酉の市

酉の市に欠かせない縁起物「切山椒」はピリリと粋な江戸っ子の味

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Written by すずき大和

端午の節句には柏餅、お月見にはだんご、お彼岸にはぼたもち・・・

日本の伝統行事には、セットになっている食べ物というのがよくあります。

関東地方では、年末が近づくと福を招く熊手の飾り物を売る市が開かれます。

東京では「酉の市」、埼玉では「おかめ市」などと呼ばれていますが、あのお祭の時には、何か定番の食べ物があるのでしょうか・・・。



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酉の市は来る年の幸せを粋に祈る行事

日本武尊にあやかり、開運・招福を願う

酉の市は、東京都足立区の神社から始まり、江戸時代に千住と浅草でも開催するようになってとても栄えた、お江戸の人気市です。明治以降に近郊の神社やお寺にも波及して、現在では埼玉や神奈川、千葉、北関東にまで広がっている南関東の風物詩です。

大阪、名古屋、静岡など、首都圏以外にも4か所だけやっている所がありますが、中心はやはり東京で、“江戸っ子気質”がいたるところに反映されています。

「宵越しの銭は持たない」ことが“粋”とされた江戸っ子は、

  • 何事も気風よく
  • うだうだ時間をかけず
  • 回りくどいこともいわず
  • バシっと判断を下しながら潔く対処していく

という姿勢が好まれます。

日本武尊(ヤマトタケルのみこと)に由来する神社が、尊の命日にちなんで、年末の酉の日に翌年の開運・招福を祈願した年中行事が、酉の市のそもそもの起源といわれています。

日本武尊は古事記や日本書記に登場する、古代天皇の皇子です。実在したのか神話の中の創造物かは定かではありません。

大和の国が周囲の勢力を平定しながら国家統一を図っていった時代、父王に疎まれながらも、次々と強敵を制覇して武勇を示し、最後は力尽き潔く若くして死んでしまう英雄です。逃げず腐らず、挑まれれば受けて立ってしまう気風は、江戸っ子が好きそうな生き様かもしれません。

食べるものも、縁起にあやかって開運・招福

縁起のいい屋台フード

「財をかっこみ、福をはきこむ」熊手は、開運・招福につながる縁起物です。

他にも、酉の市は運気を上げ、邪気を払う縁起のいいものに溢れるイベントです。

月見だんごやぼたもちのように、酉の市の日に家族団らんしながら食べるお約束料理のようなものは、特に決まっていないようです。が、江戸時代、縁日の中で決まって売られる縁起のいい食べ物というのがいくつかあったようです。

現在も引き続き、浅草や新宿花園神社など東京の大きな酉の市に行くと売られているのは、

「頭の芋(とうのいも)」

「切山椒(きりざんしょ)」

の2点です。

出世と子宝のシンボル、頭の芋

頭の芋は、お正月のお節料理にもする「八頭(やつがしら)」というごつい芋です。

蒸したものが笹に通して売られています。

  • ごろごろ並ぶ頭の上にたつように、「かしら(リーダー)になって出世する」こと
  • ひとつの種芋からたくさんの芋ができるように、「子宝に恵まれる」こと

を祈念する縁起物です。


めでたく縁起のいいお正月のお菓子、切山椒

切山椒も、主に東日本で昔からお正月の縁起の良いお菓子として作られてきました。

そのルーツがどこなのか既にもうわからないくらい、日本に長くある餅菓子です。江戸時代には既にあり、酉の市には、江戸時代終盤頃から並ぶようになりました。

上新粉と砂糖、山椒の粉を混ぜて練り、蒸したものを臼でついてから延ばして細く切った、拍子木型(細長い直方体)のお餅です。食紅や黒砂糖、抹茶で色づけして、白、赤、茶色、緑の四色に作ります。

ランダムに混ぜて並べると、カラフルな羊羹のようで華やかです。

無駄なく有益なスグレモノ、山椒

切山椒は、ビジュアルがいかにも祝い事向けであるだけでなく、「山椒」という植物に、とても縁起のいい所以があります。

山椒は日本最古の香辛料ともいわれています。葉も花も実も食べられます。幹や樹皮まで何かしらに加工され、使われます。山椒の木は固いので、スリコギや杖に適しているそうです。捨てるところが何もないことから、大変縁起のいいものとされているのです。

また、山椒には

  • 食粘膜の強化
  • 整腸作用
  • 動脈硬化予防
  • 疲労回復
  • 血中コレステロール値低下

などの効能があり、食べると風邪をひかないともいわれています。

まるで、邪気を払ってくれているかのようです。

大人の刺激を味わうお菓子

切山椒の食感は、すあまをもう少し柔らかくした感じです。ほんのりとした柔らかな甘みの中で、山椒のビリリとした刺激が、特徴的です。

子供たちにとっては、特別な時にだけ食べられる、他にはない大人の味わいに感じられました。

ただ甘いだけではなく、一発爽やかなインパクトを残すところが、江戸っ子的にも粋でした。

山椒を「さんしょう」といわず、

「さんしょ」

と短くパンパンッというところは、江戸っ子らしさのこだわりです。

浅草鷲神社に出店している老舗の、おかめの熊手の絵のパッケージの切山椒が有名です。


頭の芋は浅草以外では出店していない所も多いですが、切山椒は大きな酉の市では必ずあります。どちらも、見かけたら、縁起担ぎにぜひ一度お試しください。

まさケロンのひとこと

切山椒で江戸っ子を感じてこその酉の市!!

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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。