30年くらい前のタクシーといえば、乗車拒否は日常茶飯事、愛想なし、一万円札を出せば、
なんてことを平気で言うドライバーも珍しくありませんでした。
そんなこと許されるの!?
今の若い世代から見たら、とんでもない話ですよね。
それが現在はどうでしょう。
その頃には想像もつかないような変貌ぶり。あんなドライバーとは、おそらくもう二度と会う機会はないのでしょう。
タクシー業界も切磋琢磨しております
基本は「外出のお手伝い」
もう人を乗せるだけのタクシーではありません。
全国津々浦々でタクシー会社の切磋琢磨は続いています。
もう当たり前になりつつあるのが「介護タクシー」。
ホームヘルパー2級を取得したドライバーが高齢者や障がい者の外出を手伝ってくれます。
車いすを乗せられるタクシーも多くなってきているので、諦めていた外出も可能になってくるでしょう。
買い物に行きますよ♪
外出といえば、生活していく上で必要不可欠なのは買い物。
でも一人では心許なかったり、体調不良などで外に出られなかったりということもあるでしょう。
そんな時に対応してくれるのが、「買い物同行・買い物代行サービス」。
指定のお店で買い物に同行、または買い物の代行をしてもらえます。
気兼ねなく頼める
どうしても外出が不可能な人には「便利屋タクシー」なんてサービスも。
- 病院予約や順番取り、薬の受け取り
- 買い物、忘れ物、書類の代理受領とお届け
- 郵便物の投函
- 各種チケット代行購入
これは嬉しいサービスだといえるでしょう。
「ちょっとしたことだけど出来ない」と悩んでいる人は少なくありません。
「ビジネスだからこそ、気兼ねなく頼める」そんな思いを汲み上げてくれた取り組みといえるでしょう。
民間救急タクシーのシステム
救急車を呼ぶほどじゃないけれど
体調が悪いけど、救急車を呼ぶほどではない。病院に行きたいけど交通の便が悪く、一人では行くことが出来ない。
車いすやストレッチャーのまま移動したい。そんな願いを叶えてくれるのが「民間救急タクシー」。
福岡県内にある飯倉タクシーの場合、患者の病態に合わせた事前準備をしてくれます。
例えば、・硬さが調整された敷きマットや寝具を用意
- 酸素の準備
- 失禁や嘔吐の可能性を考えた準備
- 感染病への対策
これは結構本格的。あらゆる病態を想定しているサービスと言えるでしょう。
命を預けるからこそ
「救急車には頼めない、でも普通の車にも乗れない」今はもちろんですが、これから先の時代にとって一気に需要が高まることが予測出来ます。
このサービスを受けるには事前の登録が必要です。
- 患者本人の名前、もしくはイニシャル、年齢、性別
- 連絡が付く人の名前、電話番号
- 搬送予定の出発時刻
- 搬送元の病院名や自宅住所、電話番号等
- 搬送先の病院名等
- 患者の容態、搬送時の注意点など
患者を送り届けるために必要な情報をきちんと把握しようという思いが伝わってきます。
核家族化のデメリットにも対応
もしもの時、助け合える?
核家族世帯が当たり前になり、隣近所とも付き合いがない…そんなことが普通になっている世の中。
プライバシーは守られますが、どんな人が隣りに住んでいるのか分からない「不安」というデメリットもあります。
特に緊急時は、遠くの親戚より近くの他人。自分が一人の時に体調が悪くなった場合、災害が起きた時、助け合えるのだろうか…時折そんな心配がよぎる人も少なくない筈です。
プレママには安心
体調の急変は人間なら誰にでも起こり得るものではあるのですが、出産もそんな心配事のひとつ。
誰もいない家の中で陣痛が始まったり、急に破水してしまうと初産の人は特にパニックになってしまうかも知れません。
そんな声や要望もあったのでしょう。妊婦の状態に合わせた対応が出来る「陣痛タクシー」や「ママサポートタクシー」と呼ばれるものが登場。
助産師による研修を受けたドライバーや女性ドライバーが対応してくれるそうです。
至れり尽くせり
陣痛が始まってから乗車する場合は、予めバスタオルや防水シートの準備をしてくれたり、その時に支払いが困難な場合は後日払いでもOK。
登録は無料で、365日24時間優先配車というシステムを導入している所もあります。
また陣痛時に限らず、妊娠中の定期検診や買い物、子どもの急な体調不良で病院に行きたい場合などにも利用出来るという至れり尽くせりなサービスもあるんです。
子どもの安全を第一に考える
キッズタクシー
「子育て支援タクシー(キッズタクシーとも)」なるものも登場。
子どもだけでの乗車をサポートしてくれるサービスです。
子どもを狙った悪質な犯罪が後を絶たないことから、子どもがタクシーを使わざるを得ない世の中になってしまったんですね。
既に全国子育てタクシー協会というものが存在していて、タクシー会社はそこに加盟して教育研修を受けるシステムになっているそうです。
子どもの安全を第一に考えています
認定されたドライバーをファイルに登録し、同じファイルを保護者や保育の担当者、タクシー会社がそれぞれ保管。
子どもがタクシーを利用する際のドライバー確認の為に使います。利用する子どもの情報や緊急連絡先等も、タクシー会社に提供します。
タクシーは通常、利用者が目的地で降車した時点でサービスが終了しますが、このキッズタクシーの場合はドライバーが自宅や保育施設等の中まで同行し、保護者や家族、保育担当者に直接預けることで、その業務が終了するというシステムになっています。
またその都度子どもに現金を持たせる必要はなく、1ヶ月単位などでのまとめ払いが可能になっている場合が多いようです。
タクシーの始まり
1マイル60銭
そもそも日本にタクシーが登場したのは大正元年(1912年)。
東京・数寄屋橋近くに会社を置き、6台でスタート。1マイル60銭だったそうです。
1マイル=約1,6km 100銭=1円なので、この頃は初乗りが1円もしなかったんですね。
そう考えると安い!って思いがちですが、現代の貨幣価値に当てはめると2,300円程度だというから逆に高かったということになります。
贅沢だけど需要はありました
それでも順調に台数を増やしていったそうなので、高くても需要があったのでしょう。
その後、大正14年(1925年)には初乗り運賃が1円に。
戦時中はガソリンが配給制となった為、その営業は厳しかったりもしましたが、終戦後は復活。東京オリンピックが開催された1964年には初乗り料金も100円になり、女性ドライバーも登場しました。
ドライバーの印象が悪かった頃
タクシーはその後も増え続け、1990年代には初乗り運賃が500円台に。
1990年代後半からは禁煙タクシーも当たり前になってきました。
この頃から、マナーの悪いドライバーが減ってきたように思えます。
それ以前は目的地がわりと近い場所だったりすると、
と、こっちが一度乗ったにも関わらず降車を迫るような態度をされたり、支払いの時におつりをもらうのを待っていたら、
と言われることもありました。
もちろん、きちんとした態度のドライバーの方が多かったのですが、一部のドライバーの態度があまりにも酷かったので、「タクシーで嫌な思いをした」と腹立たしげに話す人が多かったのです。
総じてイメージはあまり良くなかったと言えるでしょう。
変われるんです
変化を遂げたタクシー業界
最近ではタクシー乗り場に行くと、後部座席のドアの横に立って出迎える姿勢で待っているドライバーさえ見かけるようになりました。
愛想の悪いドライバーにも当たることがなくなりました。
ドライバーへの教育や指導が徹底されているのが伝わってきます。
消費者サイドでも、嫌な思いをしたら即クレームの連絡を入れるという方法が当たり前になってきている為、サービスを提供する方は余計に神経を尖らせてしまうのでしょう。
生き残る為の手段
タクシー業界も決して安泰ではありません。
「タクシーは贅沢」というイメージから脱皮しなくては、生き残れないのは確かでしょう。
バブルの頃はタクシーばかりを使っていた人達も、バブル崩壊後は電車やバスなどでの移動を心がけるようになり、更に健康ブームで歩くことが推奨されるようになった為、タクシーの出番は減る一方。
そこで様々なサービスを取り入れるようになり、更に個性も加えて話題性を持つことも必要になってきました。
普段の生活に利用出来るタクシーに
ドライバーでガイドさん?
観光地には必ずある「観光タクシー」。
その名の通り、観光名所を案内してくれます。コースプランもたくさんあるので、HPの案内を見ながら決めるといいでしょう。
オリジナルプランも頼めます。
京都の観光タクシーでは3時間30分コースから8時間30分コースまで選べたり、英語のみではなく韓国語、フランス語、スペイン語、中国語まで対応可能なところもあるんです。
写真撮影もしてくれますし、とにかく知識が豊富。
ドライバーというより、観光ガイド。いろいろ教えてくれるので、それだけでも利用した価値が大きいと言えるでしょう。
お墓参りも
ママサポートタクシー、キッズタクシー、便利屋タクシー、買い物タクシー、観光タクシー、民間救急タクシー、介護タクシーなど、生まれてから高齢者になるまでのあらゆるシーンでタクシーが活躍していることが分かります。
そして最後に紹介するのは…「お墓参り代行・同行サービス」。
お墓までの交通の便が悪い、身体が不自由、荷物が持てないなどの事情がある人には同行サービス。
遠方にいてお墓参りが出来ない、家から出ることが出来ないなど、完全にドライバーにお任せするのが代行サービス。
代行の場合は合唱礼拝から始まり、お墓の掃除まで丁寧にやってもらえるそうです。
掃除が終わったら、お墓の写真撮影。きれいにした証拠を撮って、依頼主に送るところまでが業務となっています。
身近になってきました
これだけいろいろなサービスに取り組むタクシー会社。
ドライバーも運転するだけではなく、介護や救急対応などの知識や技能を身に付けなくてはならない時代になりました。
どんな仕事でも、プラスαが求められます。
アイデアとオリジナルで頑張っているタクシー業界。タクシーが段々と身近な存在になりつつあるのを感じるこの頃です。
タクシーは「ただ人を運ぶだけ」じゃなくなってきてるんだね。
タクシードライバーに転職する、なんて時は前職の魅力を前面に押し出したタクシーにしたいね!