消費税も上がり、景気回復の恩恵が庶民までなかなか回ってこない昨今、家計の足しに、庭の小さなスペースや屋内やベランダのプランターで、野菜などを作る人が少しずつ増えているそうです。
狭いスペースで、低コストで、それほど手間がかからず、ナスやプチトマトやパセリや大根を自家栽培できると、何かと助かります。より効率的に収穫するために、大きくてたくさんの実が成るよう、栽培方法を工夫している人もいるでしょう。
もし、地上の茎と地下茎の両方に実が成る野菜があったら、便利ですよねぇ・・・。
なんて思っていたら、イギリスのとある種と苗のオーダー販売業者が、
“ナスの地下茎にジャガイモが成る”
もしくは“ジャガイモの茎にナスが成る”
摩訶不思議な野菜を開発した!というニュースが飛び込んできました。
秘密道具も遺伝子操作もない、品種改良の産物
プランターで自家栽培できるハイブリッド野菜
イギリスの種苗屋さん「トンプソン&モーガン(Thompson & Morgan)」が開発したこの新種の苗は、
「エッグ・アンド・チップス(Egg and Chips)」
という名称で販売されています。
サイトの説明では、ひとつの株から、米茄子のような丸々としたビッグサイズのナスが3~4個と、ジャガイモ約2kgが収穫できるそうです。大き目のプランター植えで、普通の家庭で一般のナスやジャガイモの苗と同じように育てることができます。
2種類の実の収穫期もほぼ同時期で、ナスとジャガイモが上下にたわわに成った写真が紹介されています。
どんな魔法を使ったらこうなる?
ドラえもんの秘密道具に
「植物改造エキス」(作品によっては「植物改造注射」)
というものがあります。
木の幹に「カレーライス」とか「ホットケーキ」とかのアンプルを注射器で注射すると、中から出来たてホカホカのカレーライスやホットケーキが出てくる大きな実が成る、という便利で楽しい道具です。
さすがに、調理済みの料理が付合わせ付きの盛りつけで再現される植物を実現することは、22世紀の科学でもたぶん無理とは思います。それでも、
“全然ちがう木(苗)に、別の種類の植物の実を成らせる”
ことが可能なテクノロジーくらいならできるかな~、なんて気もしていましたが、まさか21世紀初頭に、既に出現してしまうとは!びっくりです。
といっても、エッグ・アンド・チップスは、決してナスの苗にジャガイモアンプルを注射したわけではありません。
企業秘密なので、真相は明らかにされていませんが、遺伝子組み換え等の非自然的なテクノロジーを使ったわけでもなく、「自然で安全な」品種改良工程を積み重ねた結果の開発だそうです。
エッグ・アンド・チップスは卵とジャガイモじゃないの?
イギリス人のソウルフード「チップス」
チップスとは、日本でいう「フライドポテト」のことです。
イギリスでは、おやつに、付け合わせに、時には主食のように食べられている、至ってポピュラーで身近な料理です。イギリス人にとっては、ある意味「おふくろの味」のようなものかもしれません。
白身魚フライとフライドポテトの取り合わせ「フィッシュ・アンド・チップス」は、日本でもよく聞きます。イギリスでは、フィッシュだけでなく、
- ソーセージ・アンド・チップス
- パイ・アンド・チップス
- カリー・アンド・チップス
- ビーンズ・アンド・チップス
などなど、いろいろなものと合わせたプレートを日常的に食べています。
フライドエッグ(目玉焼き)と合わせた「エッグ・アンド・チップス」もお馴染みのフレーズであり、それに引っかけた商品名となっています。
ナスがなぜ卵になる?
「卵とジャガイモじゃなくて、ナスとジャガイモじゃん」
て、思いました?
そうなんです。ナスって、実は英語では“卵の植物”
「エッグプラント(egg plant)」
っていうんです。知らなかった日本人、たくさんいるでしょう。
「なぜ紫色で細長いナスが“卵”?」
と、思うかもしれません。
が、日本では緑色が普通のカボチャがアメリカではオレンジ色であったように、ナスもアメリカでは(紫もありますが)“白”のほうが一般的なんです。
ね、卵が成っているみたいに見えるでしょ。これも、日本人はあまり知らなかったことですね。
「うちでも作ってみたい!」ですか?
エッグ・アンド・チップスの苗は、2016年5月から出荷が始まるそうです。現在、予約受付中ですが、残念ながら、日本での販売予定はありません。
「どうしても、うちでも栽培してみたい!!」
という日本の皆さんが大勢出て来るようなら、どこかのビジネスマンが販路の海外展開交渉に行ってくれるかも・・・・?
日本の環境でも育てやすいかどうか。出来た実は美味しいのかどうか・・・・わかりませんが、家庭菜園やらない人も、野菜や料理好きの人も、ちょっと興味引かれるお話です。
こりゃいいね。果たして「美味いのか」どうか!