ネットスラング

「日本●ね」は“汚い”言葉?スラングはいじめを助長する?

人と街とゾンビ
Written by すずき大和

2016年春、待機児童を抱える女性がブログに吐露した思い「保育園落ちた日本●ね!!!」に対する反響が話題となっていました。野党が国会質問で取り上げ、ニュースにもなり、共感者たちが政府や社会に向かってアクションを起こす政治運動にまで発展しました。

“何なんだよ日本。
一億総活躍社会じゃねーのかよ。
昨日見事に保育園落ちたわ。
どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。”


の出だしで始まる文面は、日本社会の子育て環境の厳しい現実を鋭く映し出すものでした。が、タイトル共々実もフタもない攻撃的な言葉が並んだため、共感が広がる一方で、「日本語が汚い」ことに不快や違和感を述べる声が出ています。



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保育園落ちた日本●ね!!!が社会に起こしたこと

「●ね」というネットスラング

●には“死”の字が入ります。

「しね」は、パソコン通信時代から使われているネットスラングです。

最近、良くない言葉がはじかれるフィルターがあったり、下手すると「脅迫」と見なされて逮捕されちゃったりすることもあるので、ネットスラング大量輩出もとの「2チャンネル(掲示板)」では随分前にNGワードになりました。

が、ユーザーもたくましく、「氏ね」「志ね」などの当て字を作って対処しています。一応ここでも念のため、以後平仮名表記にします。

問題はそこじゃない!

今回の政治的なムーヴメントについて、簡単に流れを整理してみます。

保育園に子どもを預けられず、窮地に追い込まれた働く女性が、匿名ブログに思いを叩きつけました。その言葉が、同じ思いを抱える多くの人の心に届き、次々拡散されていきました。

野党の議員が、国会で、その現象を伝えて待機児童対策を追及する質問をしたところ、

「誰が書いたんだよ、それ」

などのヤジが多数飛ばされ、安倍総理は

「匿名なので確認しようがない。これ以上、議論しようがない」

と突っぱねる答弁を返しました。

これに対し、多方面から批判が相次ぎ、国会前での抗議運動にまで発展しました。

ヤジ議員のひとりがTV番組に出て謝罪しました。が、

「ヤジや答弁が冷たい原因は、結局、ブログが“匿名”で、“言葉遣いが悪かった”せい」

と、弁明する内容だったので、女性を中心とする有権者の批判に「燃料投下」(火に油を注ぐことを表すネットスラング)する形となりました。

ようやく焦りを感じた与党は、「待機児童ゼロを必ず実現させる“決意”」を総理が宣言しました。(決意だけで、具体策はこれからだそうですが・・・)

一方で、ブログの文面の言葉遣いの悪さを指摘する声も、与党やその周辺から相次いでいる状況です。

ネットスラングといじめ

「しね」は何を意味するスラングか

「しね」というスラングがネットではどう使われるのか、について、改めて考えます。

やり取りの相手にいう場合は、主に「黙れ」の意味です。

話題の中に出て来る何かにいう場合は、

  • 「どうしようもない」
  • 「いい加減にしてくれ」

という“抗議の意を込めた強い否定”です。

否定されるのは、議論がぶつかり合った時や、抗議に値する落ち度を指摘する場合です。ネット上の「しね」は本来、“考え”や“行為”に「NO」を突きつけるもので、相手の“人間性を否定”したり、好き嫌いで相手を“排除”したりする言葉ではありません。

いじめやヘイトで使われる「しね」

いじめで持ち物や机に「しね」と落書きされたり、学校サイトに「○○しね」とカキコミされたり、ヘイトスピーチで特定の民族に「しね」といったりする場合は、相手の人間性の全否定を意味しています。

理不尽ですし、多くの場合、実生活の空間や人間関係の中で使われます。いわれる方は「嫌だ」と思っても、逃げることができない状況で浴びせられる場合が多いです。

ネットスラングはそこが大きく違います。

ネットの中の誹り[そしり]は、“見ない選択”が可能です。相手が

“嫌なら自分から関係を切って逃げることができる”


という環境であるがゆえに、失礼な言葉を使う「表現の自由」がある程度認知されているといえます。

「日本しね」は教育に悪影響なのか

「『日本しね』の表現はいじめを助長する」

という主張が見られます。が、子どもでも、社会批判かいじめかの区別くらいはちゃんと付けられます。

といって、スラングの「しね」はあまりにキツイ言葉なので、いわれた方は傷つくこともあるでしょう。「黙れ」と議論を一方的に強制終了することは、利己的に受け取られる場合もあります。その辺は確かにちょっと配慮が必要な部分でしょう。

しかし、今回の場合、ここまでの強い表現があったからこそ、大きな反響とムーヴメントにつながったことは明白です。「綺麗な言葉」での問題提起や抗議なら、既にこれまで何十人もがやっています。

それでも変わらないから、もう満を持して出た言葉が「日本しね」だったのです。共感した多くの人たちは、そう理解しています。

保育士の平均年収を400万円に上げ、60万人まで増員するのに必要な予算は 2400億円だそうです。

何千億円の海外援助を簡単に公言し、3600億円かけて低所得高齢者に3万円配ることはすぐやる政府が、待機児童対策の3000億の予算が未だに付けられないのは、理不尽と謗られるに値する怠慢ではないでしょうか。

「日本しね!!!」はそういう政治に「NO」といっているのです。

まさケロンのひとこと

昔「しね」って言葉を使ったら親に超怒られたな〜。まさケロン的にもNGワードなんだけど、「NO」を最大限に主張したいときはけっこう使えるワードなのかもしれない。

masakeron-surprised


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。