お葬式・お墓参り

未来のエコ葬儀/冷凍葬・きのこ葬・樹木葬、死して土に還らん

幻想的な森
Written by すずき大和

自然界は「弱肉強食」だと思っている人がいます。が、それは間違いです。正しくは「全肉全食」です。命あるものはすべて、死後は他の生命の糧となり、生態系は回っています。

が、人間だけは、命をいただくばかりで、遺体は土に還すことなく処置される場合が多々あります。火葬はもちろん、西洋の土葬の場合も棺が生分解されることはありません。

「死んだら土に還りたい」

そう願う人は世界中でたくさんいます。そして、様々なエコ埋葬法が研究されています。



スポンサーリンク

生分解された遺体から樹木が育つ『追憶の森』

でんぷんプラスチックのカプセルで埋葬後、植林する

イタリアのカプスラ・ムンディという企業では、

“遺体をジャガイモやトウモロコシで作ったカプセルに入れて木の下に安置する”

という埋葬法により

『追悼の森』

を作っていくプロジェクトを発表しています。

でんぷんを成分とするカプセルは100%生分解される素材です。カプセルを埋めた上に好みの木を植樹し、木は遺体の養分を糧に育っていきます。


技術的にはすぐにでも実用可能らしいですが、イタリアの法律では、まだこの埋葬法は許可されていません。同社では、まず法改正を目指すところから働きかけ、実用化へ向けて奮闘中だそうです。

キノコの胞子を植え付けた死装束を着て死後はキノコの苗床に

土葬は実はエコじゃない

棺を生分解される素材にして土葬すれば済むんじゃないか、と考える人もいるでしょう。確かに、それだと遺体は生分解され土に還ります。

が、実は、それはそれで、環境にはよくないのです。

人体そのものの中にも、歯の詰め物やインプラントの器具等異物がたくさん埋め込まれています。また、故人の身に付けた眼鏡やアクセサリーや服のボタン・ファスナー等、棺の中に入れられる様々な調度品や小物、棺の釘や飾りも含め、多くの金属やプラスチックが一緒に土葬や火葬にされています。

それらは、環境に直接放置すると、有害な影響を与えるものも少なくありません。生分解しない棺に入れての土葬は問題ないのですが、直接土に還したり、灰を散骨する場合は、これらの異物は問題です。

棺での埋葬も、遺体にいろいろなものを持たせる習慣も止めることはできるかもしれません。それでも、人体そのものに内包された有害物質の問題が残ります。

キノコの死装束

スタンフォード大学(米)の研究所で出会ったジェー・リム・リーさんとマイク・マーさんが共同創立したCOEIO社では、人の遺体を餌に成長するキノコの胞子を植え付けた糸で刺繍された全身スーツを開発しました。

このスーツを死装束として遺体に着せて、そのまま土葬にすると、キノコが発芽し、腐敗する遺体を消化吸収して成長します。このキノコは、体内に含まれる重金属や遺体の保存のために使われた薬剤などの環境汚染物質を分解してくれる働きがあり、人体はいわばこのキノコに食べられることで浄化されます。

COEIOではこのキノコスーツによるエコな埋葬を

『インフィニティ埋葬プロジェクト』

と呼び、賛同・実践を呼び掛けています。


遺体をフリーズドライの粉末にして自然に還す

普通のお葬式ができるエコな方法

キノコ葬がエコな埋葬方法であることは事実と思われますが、死装束の異様さと、遺体からキノコが生えている絵を想像した時のグロテスクさに、「いくらなんでも・・・」と引いてしまう人もたくさんいるようです。

スウェーデンの生物学者スザンヌ・ウィーグ・マサクさんも、土葬や火葬が環境に与える影響について懸念してきたひとりです。マサクさんの発案した埋葬法は、火葬で灰にする代わりに、フリーズドライの製法で遺体を粉末にし、重量を30%ほどにコンパクト化してしまう、という方法です。工程途中で有害な異物も取り除かれます

これだと、遺族の手元には粉末を入れた生分解性の容器が戻ってくるので、それを散骨するなり埋葬してお墓を作るなり、従来のセレモニーの中で送ることができます。

全自動遺体処理装置

マサクさんは1997年にプロメッサ・オーガニック社を設立し、時間をかけて、この画期的な方法を確立しました。

『プロメッション』

と名付けたこの遺体処理は、

『プロメーター』

という全自動遺体処理装置によって行われます。

プロメーターに棺ごと乗せられた遺体が、容器に納められたフリーズドライ粉末になって出てくるまでをアニメで解説した動画があります。


現時点では、まだ動物の遺体での試験に成功しているだけですが、実用化は近いようです。
火葬に変わる遺体処理法として、スウェーデン政府も合法化を検討中ということです。

日本人もいずれは土に還れるのか

日本では、墓石の代わりに植樹したり、土からどんどんキノコがはえてきてしまうお墓を許可してくれる墓地はないかもしれません。でも、フリーズドライは、一人にひとつのお墓ではなく、一家庭にひとつのお墓になっている日本では使えそうな方法です。

といっても、骨壺と一緒に石のお墓に納めては、やっぱり土には還りません。エコ優先なら、散骨するしかないのでしょうか。拝むお墓も欲しい遺族はちょっと複雑ですね。

まさケロンのひとこと

なかには「土」じゃなくて「海」に還りたい人もいそうだよね。

masakeron-surprised


スポンサーリンク
Tweet about this on TwitterShare on FacebookShare on Google+

あなたにオススメの記事

筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。