航空機

お酒は地上に立ってから!フライト中の飲酒の危険度は命懸け級!

Written by すずき大和

新潟地震や熊本地震の被災者が「エコノミークラス症候群」を発症し、亡くなったニュースを覚えている人は多いでしょう。

“エコノミークラス”とは、飛行機の一番狭くて安い座席のことです。搭乗者が空港に到着して、立ち上がった直後に発症して倒れる例が多いことから付けられ病名、ということは、最近では広く周知されるようになりました。

周知され過ぎて、なんとなく知っているような気になって、大事なことをちゃんと理解しないまま、不用心なことをして危険を呼び込んでいる人も多いようです。

というわけで、今回は、改めて

「エコノミークラス症候群、なめんなよ!」

という、ちょっとおっかない話です。



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エコノミークラス症候群の名称が意味すること

狭かったから、窮屈だったから、だけが原因ではない

狭い所で窮屈な恰好をしていると、折り畳んだ足など、静脈が強く圧迫された所に血の塊(血栓)ができ、それが肺動脈やからだの深部の重要な静脈を詰まらせてしまうことで起きるのがエコノミークラス症候群です。最悪、死に至る危険な病気です。

エコノミークラスに限らず、実際は、ファーストクラス利用者も、長距離バスや電車、トラック運転手、そして今回のような災害避難所などでの症例もあります。

では、なぜエコノミークラス利用者の症例が特に多いのでしょうか?

それは、「狭い・窮屈」という理由だけではない、飛行機の機内特有の血栓を作りやすい状況があるためです。

低酸素・低湿度状態が、発症を促進する

飛行機は山よりも高い所を飛んでいます。が、乗っている人が「高山病」にならないのは、機内の気圧をぎりぎり症状を起こさない程度にまで上げる調整をしているためです。

あくまでも「ぎりぎり大丈夫なライン」なので、平地に比べれば、かなり低気圧状態になっています。高度1万メートル上空を飛行中は、だいたい0.8気圧前後であり、場合によっては0.74気圧まで下がることもあります。これは、富士山5合目と同じ状況です。

気圧が平地の8割ということは、からだの酸素の取り込みも80%になっているということです。酸素が欠乏すると、その分、脳の働きが鈍くなります。

脳はからだからのサインを受け取り、常に危険回避の調整命令を出しています。低酸素で脳の命令が追い付かなくなってしまう状態が高山病です。機内では、20%分、

「血栓ができないよう体を動さなきゃ!」

という脳の判断が平地より遅れがちになります。それが血栓症の可能性を高めています。

また、機内は異常に乾燥します。離陸後急激に湿度が下がり、上空では湿度20%くらいになっています。健康保持に最適な湿度40~70%の半分以下です。

乾燥が激しいと、皮膚から出ていく水分が増え、体内の水分も減ります。水分不足は血液ドロドロ状態を促進し、やはり血栓症発症リスクが上がります。

フライト中の飲酒は、エコノミークラス症候群を促進する

さあ、ここからが本題です。

飛行機内の飲酒は百害あって一利なし!?

2016年5月の日経ビジネスに、日本航空健康管理室主席医師を経て、「渡航医学センター 西新橋クリニック」を開院する大越裕文院長に

“機内でのアルコール摂取がいかにエコノミークラス症候群発症の危険を高めるか”

について聞いた記事が掲載されています。上記の見出しは、この記事のタイトルです。

長い記事ですが、先生の解説を簡単にまとめると、

  • 高山病寸前の脳の判断能力をさらに鈍くする
  • ただでさえ水分不足のからだを更に脱水症状にし、血液ドロドロを促進する

これが、1万メートル上空で飲酒する結果、からだに起きることだといっています。

だから、“飲酒がエコノミークラス症候群発症の原因になる”のです。

フライト中のからだの酸欠状態を測る

大越先生は、自らが成田―バンコク間のフライト時にパルスオキシメーター(からだに装着して、酸素飽和度=からだが酸素をどれだけちゃんと取り込んでいるか、を調べる機械)をつけ、飛行中のデータを取って、表にして出しています。


正常な酸素飽和度は97%以上です。フライト中は、常に酸素不足であることがよくわかります。先生は、途中でワインを飲んで寝た時のデータもちゃんと調べました。睡眠中は通常でも起きている時より酸素の取り込みが減ります。酔っぱらうとさらにその状態が促進されることが、データでも裏付けられました。

飲むとトイレが近くなって、脱水症状になりやすいことは、夏のビアガーデンに行く前の注意でよくいわれますから、のどが渇いた時の飲酒が危険なことは、皆さんもなんとなく知っているでしょう。

どうしても飲みたい人は、いつもの半分以下に

先生は、当然「飛行機に乗る時は、お酒を飲まない」が一番いいといっています。

が、どうしても飲みたい人のために、危険回避のアドバイスもしてくれています。

  • いつもの量の半分以下にする
  • こまめに足を曲げ伸ばす運動をする
  • 水をたくさん飲む

とのことです。

それから、記事にもありますが、

「フライト中がダメなら、乗る前に飲めばいい」

なんて、アホな理屈はいわないように!!

呑兵衛の皆さん、飛行機に乗る時も、

「飲んだら乗るな!乗るなら飲むな!」

の戒めをくれぐれもお忘れなく・・・・よいフライトを。

まさケロンのひとこと

飲んで乗って寝てたらあの世・・・なんておそろしいよね。

masakeron-sorrow


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。