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スマホでパシャリとされるだけで嘘つきがバレるアプリ開発中!?

Written by すずき大和

世の中には「嘘発見器」なるものがあります。

呼吸・脈拍・血圧などの生理現象を電気的・物理的なシグナルとして計測する「ポリグラフ」という機械が知られています。他にも脳波や声紋測定など、様々な方法で計測・分析して、人間の反応の微妙な動揺をあざとく見つけます。

これまでの嘘発見器は、なんらかの装置で測定される、というステップを経ないと判定できませんでした。犯罪捜査や病気治療などのために強制的に検査されるケースもありますが、基本的に「調べられたくない」と拒否している限り、知らないうちに勝手に判定されることはありません。

が、近い将来、知らないうちに撮られた写真や、テレビやネットの画像から、本人が嘘をいっているのか否かを判断できてしまうテクノロジーが実現化しそう・・・と、2016年夏、海外のメディアで報じられていました。



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顔色の変化から嘘を発見する

経皮光学イメージング?

開発しているのは、カナダ・トロントのベンチャー企業『NURALOGIX』

開発中のソフトウェアは、

『トランスダーマル・オプティカル・イメージング(TRANSDERMAL OPTICAL IMAGING)』

というもので、直訳すると“経皮光学撮像”となります。

もう少しわかりやすくいうと、

“光学カメラがとらえた顔面の画像”から、“血液中のヘモグロビンの濃度”を測定する

というシステムです。

人間の顔の血液は、感情によって流れるパターンが変わり、ヘモグロビンの濃度の変化をとらえてその流れを測定することで、嘘をついているかどうかも解析できるのだそうです。

ヘモグロビンの濃度は、皮膚の色の変化を測定することで割り出すことができます。NURALOGIXD社のHPに、様々な光が皮膚の組織に跳ね返ってきたものを光学カメラで捉え、ヘモグロビンの濃度の画像が作られることを図解した説明が載っていました。

経皮光学撮像


動画データの蓄積から感情変化のパターンを学習するソフト

プロジェクトの中心となっているのは、トロント大学の発達神経学教授「カン・リー」氏です。リー教授は、20年以上かけて、「人間の表情と嘘の科学」を研究してきました。

世界の神経科学が嘘発見器の開発研究を行ってきた例は、外にもあり、

  • 脳波記録
  • 視線追跡

などが、法廷での証拠やテロリスト発見に利用するために研究されてきました。

顔の血流に着目した実験をした研究者もおり、熱探知カメラで顔面の温度変化を測定することで、嘘を解明しようとしましたが、それはうまくいかなかったようです。

心理学者たちは、言語に現れる兆候や、表情の微妙な変化から、嘘をついているサインについて研究してきました。リー教授の研究チームは、これらの研究に基づいて人の顔を映した動画から、顔色(血流)が変化していく法則(アルゴリズム)を学習する機器を開発しました。

動画に写っている画像の顔色変化と、感情と血流のデータを照らし合わせながら、その時の感情を読み解いていく、というシステムです。

今後の展望

リー教授によれば、今のところ、NORALOGIX社のソフトは、まだ精度の面では犯罪捜査などの証拠に使えるだけのレベルには達していないそうです。とはいえ、以前の熱探知カメラでの測定より、ずっと有効であることは判明しています。

ある程度の距離を置いて撮影した動画でも解析可能で、遠隔操作で撮影し、画像データを伝送して、解析をすることもできるようになるかもしれません。そうなると、盗撮画像を勝手に解析される問題を回避するための措置は必要になってくるでしょう。

具体的にどの程度の精度のものが、どの程度の使いやすさ、操作性を実現するのか、まだ研究中で明らかにされてはいません。が、NORALOGIX社は、今後6か月以内に初バージョンを公開すると発表しています。最初はデバイスに録画した動画をクラウドにアクセスして解析する、という仕組みからスタートするとのことです。

徐々に洗練していき、スマホのアプリ仕様は、数年以内に実現するだろうと見込んでいます。

顔を見せている時には誰も嘘がつけなくなる社会って・・・

それって誰得?

リー教授は、この顔色測定嘘発見器が世の役に立つ例として、

「教師が学生に心配事があることを早期発見するのに使える」

ということをいっています。

イギリスのデイリーニュース紙面では、

「デートの相手が本当に喜ぶものを見極めるのに使える」

という例をあげていました。

が、しかし、

  • 顔写真を撮られると、先生や恋人に本心がバレバレになってしまうことって、本当に便利で助かることなのでしょうか?
  • 本当は嬉しくないのに相手に気を使って好意的にしていることがバレてしまう世の中って、本当に人間関係をよくするのでしょうか?

多くの人から、そういう倫理的な問題点を指摘されているのも確かです。

少なくとも、市民の目の前で演説できる政治家は激減してしまう気がします。ていうか、誰も政治家にならなくなっちゃいませんか?

どこの国の場合とはいいませんが、例えば

「国民の命を守ることになるかどうかじゃなくて、“彼の国”の機嫌をとってこれからも権力者層への便宜を図ってもらうためには、こうしたほうが得なんだもん」

みたいな本音ぶっちゃけで政策論じるほうが、本質的な問題を考えるには手っ取り早くはなりますけどね。

数年後、果たして嘘発見アプリは実用化されているのでしょうか・・・。

まさケロンのひとこと

嘘がなんでもバレちゃうようになったら、嘘のない世界になるのかな〜。

masakeron-surprised


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。