住まい・暮らし

東京オリンピックまでに、日本は屋内全面禁煙になるのか?

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Written by すずき大和

2016年8月31日にマスコミに一斉に流れたニュースによると、国立がん研究センターのチームが、「受動喫煙による肺がんリスク」についての日本人のデータを、初めて具体的に“1.28倍”と確認したとのことです。

これまで、受動喫煙による肺がんリスクの上昇については、国際的にも認められており、WHO(世界保健機関)の2014年の統計によると、世界の49ヵ国が、すでに

「公共の場での屋内全面禁煙の法制化」

を行っています。

この問題の対処については、意識の面も含め、日本は相当後進国の立場にあります。

最近のオリンピックの開催都市でも、屋内全面禁煙が実施されてきており、来る2020年の東京での開催に際して、日本でも同様の法規制の必要性が、内外から求められています。



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喫煙リスクなんて、ほんとは大した問題じゃない?

禁煙志向に対して非喫煙者が負い目を感じる社会

ほとんどの先進国と比べ、日本ではたばこのリスクについて、社会全体の問題意識は確かにユルいです。表向きは、喫煙マナーとして「非喫煙者への配慮」が当然のようにいわれるようになってはきました。が、実際のところ、

「受動喫煙はある程度は我慢の許容範囲、としている非喫煙者の方が多い」

「たばこ吸わなくても早死にする人はするし、吸っても長生きする人はする」

「全面禁煙にすると飲食店などは経営が立ち行かなくなる」


という感覚が一般的に広まっており、

  • 喫煙者の規制が厳しくなることへの「憂い」には同情する
  • 全面禁煙の場所しかない時は、非喫煙者が喫煙者に対して「ごめんね」と謝る
  • 同席者にマナーよく「たばこいいですか」と聞かれると、相手との時間を大切にしたい場合、「やめてください」とはなかなかいいにくい

という風潮があります。

喫煙者の「肩身が狭くなってきている」という思いを理解している非喫煙者はたくさんいます。が、非喫煙者の感じている「喫煙者を我慢させてしまう負い目」の強迫観念に思いが及ぶ喫煙者は、多くはありません。

約1.3倍というリスクアップをどう受け止めるか?

日本社会には、

  • 「人に迷惑をかけてはいけない」
  • 「相手を立てること、自分が謙遜することが美徳」
  • 「空気を読んで周囲の多数意志に合わせることが大人のマナー」
  • 「嫌なら、自分が引けばいい」


という社会通念が根強くあります。

リスクが約1.3倍になる、という数字を

「重大な違い」と見るか、

「大して変わらない」と感じるか、

それによって“空気”が禁煙と喫煙のどっちよりになるか、変わってきます。

現状の日本では、

「喫煙者を排除してまで、非喫煙者の我を通すのも大人げない」


という感覚が主流であるため、

「喫煙場所を特定の場所に指定してくれれば、公共の場から完全排除までしなくてもいい」


というレベルが妥当となっている、といえます。

が、本当は、隔離もせず場所が離れたくらいでは、受動喫煙はなくなりません。

また、みんなで同じ席に入りたい場合、

“非喫煙者がひとりでもいれば「禁煙席」にする”のではなく

“喫煙者がひとりでもいれば「喫煙席」にする”のが常識化しています。

現実の空気は、まだまだ非喫煙者に“大人の対応”が求められている、といえます。1,3倍くらいのリスクの差では、こういう空気を動かすのは難しいかもしれません。

日本が巻かれたい「長いもの」とは何か?

人類は喫煙をやめることはできないのか

喫煙がなぜ健康によくないのか、については、今の時代改めて説明する必要もないかと思うので、今回は省きます。

たばこは、嗜好品として、一時的に気分を落ち着けるなどの効果がありますが、

  • 中毒性が強い
  • 発がん性が高い
  • 吸わない周囲の人たちの健康をも害する

というシロモノですから、総合的に見て「体に悪いもの」であることは決定的です。

もし、人間がたばこを発明する時に、これだけの健康リスクがわかっていれば、社会はたばこの生産も使用も間違いなく禁止したでしょう。残念なことに、たばこの害が明確になったのは、世界中でたばこによる利潤のしくみが出来上がってしまった後でした。

今、たばこを世の中から無くしてしまうと、たばこ産業に関わる膨大な数の人たちが、収入手段を失って生活に窮するようになるでしょう。また、国や自治体の「たばこ税」の税収が失われると、大きなダメージなる所もあるでしょう。

多くのたばこ産業を抱え、たばこ税が地方の税収の重要な要素になっている日本では、喫煙の害についての“お上による啓発”が、他の先進国に比べ脆弱であるのは、そんな事情が絡んでないといえば嘘でしょう。

外圧は喫煙規制を促進できるか

そうはいっても、「周りの空気を読む」ことを重視する日本ですから、オリンピックに向けた世界からの「全面禁煙化プレッシャー」を無視することはできないのではないかと思われます。

が、しかし、同じくたばこ産業を多く抱え、国内での禁煙化も先進国らしく進みつつある“アメリカ”が、自国で売れなくなってくるたばこの販路として、まだ喫煙者の方が強い日本に売り込み圧力がかからないとも限りません。日本が弱い外圧とは、ぶっちゃけ世界の動向ではなく、アメリカの意向ですから。

2016年秋現在、安部政権がオリンピックまで続きそうな気配ですが、政府がどこを向いていくかによって、日本の禁煙文化が左右されそうな予感がします。

まさケロンのひとこと

言われてみれば、喫煙者と非喫煙者の多数決っていうよりは、吸う人がいるかいないかで喫煙席かどうか決めちゃってるな〜。非喫煙者の中には我慢してる人もいるだろうし、いっその事全席禁煙だよーってことにしちゃったほうが喫煙者も「ならしょうがないか」ってなっていいような気もする。

masakeron-normal


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。