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ネバネバ食品で夏バテ防止。多彩なパワーおくらの底力を見よ!

Written by すずき大和

8月半ば、世の中お盆休みにはいる人がたくさんいる時季、暦の上では秋に入っていますが、連日30℃を超える真夏日、猛暑日が続いたり、台風の接近による被害が心配されたりする頃でもあります。

梅雨明けが早く、7月から厳しい暑さが続いた年などは、夏バテ症状にぐったりする人もちらほら出て来ます。

せっかくの夏休み、ダラダラごろごろ体力回復に専念しているだけで終わってしまってはもったいないです。

日々の食生活についても、暑さに疲れたからだの元気をより回復させる効果の高そうな献立に配慮し、食べて暑さに打ち勝ちましょう。



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とろみ効果で食欲増進、体調を整えるネバネバ食品

ネバネバ食品は元気の味方

昔から、

「夏場を乗り切るためには、ネバネバ食感の食材がいい」

と、よくいわれてきました。

ネバネバ、ヌルヌルしたものは、そのトロッとした食感がのどごしよく感じられ、食欲減退する夏でも比較的食べやすく、食欲を増進する効果があります。

加熱するとネバネバが適度なとろみに変わり、スープなどを冷めにくくして、身体を温める効果にもなります。

冷房でからだが冷えすぎてしまった時にもオススメ食材なのです。

また、とろみのあるものはお腹の中で胃腸の粘膜を保護する働きもあります。

ビールの飲み過ぎ、冷たいものの食べ過ぎによる刺激にさらされぎみの胃腸にかかる負担を和らげて、お腹を壊しにくくし、胃炎や胃潰瘍の予防もしてくれます。

ネバネバのもと「ムチン」「ペクチン」「フコイダン」

近代になると、ネバネバをつくる物質の正体もいろいろわかるようになりました。

オクラやとろろ芋、納豆、モロヘイヤ、なめこなどにたくさん含まれている「ムチン」は、特に粘膜保護の働きが強く、鼻やのどなど呼吸器の粘膜も強くして、風邪予防にもいいことがわかっています。

また、タンパク質の消化吸収を助ける効果もあります。

めかぶや昆布、もずくなどの海草のヌメリの元は、「ペクチン」「フコイダン」「アルギン酸」などの水溶性の食物繊維です。

これらの物質には、血液をサラサラにする効果があります。

また、糖の吸収を抑える働きがあり、糖尿病の予防にも有効といわれます。

食物繊維なので、腸内のビフィズス菌を増やして便秘の解消にも効果的です。

フコイダンには、胃のトラブルのもとになるピロリ菌を抑制する働きもあります。

夏バテ効果抜群の夏野菜「おくら」

ネバネバ夏野菜の代表選手といえば「おくら」

ネバネバな野菜というと、トロロの元になる

  • とろろ芋
  • やま芋
  • 長芋

などと「おくら」が一番ポピュラーでしょうか。

どちらもムチンがたくさん含まれる食品ですが、ムチンは実は熱に弱いので、芋類はトロロか短冊など生で食べないと効果が減少してしまいます。

また、芋類の旬はじつは冬場や初夏の頃で、真夏のものは寝かせておいた保存品です。

5~8月の夏場中ずっと最盛期のおくらは、ムチンに加えてペクチン、ガラクタン、アラバンという食物繊維系のネバネバ物質も豊富で、これらは熱にも強いです。

緑黄色野菜なので、ネバネバ成分に加え、免疫力を高めるなどの効果で知られるβカロテンやビタミンCも豊富に含まれます。

また、カルシウムや鉄、カリウムなどのミネラルも多く含み、夏バテ予防に大変効果的な食材です。

値段も栄養価も安定している旬のおくらを活用しよう

おくらは土と繋がっている時はとても生命力が強く、種をまいて2ヶ月で花が咲き始め、10日ほど後には収穫できます。

成熟して種が獲れる前に実を獲っていると、次々と花を咲かせ続けるので、夏の間は新鮮なおくらが毎日たくさん収穫できます。

おくらはあまり大きくなると味や食感が落ちるので、小ぶりでつやがある濃い緑色になった時が収穫期です。

育ちが早く、一日収穫が遅れるだけで大きくなりすぎてしまうため、おくら農家の皆さんは、夏は毎日が戦場のような忙しさとなるそうです。

おかげで毎日毎日新鮮で美味しいおくらが安定的に出荷されています。

加熱時間も短めに簡単に調理できますから、ビタミンCなど壊れやすい栄養も、たくさん失われることなく摂ることができます。

天候などで左右されやすい葉物野菜に比べ、値も安定していますから、夏バテ防止のためにもぜひ進んでおくらを活用してください。

収穫後はとってもデリケート。保存に注意!

枝からもがれて土と離れたおくらの実は、今度はびっくりするほどデリケートな野菜になります。

乾燥にも低温にも弱い食材で、思っている以上に早く痛みます。

そのまま冷蔵庫の奥に無造作に入れてしまうと、冷気であっという間に色つやもなくなり、軽くしなびたようになってしまいます。

毎日新鮮な品が店頭に出て来るので、小分けのものを選んで食べきれる量だけ買って、冷蔵庫には入れず、一度で使い切ってしまうことをオススメします。

そう毎日買い物にいけない人は、保存方法にひと手間かけましょう。

ポリ袋に入れるか新聞紙に包んで乾燥しないようにしてから、冷蔵庫の野菜室に入れると、2、3日は元気です。

切ってから保管する時は密閉容器に入れてできるだけ空気に触れないようにしてください。

一週間以上保存する時は、塩を振って軽くもんで産毛をとってから、さっと水で洗い、よく水気をふきとってバットに並べて冷凍します。

凍ったらまとめて保存袋に入れましょう。真空パックができればなおいいです。

生のまま冷凍ではなく、一度茹でる場合は、そのまま食べる時よりも短いゆで時間にしてください。

茹でてピューレにしてから冷凍したものは、ソースやドレッシングにすぐ使えます。

8月15日の誕生花はおくらの花

おくらの収穫期は花期とほぼ重なっており、夏のおくら畑には、葵によく似た薄黄色の花がたくさん咲いています(おくらはトロロアオイ科です)。

お盆の8月15日の誕生花のひとつはおくらの花となっています。

ちなみに、花も食べる地方もありますが、花もやっぱりネバネバ食感だそうです。

花言葉は

「恋によって身が細る」

です。

実のほうは夏バテで食欲減退し、夏痩せしてしまうのを防ぐには、うってつけのパワフル食材なのに、面白いですね。

まさケロンのひとこと

まさケロンは蕎麦に「とろろ」と「おくら」いれて食べるのが好きなんだけど、これが夏バテ防止に効果があったとは!

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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。