卒業や成人式、就職祝いなどに贈られることの多い印鑑。
自分の印鑑を持つということは、大人になった証拠でもあります。
でも、その印鑑のこと、ちゃんと理解していますか?
知っているようで、実はあまり知らなかったりする印鑑事情。
この機会に印鑑の世界を覗いていきましょう!
印鑑の歴史
シルクロードを旅して
この世界に印鑑が生まれたのはメソポタミア文明の頃。
5千年も前の話です。
その印鑑はシルクロードをひたすら歩み続け、漸く中国に到着。
そして日本へと伝わってきたのです。
印鑑制度の始まり
国内で一般の人が印鑑を使えるようになったのは明治時代。
それまでは貴族や武士などの、ほんの一部の階級の人のみに使用が許されていました。
そして明治時代に印鑑登録制度がスタート。
それが現代に引き継がれてきているのです。
実印とは、どんな印鑑?
印鑑登録制度
この印鑑登録制度。
自分の印鑑を持つような立場になったなら、この制度の利用も考える必要が出てきます。
印鑑登録をすると、その印鑑が「実印」となります。
外見で判断しないで
勘違いしてはいけないのが、実印は高そうで立派な印鑑を指す訳ではありません。
印面の文字が読み取れないくらいに、グニャグニャした文字で彫られているものもありますよね。
そういうのも全てが実印と思い込まないようにして下さい。
実印は外見どうこうではなく、登録したかどうかの問題なのです。
登録出来る印鑑
登録は市町村の役場で行ないます。
ではどんな印鑑でも登録が可能なのでしょうか。
登録できる印鑑には、ちゃんと規定があります。
- 8mmから25mmの正方形に収まる印影であること。
- 住民基本台帳に登録されている文字を使用していること。
- フルネームでの刻印が望ましい。
なぜ、フルネームがいいの?
世の中には自分と同姓の人が結構いるもの。
姓だけを刻印した印鑑だと、同じに物になってしまうことも考えられます。
フルネームだと、その確率はだいぶ低くなりますよね。
大切な契約などに使用する実印だからこそ、誰かと同じなんてことにはならないようにしたいものです。
たった一つの印鑑にしたいから
そんなことからも分かると思いますが、世の中でたった一つの印鑑を作る為に、あのグニャグニャした文字(篆書体や印相体)で作ったり、実印だからこそ簡単に破損することがないように、材質の良い物を使う人が多いのです。
その結果として、
立派な印鑑=実印
というイメージが出来上がっているのでしょう。
実印の出番
実印は不動産の売買や車の購入、遺産相続の時など、かなり重要な場面で使用するものです。
ひとつの財産と考えて、大切に保管しましょう。
銀行印や宅配便の受け取り印などに使用してはいけません。
保管の方法
保管にも気を付けましょう。
簡単に破損することがないように、きちんと印鑑ケースに入れておきます。
熱に弱い材質のこともあるので、直射日光が当たる所、暖房器具などの温風が直接当たる所は避けましょう。
銀行印とは
どう使う?
銀行印もとても重要な物。
金融機関での口座の開設、金銭の出し入れなどにも使います。
銀行印の場合は姓のみの刻印でもOKです。
実印と同じように印鑑ケースに入れて、通帳とは必ず別々の場所で保管しましょう。
どれだっけ…
どの印鑑を銀行印として使用しているかが分からなくなった場合は、通帳と候補の印鑑と身分証明書を持って金融機関へ行けば、すぐに分かるようになっています。
印鑑を紛失したら
まず何をすればいいの?
実印を紛失したら、登録している役場へ行って印鑑登録廃止の手続きをして下さい。
新たに登録申請が出来るような別の印鑑を持参すれば、廃止と申請の手続きを一度に終わらせられます。
銀行印も金融機関に届け出る必要があります。
やはり別の印鑑を持参して改印届けも一緒に申請出来るようにしましょう。
実印も銀行印も該当機関に出向く前に、何が必要かを事前に電話で確認することをお勧めします。
念の為に警察にも
また両方とも、警察への紛失届を出しましょう。
盗まれている可能性も否定出来ません。
また会社の印鑑などの紛失の場合は、関係先や取引先などへの連絡を忘れずに。
普段はペアを解消しておく
大切なものは印鑑本体だけと思っていませんか?
大抵の場合、印鑑は単独での効力はありません。
対になる書類などと一緒である必要があります。
ですから、その対になる書類とは必ず別々に保管しましょう。(銀行印と通帳のように)
どこが安全?
実印は『金融機関の貸金庫』などで保管すると安心です。
自宅の金庫で保管する場合は、金庫ごと盗まれないように『床や壁などに固定出来る』タイプにしましょう。
何気なくやっているけど
意外と盲点になっているのは印影の処理。
試し押しをした紙などをそのままゴミ箱に捨てたりしていませんか?
何気なくやっているこの行為、結構危険だったりするのです。
印鑑も作れちゃうから
今、話題の「3Dプリンター」。
実はこの3Dプリンターを使って、印鑑が作れるのです。
印影さえ手に入れば、あなたの持っている印鑑と同じ物が作れちゃうということ。
便利な物は残念なことに、犯罪の上でも便利な物になってしまいます。
印鑑はメジャーじゃなかった
アジアで活躍
日本では重要なところでの出番が多い印鑑。
他の国はどうなっているのでしょう。
印鑑を使用するのは日本や台湾、ベトナムなど東南アジアの一部の国だけなのです。
メリット・デメリット
欧米ではサインが主流。
このサインの方が犯罪に繋がりにくいともいわれています。
印鑑はそれさえあれば、家族や他人でも使うことが可能です。
本人に代わってある程度のことが出来てしまうという、メリット・デメリットの両面を持ち合わせています。
サインは意外と真似できない
しかしサインだと、そうはいきません。
サインは予め書類に書いて持参するということがありません。
殆どの場合、誰かの目の前で書くというシチュエーションばかりです。
どんなに筆跡を練習しても、誰かの前で書くというのはプレッシャーにもなり、そう簡単に真似できるものとは思えません。
サインを認証する技術
またサイン認証技術なる物もちゃんとあるのです。
サインの筆圧や形状、筆記の癖などを照合するシステムで、その動きやスピードまで細かく分析。
でも、このシステムのデータが盗まれたら、もう終わり?
さすがです
そのへんのことも、ちゃんと考えられています。
100%一致したサインを書かれた場合、このシステムはNOを出すそうです。
例え本人といえども、全く同じサインは出来ないということまで、インプットされているのです。
これなら安心かも知れませんね。
印鑑をきれいに押したい!
まずはコレ↓
印鑑を押すのが苦手という人は、以下のようにやってみましょう。
- 捺印マットを使う
- 朱肉を付け過ぎないこと 印鑑の重みで朱肉を付けるような感じで
- 印鑑を人差し指の付け根付近に当て、てっぺんから垂直に押す
- 長くギューと押さずに、短くギュッと押す
こんな方法もあります
捺印マットの代わりに『消しゴム』を使うのもOK。
ただ消しゴムは面積が小さいので、最初はやりにくいかも知れません。
『ティッシュペーパーを四つ折りにして、その上で押す』というシンプルな方法も。
終わったら、そのティッシュペーパーで印鑑をきれいに拭いてあげましょう。
こんな印鑑たち
女心、くすぐります
印鑑の専門店などに行くと、とても鮮やかな色やキラキラした柄の印鑑が目に飛び込んできます。そこには昔ながらのシンプルで地味な印鑑のお店のイメージはありません。
まずは女心をくすぐるのが1番と言わんばかりに、思わず立ち止まって見てしまいたくなる印鑑が並んでいます。
可愛くてお得
パステルカラーにネイルアート風、ラメ入り素材や浴衣の柄のような和風な物まで、幅広い年代の人に選びやすい可愛い印鑑が勢揃い。
値段もお手頃で、お揃いの印鑑ケースが付いてくることも。
プレゼントにおススメ
印鑑をプレゼントするなら、ネームや記念日が側面に入れられるものがおススメ。
ローマ字でおしゃれに入れてもらえます。
可愛くしたければ、文字の周りに飾り柄も付けられます。
印鑑本体ではなく、印鑑ケースのフタ裏に文字や写真を入れるタイプもあります。
記念に残る嬉しいプレゼントですよね。
時代はスタンプへ
ちょっと前までは「お名前シール」だったのに、今は「お名前スタンプ」の時代なのです。
子どもの入園・入学は記名作業が一苦労。
とにかく、ありとあらゆる持ち物に記名が必要だから大変です。
修行中…
特にコップやお箸、鉛筆などの立体的な物は書きにくいもの。
なんか修行しているみたいだな~と思うくらい書いたものです。
それが今では印鑑を押すだけ…。
一体、どんなものなのでしょう。
これは便利♪
お名前スタンプは専用のスタンプパッドが『油性』。
「水に濡れてもOK」という強者なのです。
また名前の入ったゴム印が何種類もあるのです。
漢字、平仮名、大小サイズもいろいろ、縦書き・横書き両方あって、最大で20種類近くのゴム印が入ったセットもあります。
布にも押せるので、帽子から靴下に至る全て物に対応可能ということになります。
これは、かなり便利な商品。忙しいママやパパにお勧めです。
印鑑は大切な文化のひとつ
こうやって改めて見てみると、印鑑も随分イメージチェンジをしてきたんですね。
きっとこれからも、いろいろなデザイン、材質、用途の印鑑が生まれてくることでしょう。
印鑑制度が今後ずっと続いていくかどうかは分かりませんが、印鑑自体はなくなってほしくありません。
発祥の地は遠くても、失われずに根付いてきた日本の大切な文化のひとつ。
これからの世代にも使い続けてもらえることを願っています。
印鑑にも色々な種類があるんだね~。それぞれの役割を理解して、大切に長く使っていきたいね。