スポーツ・アウトドア

夏山登山の人、秋に里山に入る人、子連れ母グマとの遭遇注意!!

子連れのクマ
Written by すずき大和

2016年春、里山や林道で、野生のクマに遭遇して襲われる事故が、全国で相次いでいるそうです。いずれも親子とみられるクマで、林野庁や各地森林管理局などが、住民や登山観光客などに注意を呼び掛けています。

2000年以降、西日本を中心に、隔年に近いパターンでクマが大量出没する事態が続いており、2016年もどうやら超当たり年!の模様です。



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親子クマ大量出没はなぜ起きる

クマは、交尾しても、お腹が空いていると妊娠しない

2016年の大量出没の最大の原因は、2015年の秋、

“クマの大好物のドングリや木の実が大豊作だった”

ことが影響していると、石川県立大学の大井教授(動物生態学)は分析しています。

本州以南に生息している「ツキノワグマ」は、夏に交尾を行います。雌は冬眠中に出産し、穴の中で授乳しながら、春までに子グマを10倍くらいの大きさまで育てます。

母グマは、出産に耐えて春まで生き延びる体力を維持し、その間授乳もできるように、冬眠前にたっぷりの栄養(脂肪)を蓄える必要があります。そのため、クマの受精卵はすぐに着床せずからだの中に留まり、たっぷりコロコロ太ったクマだけ妊娠するしくみになっています。

秋が豊作で、充分ドングリや木の実を食べられた母グマが多ければ、春はベビーブームになるのです。

母子のクマは人と遭遇する確率が高くなる

ツキノワグマは群れずに単独で行動します。行動範囲は、

  • 雄は平均100平方キロメートル
  • 雌は40平方キロメートル

といわれています。雄は交尾相手の雌を求めて歩き回るので、行動範囲が広いのです。

子連れの雌の場合、新たに雄に出会って交尾を求められるのを避けるため、「雄を避けて動く習性」があります。その結果、通常より広い範囲を行動しています。場合によっては、里に近い所まで降りて来ることもあり、人との遭遇率が上がってしまいます。加えて、子どもを守る本能で攻撃的になっているため、襲われやすいのです。

夏しか襲撃事故が起きなければ、大量出没とはいわない

クマは大昔に、小動物などを狩猟する肉食動物の祖先から枝分かれしました。クマの祖先は雑食性に進化したことで繁栄し、全世界に広まっていきました。

が、クマは草食動物のような繊維質の多いものを消化できる内臓を持っていません。牛や馬のように草をムシャムシャ大量に食べることはできず、柔らかい新芽や脂肪分の多い木の実や果実を主に食べています。

芽吹きの季節の春と、実りの秋は、野山の餌は豊富にあり、クマは滅多に里には降りてきません。夏は、若干食べられるものが減る時季です。森林伐採などにより、野山の自然が後退している昨今、夏場に餌を求めてクマが人里に出没することは、年中行事のようになっています。

秋に山中の餌が増えると、自然にクマは山に帰ります。が、秋になっても出没件数が減らなかったり、春先から出没したりする年もたまにあります。そういう事態を「大量出没」と呼んでいます。

春も秋も要注意のワケ

2016年の春に出没件数が高くなったのは、親子連れが増えたためだけではありません。2015年の冬は暖冬だったため、いつもより早く雪解けし、クマの目覚めも全体的に前倒しになりました。

若芽の季節より早く起きて来ると、どうしても餌が足りず、そのせいもあって、春から里近くまで降りてきてしまったようです。

そして、豊作の翌年は木の体力がちょっと衰えるため、凶作になりやすく、子グマが増えたにも関わらず、秋の山中の食糧難が見込まれています。従って、秋の大量出没も危惧されているのです。

今後、クマと人との共存はどうなっていくのか

日本にはクマの絶滅危機地域が多数

日本には、北海道の約55%の地域にヒグマが生息し、本州の約45%にツキノワグマが生息しています(2000~2003環境省調査)。日本の国土の半分にクマが住んでいるわけです。

「そんなにたくさんいるなら、ちょっと減らしてもいいのでは」

と思うかもしれませんが、実は西日本の多くの地域では、クマの数が減っています。

クマの住める森林の減少は、全国的なものですが、北日本ではクマのいる森林地帯がずっと連続しているので、一部の地域が不作でも、移動しながら繁栄できます。が、西日本は森林開発やスギやヒノキの人工造林によって、クマの生息地が分断されています。

分断された個体群は、孤立しているため、不作の年に移動できる範囲も少なく、近親交配が続いて遺伝子の劣化が進む傾向も見られます。ちょっと過剰に狩猟すると、生息数の減少が進み、下手をすると絶滅してしまう可能性も出てきます。

実は、九州ではすでに絶滅した可能性も高く、四国の個体数も全部で十数頭かもしれないといわれています。

クマと人との共存を

そんなわけで、子グマの誕生増加は、実はクマの絶滅回避のためには喜ばしい現象でもあり、できれば保護してあげたほうがいいのです。といっても、実際人が襲われると、銃殺せざるを得ない場合もあります。

クマ、人、双方のために、山野に入る人たちは、どうか遭遇を極力避けるようにしてください。特に子グマを見かけたら、とにかくその場から離れましょう。

グリズリーなどの世界の標準からすると、日本のクマはみな小型でおとなしく、かわいいものらしいです。これからも、古代から人とともに日本で生きてきた野生の友だちと、うまく共存していけるといいですね。

まさケロンのひとこと

案外、クマのほうが先に人がいることに気がついて避けたり隠れたりするんだよね。音はださないよりもだしていったほうがいいと思うよ!

masakeron-happy


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。