毎年5月ごろになると芸能にニュースなどで〇〇と言う作品がカンヌ国際映画祭にエントリーされました、というニュースが流れます。国際映画祭というアカデミックな響きにつられて、思わずテレビを見たらエントリーされたのはあまり聞き覚えのない作品で、首をかしげたことはありませんか?
テレビでも取り上げられるし、日本の作品がノミネートされると大騒ぎ。その割には受賞作品は映画が好きな人でないと知らないようなマニアックなものだったり。
「カンヌ国際映画祭とは、いったいどんな映画祭」なのでしょうか?
カンヌ国際映画祭とは?
毎年5月にフランスの南部、リゾート地として有名な「カンヌ」で開かれます。カンヌ国際映画祭は、ベルリン国際映画祭、ヴェネツィア国際映画祭とともに、「世界3大映画祭」の1つです。
カンヌ国際映画祭の歴史
カンヌ国際映画祭は、イタリアの「ヴェネツィア国際映画祭」に対抗するために始まりました。その頃のイタリアはムッソリーニによる国家ファシスト党の統治下にありました。そのため、選ばれる映画は政治色の強い、ファシズムを賛辞するような偏ったものが多かったそうです。
そこで、それに対抗するためにフランス政府が援助し、開催が決まりました。
映画の発展に貢献するため
このような精神で設立されたため、カンヌ国際映画祭の目的は、
- 全ての映画製作者、映画製作国で映画を発展させること
- 芸術として確立されることの奨励
です。のちほど紹介する映画賞の部門の数が多く、多種多様なのはこのためです。
開催までの道のり
ですが、第2次世界大戦中ということもあって、第1回目の開催予定は1939年を予定していましたが、それも結局は戦争のために遅れ、実際に開催されたのは1946年のことでした。その後、さまざまな問題が起こり映画祭として安定して毎年開催されるようになったのは1951年からです。
バラエティ豊かな部門
前述したとおり、カンヌ国際映画祭にはとても多様な部門があります。
「オフィシャルセレクション」
「パラレルセクション」
があり、それぞれのセクションの中で、またたくさんの部門に分かれます。
オフィシャルセレクション
オフィシャルセレクションは「カンヌ国際映画祭のメイン部門」です。実際の賞の名前は全てフランス語なのですが、ここではわかりやすく書き換えてあります。
パルムドールと呼ばれる最高賞をはじめとして、審査員特別賞、監督賞、脚本賞、新人賞など、おなじみの映画コンテストの部門と、
- 学生の作品が対象
- 短編が対象
- 特別招待作品
- 公式にエントリーされていない作品
など、「注目されにくい作品を取り上げる部門」が目を引きます。マイナーな映画を評価をしてもらいつつ、広く知ってもらおうという開催者の意図が伝わる部門構成ですね。
パラレルセクション
- その国の文化を反映した作品
- 音楽が良いもの
- 過去の名作など
を評価する部門があります。
こちらもバラエティーに富んでいますね。「映画製作であまり注目されていないような国の作品や、映画を構成するのに欠かせない音楽」に注目しているのがわかります。
もう一つの目玉、国際見本市
国際映画祭のメインイベントは2つあります。
一つめは「メインの映画のコンペと授賞式」です。
もう一つは、「併設される国際見本市」です。これには、何百とも言う映画会社、何千人もの映画プロデューサー、バイヤー、俳優などが集まります。
世界3大映画祭の中で、このように大きな映画の見本市が同時開催されるのは「カンヌだけ」です。
ヒット作品、俳優の先物買い!?
この巨大な映画の見本市には、映画関係者が配給会社に自分たちの新作を売り込みます。中にはまだ脚本だけのもの、予告編だけの映画もあるそうです。これらがヒットするかしないかは、配給会社のバイヤーの腕にかかっているというわけです。
パーティも開かれるため、若手俳優などが自分自身をアピールするプロモーションのための場にもなっています。
これで、カンヌ国際映画祭で選ばれる映画は
- これから注目されるであろう作品や映画関係者を発掘するため
- 映画を芸術、文化として擁護していく目的
ということがわかりましたね。知名度の低い、マイナーと呼ばれる映画が選ばれるのはそういった理由からなんです。
知名度が低いけどすんごい映画ってのをみんなに教えてくれるだけでもなんか嬉しいな~。