組み立て式箱型トラック「OX」車離れが進む日本でも案外売れる?

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Written by すずき大和

イギリスの慈善家トークィル・ノーマン(Torquil Norman)氏は、自身の会社「グローバルビークル・トラスト(Global Vehicle Trust=GVT)」社から、発展途上国の人々を助けるための新発想モビリティ(移動・運搬手段)を提供するべく研究開発を行ってきました。

それは、軽量で耐久性が高く、過酷な条件下で効率的に仕事をこなす、費用対効果の高いトラックの作成です。この人道プログラムに、世界的に有名な自動車エンジニア・デザイナーの「ゴードン・マレー(Gordon Murray)」氏も賛同、CEO&テクニカルディレクターに就任し、設計・デザインを行うことになりました。

マレー氏が設計したのは、世界初の

“フラットパック(平箱梱包)可能な組み立て式トラック『OX』”

です。

2013年に最初の試作品が作られ、それから3年、400万ドルをかけて幾度かの試作品を作成、2016年9月、ついに完成度の高い試作品を世界に向けて発表しました。



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F1デザイナー、ゴードン・マレーの転身

45年のカーデザインの中で最も興味深くやりがいのある仕事

ゴードン・マレー氏は、かつてF1チーム「ブラバム」「マクラーレン」で、他に先駆けて複合素材を取り入れ、画期的なスーパーカーのデザインを手がけたことで、世界に名を馳せています。2006年、F1界を去ってからは、小さくて軽い、効率的な車の開発に全面的に取り組んできました。

2010・2011年には、最も少ないエネルギーでゴールすることを競う「Future Car Challenge」(英)において、マレー氏が開発した小型電気自動車「Lilliputian」が、日産やBMWの最新鋭車や海外メーカーのディーゼル車などを破って、2年連続優勝しています。

そんなマレー氏は、今回のノーマン氏とのコラボレーションによるOX開発について、

「OXの設計と試作プログラムは、F1を含めカーデザインの私の45年の経験の中で、間違いなく最も興味深く、やりがいのある仕事の一つです!」


と語っています。

「ゴードン・マレー(Gordon Murray)」氏


世界初の組み立て式トラックは機能性も世界一

日本での報道では、“組み立て式”であることに注目された記事が多いようです。が、途上国の開発援助に重点が置かれたプログラムとして、

  • 貧弱なインフラの発展途上国の農村部で活躍できる
  • 軽量で、しかも堅牢性と耐久性に優れる
  • 不利な地形や敵対的な条件での動作が可能
  • 低コストで、簡単にメンテナンスできるよう、部品点数を削減
  • 輸送コストを大幅に削減し、出荷を容易にする

という点に極めて優れることが最も着目され、評価されています。組み立て式にしたのは、それらの目的を満たすために取り入れられた手法のひとつに過ぎません。

発展途上国での過酷な使われ方を考えると、よりパワーのある四輪駆動システムが相応しく思われがちですが、マレー氏は、まったく逆の発想から、二輪駆動でも機能性に優れた本品を開発しました。


OXは、巧妙で革新的な設計により、四駆と変わらない機動性やパワーを兼ね備えながら、軽量・シンプルな作りにすることにより、タイヤの摩耗や燃費の問題も大きく改善しています。

英語の公式サイトの中で、その辺、従来の四駆車との様々な機能比較の一覧が載っています。自動翻訳を使うとほとんど直訳でもわかりやすいので、ご興味あればご覧ください。


軽量化と丈夫さを可能にした特殊工法

マレー氏が開発した革新的な製造方法とは、同氏が

「iStream」(Stabilized Tube-Reinforced Exoframe Advanced Manufacturing)

と名付けた工法です。2010年の電気自動車開発で既に使っていた工法でした。

鋼製のボディの代わりに、ハチの巣状の鋼管フレームを使用することで、大幅に軽量化しながら、強度も保っています。これにより、従来品と比べ20~25%軽量化できます。また設備投資が80%減、エネルギー消費が60%減になると、マレー氏はいいます。

頑丈にするため、これまでの開発では、フレームに繊維ガラスやポリウレタン、紙などの複合材料をコーティングしてきました。が、OXではアフリカなどの途上国での過酷な使われ方に耐えられるよう、複合コーティングパネルではなく、防水加工した木質複合材を使っています。

輸送コストが低く、使い勝手が便利な組み立て式トラック

3人が12時間で組み立て完了

平箱に入って届くOXは、約60個のパーツを説明書に従って組み立てていくと完成します。専門の技術者でなくても、慣れると3人ががりで12時間くらいでできるようになります。


フロントシートに3人、後部に10人乗れます。テールゲートはスロープにもなります。


日本での需要はあるか

2016年9月現在、具体的な発売予定日は発表されていません。今後、途上国輸出をメインとした販路等の整備が行われていくと思われます。マレー氏は、先進国の農場でもニーズがあると考えていると伝えられるので、今後日本でも発売されるかもしれません。

組み立て式であることに萌える人のニーズも期待できるでしょうか。車離れが進んでいる日本の若者の興味をそそるには、居住性がちょっと不満かもしれません。

しかし、それだけの高性能、低コストの車なら、欲しい現場は農業に限らずあるような気もします。外見のシンプルなデザインは日本人に好まれるクールさですしね。今後の情報に注目です。


まさケロンのひとこと

なにこれかっこいい!!でもヘッドライトちっさ!!!!

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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。