怪談・ホラー

血の酩酊/なぜ人は血を見て興奮する?スプラッターホラーの誘惑

Written by すずき大和

※怖いシーンの描写がだめ~という人閲覧注意!!!

  • 殺人鬼や、人智を超える生物や、この世のものではないモンスターが出現し、残虐非道に人間をバッサバッサと・・・
  • 肉がちぎれ飛び、血しぶきが舞い、首や手足や目玉などの人体のパーツが血にまみれて無造作に転がっている・・・・

そんなグロテスクな衝撃シーンがウリのホラー映画のことを

『スプラッターホラー』

といいます。

映画館にその手の作品を見に行くと、PG12指定(保護者の助言があれば、小学生でも見ていいよ作品)以下の規制のものは、とにかく女子中学生・小学生がとてもたくさん見に来ているのが目立ちます。R15+指定(15歳未満見ちゃダメ作品)でも、女子高生など若い女性のグループがたくさんいます。

若い女の子って、どうしてあんなに血を見るの好きなんでしょう?

だって、ほんとにキャッキャして、まるで喜んでるみたいに見えるんですもん・・・・。



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血を見て興奮するのは、人間の本能!?

殺人とエクスタシー

『ハンニバル・レクター』は、『トマス・ハリス』原作のスリラー作品シリーズに出てくる、猟奇殺人を実行していく有名な連続殺人犯です。

小説『羊たちの沈黙』では、天才的殺人犯で精神分析医のレクター博士は、囚人でありながら、連続殺人犯罪捜査の心理学アドバイザーをしています。彼がFBI女性補佐官にささやく言葉が、この映画の要となっており、血を見て興奮する人間の本性を語る時に、度々あちこちで引用されています。

「最初の殺人に戻れ、すべての答えはそこにある」

この意味は、

“最初の殺人には何らかの動機があるが、それ以降の殺人は、エクスタシーを求めるだけの無差別殺人に変わる、という「血の酩酊」の原理を示唆している”

と解説されています。

血の酩酊

『血の酩酊』とは、ドイツの精神医学会がつけた名称です。

人間は、農耕技術を得て定住生活を始めるまで、約700万年くらいの間は、狩猟・採取に明け暮れて生きる糧を得ていました。自分よりも強い獣に立ち向かっていくために、勇気を奮い起こす何かが必要でした。そこで、獲物を射止め、血を流して死んでいる姿を見ると、エクスタシーを感じて興奮する性質が遺伝子の中に刷り込まれるようになりました。

血を見て興奮する性質は、人類が生き残っていくために身につけた本能です。

狩猟生活とサヨナラして平和な時代となり、直接殺し殺される毎日ではなくなると、血を見て興奮する遺伝子を抑える遺伝子(ミームと呼んでいます)が生まれた、という学者もいます。この遺伝子のおかげで、多くの人は、血の興奮を求める本能が抑えられています。が、ホラー映画で血を見る疑似体験をすると、古代の遺伝子が目覚めて興奮してしまうことがあるわけです。

眠っている本性は、何かの刺激によって目覚めます。本当に誰かを傷つけて本物の血を見てしまうと、リミッターが外れて興奮に酔い、更なる興奮を求めて連続殺人にのめりこんでしまう場合があります。この現象が『血の酩酊』です。

現実と興奮の間

ホラー映画で興奮する疑似体験が、血の酩酊を引き起こすことはないのでしょうか・・・。

実際、アメリカでは銃乱射シーンを見て興奮した少年が、本当に銃乱射事件を起こしました。日本では、生徒同士が殺しあう映画をみた小学生の少女が、同級生を映画で見た通りの方法で殺す事件が発生しています。

その変の危惧と大人の責任として、閲覧制限の規定(R18+など)が設けられているのですが、、イマドキ規定マークつけているだけでは、その影響のコントロールにはなっていないのが現実です。

若い女性のホラー好き心理とは

女の子は怖いもの見たさの好奇心が強い

ホラー映画に若い女性が群がるのは、

“女性のほうが血を見て興奮することが快楽になりやすいから”

だとすると、血の酩酊の危険がなおのこと心配になります。

が、よくよく彼女らの様子を見たり話をきいていると、必ずしもスプラッターシーンに酔っているわけではないような意見も多く聞こえてきます。

まず、女の子たちは必ずといっていいくらい、複数のグループでキャッキャしています。それは、実際の怖いシーンに魅入られているというより、みんなで騒ぐことそのものを楽しんでいる、と見る人もいます。

一方、心理学者や精神科医の中には、思春期は、男性が臆病で慎重になりがちで、常に不安な心に陥りやすいのに対し、女性は現実的で直観的な傾向があり、あれこれ考えすぎて悩まない代わりに、大胆に好奇心に従って行動しやすい、と分析する人もいます。やはり、

“女子は、男子より怖いもの見たさの好奇心が強い”

というのです。

グロいもの好きもほどほどに

この変の実証実験的なデータは、ネットを検索した中では見つけられませんでした。

女子の意見として、

「スプラッターシーンではなく、猟奇殺人の裏にある社会や人の心理の切なさが、少女漫画チックでいい」

というのもありましたが、どう見てもB級ドタバタホラーみたいなスプラッターにも、女子学生がたくさん入るので、何ともいえません。

まあ、思春期前後の若い女性には、ある種の心臓の強さがあるのは、なんとなく私も感じます。よくわかりませんが、怖いの苦手な男性は、かっこつけて女子をホラー映画に誘わないほうがよさそうだな・・・ということはいえそうです。

まさケロンのひとこと

どうにも「スプラッターホラー」って苦手なんだよね。これも「ミーム」のおかげなのかな。

masakeron-sorrow


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。