンド」

と呼ばれるピタパンのサンドイッチは、今ではすっかり定番で、日本人のテキ屋さんも参入しています。

最近は、

インドのスナック「サモサ」

トルコのアイスクリーム「のび~るアイス」

もよく見ます。

国外の情勢の危機感が政治やメディアによって煽られるご時世、ISなどテロへの脅威が、いつか中東系の人に対する不信感や嫌悪感となり、ネットに誹謗中傷が広がったら、これらの屋台も露店から姿を消す時がくるのでしょうか。

消えゆくものに思いを馳せ、今を映すものを楽しもう

定番ものがどんどん消えていく

子どものオモチャの変遷は、移り変わりが早く、縁日のオモチャ商品もどんどん変わっていきました。世代によって思い出の品が全然違う所です。

私が子どもの頃好きだったのは「モール細工」でした。針金の先に、モールで作ったとんぼやちょうちょなどのかわいい虫が付いていました。色のついたきびがらで動物を形作った「きびがら細工」というのもありました。

太いストローのような棒をふぅーっと吹くと、先端にまるめてあった紙の細工がビョーンと伸びる「吹き戻し」というオモチャも、かつては長らく縁日の定番でした。

私よりも上の世代の人は、「きびがら鉄砲」や竹製のオモチャが懐かしいといっています。

流行りのキャラクターやゲームに便乗するお面や宝釣り・射的・輪投げなどが、ずっと生き残っているのは理解できますが、昔のままの形態で今も廃れない

「水ヨーヨー」

「金魚すくい」

「型抜き遊び」

などが、なんだかとても凄いものに見えてきます。

絶滅危惧種

最近絶滅の危機に瀕している、と感じる昔ながらの屋台は、

「焼きトウモロコシ」

「ソースせんべい」

でしょうか。イメージとしては、縁日の定番商品で、たいていはありそうな感じもしますが、ここ数年、東京近辺のお祭では、見かける頻度がとても少ないです。

焼きとうもろこしは、

“祭は青のり&ソース派ではなく醤油派”

という人には人気の一品のような気がしますが、手や口の周りを汚すので、デートには向かないかもしれません

紙芝居屋さんの駄菓子としてデビューしたソースせんべいは、戦後復興の時代の子どもたちにとってのソウルフードでした。せんべいもお供の梅ジャムも、今でも駄菓子屋や大手ディスカウントショップなどで売られていますが、縁日のソースせんべい屋さんは、もう滅多に見ません。今の子どもたちには、そんなに美味しいものじゃないことはちょっとわかります。

次々生まれる新しい定番

無くなるものがある一方、昔はなかった定番商品もたくさん生まれています。前述の外国籍フードもそうですね。

「チーズスティック」

「からあげ」

などの揚げ物は、今でこそ定番ですが、昭和の頃はあまりありませんでした。

「かき氷」のシロップ

「今川焼き」のあんの種類

これらも物凄く多くなっています。

「光るストラップ」は、テーマパークでの流行りが縁日に反映されたのでしょうか。「チュロス」や「ギョーザドッグ」は完全にパクリ!?

「ベビーカステラ」のキャラクターの型はここ20年くらい

「ドラえもん」「キティちゃん」「ピカチュウ」「アンパンマン」

で占められていましたが、ようやく出た「シバニャン」型が今後量産されていくことは間違いないでしょう。

一端絶滅したかに見えたものが、復活したものもあります。

「たぬきせんべい」

「カルメ焼き」

「玄米パン」

は、バブル直後はしばらく見ませんでしたが、最近はぼちぼち見かけます。最も、これらは東京では姿を消していたけれど、地方の祭では健在だったのかもしれません。

地方の祭に行った時の縁日カルチャーショックの話もいろいろありますが、長くなるのでそれはまたの機会に・・・。

何にしても、縁日のテキ屋さんチェックは奥が深く、楽しいものなんですってば。皆さんも、よくよく観察するといろんなことが見えて来るかもしれませんよ。

まさケロンのひとこと

ぼ〜っと見て回るのもけっこう好きなんだけど、よく観察してみて何かを発見するのも面白いかも。

masakeron-love


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。