政治・経済

Safe and Sorry/美しい国日本は果たして監視社会なのか?

日本の社会
Written by すずき大和

『Kurzgesagt』というプロジェクトをご存知でしょうか。

ドイツのクリエイターらの有志が集まり、2013年にYou Tube のチャンネルを立ち上げて以降、科学をわかりやすく解説する短いオリジナル・アニメーション

『Kurzgesagt – In a Nutshell』 シリーズ

を世界に向けて無料配信し続けています。

日本語字幕が付けられた動画は、SNSなどで話題にされることも多いです。自然科学だけでなく、社会問題に科学的な視点で切り込むようなものも多く配信されています。



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安全でごめん-テロリズムと監視社会

反テロのために権力による人権抑圧範囲を広げる

2016年4月には、権力による国民や情報の管理が強化されていく最近の世界情勢に警鐘を鳴らすアニメが配信されました。昨今の日本にとっても、深刻に考えるべきテーマであると、話題になっています。

Safe and Sorry – Terrorism & Mass Surveillance
(直訳すると、「安全でごめん- テロリズムと監視社会」)


日本語字幕より引用~~~

911後アメリカ政府は
法律に現代技術を組み込んだ監視計画が作られ
アルカイダの通信を傍受した

だがそれは偏見の強化にも使われた

第二次大戦後最大の国家的人種差別と呼ばれた

NSAは特殊な方法でインターネット通信を毎日傍受し
個人のメールを見ていた
犯罪者ではなく、国民全員を監視していたのだ・・・


動画は、他にもフランス、スペイン、ポーランド、トルコなどの例をあげて、国家の情報統制が強まる実情を伝えています。監視社会がテロリズムを防ぐ成果を上げることはわずかで、権力が常に他の人権抑圧にしくみを利用するようになっていくことが示唆されています。

日本の今

日本でも、2015年に安保関連法案が採決され、2016年3月より施行されました。与党自民党と、その大きな支持基盤となっている極右団体「日本会議」 は、このまま憲法改正に向けた取り組みにまい進していく方針です。

自民党の出している憲法改正草案は、現行憲法に比べ、国家の目的のために個人の自由を制限するものです。保守派の人たちは、日本会議の言葉を借りるならば、それが

“誇りある国づくりへ、国を愛する新しい国民運動ネットワーク”

につながると考えています。

一方、「国家権力の抑圧が高まる監視社会が安全平和な国につながる」という考え方を“危惧”する人たちの中には、今もなお、与党の政策に反対する活動を展開する人もいます。

日本人はズルズル体質-高畑監督の憂い

国連「表現の自由」特別報告者の日本評価

2016年4月、国連「表現の自由」特別報告者のデビッド・ケーン氏が、日本の現状について大変厳しい「懸念」を表明しました。


日本で政権支持・無関心者が多いのは、政権批判を自主規制するマスコミの影響が関係していると、外からの目には見えるようです。

それでも日本人は最後には与党を支持する

「安全でごめん」アニメにも出てきますが、2016年、アップルがFBIから“テロリストの情報を知るために”iPhoneのロックを解除する技術の開示を迫られました。が、

“政府に巨大な権限を与える恐れがある”

といって最後まで抵抗しました。

アメリカでは、アップルの対処を支持する人たちも大勢いて、国論は二分しました。

今の日本で同じことが起きたら、抵抗する企業が確実に炎上するでしょう。

それは、国家や政府の問題だけではなく、

「日本国民は、権力が大きくなり始めると、揃って右へならえしてしまう国民性が強い」ということを示唆します。

高畑監督の指摘

2015年7月に、スタジオジブリの高畑勲監督が講演会で行った演説で、そういう日本社会を指摘した言葉が秀逸です。

「日本は島国で、みんな仲良くやっていきたい。『空気を読み』ながら。そういう人間たちはですね、国が戦争に向かい始めたら、『もう勝ってもらうしかないじゃないか!』となるんです」

「だから、われわれ自身が胸に問うてほしいのです。戦争になったら、やっぱりみなさん、日本国を支持するんじゃないですか?それで、支持しない人を非国民って言うんじゃないですか?」

「自分の息子が、あるいは自分の夫が徴兵をくらって戦争にとられてね、お隣の金子さん(戦争反対を貫いた人)の家じゃあ行かないというのですよ?非国民って言いませんか?」


高畑監督は、日本人のそういう面を「ズルズル体質」と呼んでいます。

「ひとたび戦争のできる国になると、人々自らが打って一丸となる」

「『二度と悲劇を繰り返さないために』といって、自衛のための戦争に向かわされる」

保守派の人にとって、これこそ誇りある姿かもしれませんが、監督は憂いています。

ズルズル体質は、情報統制を許したら終わり?

高畑監督は、ズルズル体質だからこそ、国家の思うように解釈運用できる法律ではなく、確実に権力を縛る現行憲法の文言を後退させてはいけないといっています。しかし、その議論は、政府の情報開示と自由に権力を批判できる社会がないとできません。

すでに特定秘密保護法が機能し、マスコミが政府批判しづらい日本社会ですが、保守派は

「権力が国民を抑圧しているのではない、国民が一丸となって国に協力しているのだ」

と考えています。

「安全でごめん」アニメのメッセージは、こうもいっています。

“動機が良いものだとしても
個人の自由が脅かされるなら、
テロリストの勝ちだ”


果たしてこれは、日本にとっては“大きなお世話”や“左翼の妄想”なのでしょうか。

まさケロンのひとこと

何かを「変える」っていうことは複雑だよね。目的とは関係ないところで「何か」が起きるもんね。

masakeron-surprised


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。