6月5日は『世界環境デー』です。
地球の環境破壊が問題視されるようになって久しいです。最近では、温暖化や砂漠化の問題が着目されています。
砂漠化については、
なんて話があちこちに書いてあります。
6月17日は、『砂漠化および干ばつと闘う世界デー』という国際デーにもなっています。
20世紀に作られた近未来SFでは、熱帯雨林が消滅して、人類は酸素生成プラントを開発している話がよくありました。多くの人は、漠然と
「文明が発展すると、地球の緑は減っていく」
と思っているのではないでしょうか。
が、2016年4月、地球全体の緑地面積が、過去35年間で拡大していることがNASAの調査からわかった!というニュースが流れました。
地球の砂漠化ってどうなっている
砂漠化って何?
雨が少なく、乾燥していて、植物がほとんど育たない、砂が一面に広がる地域が「砂漠」です。難しいいい方では、砂漠になることは「土壌の劣化」といいます。
これまで、「サハラ砂漠(アフリカ)」「タクラマカン砂漠(中国)」などの大きな砂漠地帯を中心に、世界各地で砂漠の面積は広がってきている、といわれてきました。気候の変動によって乾燥が進むこともありますが、一番大きな原因は、
“人間の行う森林伐採や放牧・焼き畑や灌漑農業などによる開墾”
です。過剰な開発が土地の劣化につながり、砂漠化を推進しています。
世界的に砂漠化が進んでいることは以前から問題視されていました。国連は、70年代からいろいろな取り組みをしています。1994年6月17日には
が採択され、96年から発効し、6月17日は国際デーになりました。
これは、
という主旨の国際約束です。日本も締約国のひとつです。
砂漠化と熱帯林の減少はしても、全体の緑は増えた!?
砂漠化対処条約は、目の前の土壌の劣化に直面している地域の問題解決に取り組むものですが、国連は「森林減少の問題」についてもまた別の取組を行っています。
20世紀の終盤には、人間による森林伐採や大規模な森林火災などで、熱帯林を中心に、毎年広大な面積の森林が消滅している現状がありました。が、2000年以降、ヨーロッパや中国などでは逆に森林面積は増加傾向が見られました。
人的な伐採の減少や大規模な植林の取組の影響と考えられました。一方で、熱帯林は、依然として減少傾向が続いていました。
しかし、今回のNASAの調査から、80年代からの35年間で見ると、なんと世界中でアメリカ合衆国の面積にも匹敵するほどの緑地が増加していたことがわかったのです。
35年前より緑化した地域は緑色で、緑が減少した地域は黄色から紫色で示されます。
砂漠化が進んでいる所や南アメリカの熱帯林は増えていませんが、それ以外の地域では確かに増加傾向にあります。
温暖化が進むことは地球環境をよくする面がある?
増えた緑地は温暖化のおかげ!?
データの解析からは、増えた緑の70%は、温暖化に関連した影響によることが判明したということです。
温暖化の原因は、空気中に「二酸化炭素」が増え続けていることです。二酸化炭素は植物が光合成するのに不可欠なものであり、増えると植物の成長は早まります。
二酸化炭素を増やしている最大の原因は、化石燃料を燃やしてエネルギーにしているせいですが、この燃料燃焼時には、酸化窒素も排出されています。この「窒素化合物」が土壌に蓄積すると、植物の肥料になり、それも緑の発育をよくしていると思われます。
また、温暖化の大きな影響として、気象が激化してきたことがあります。「気温」が高まり、激しい豪雨などで「水」もたっぷり与えられたことで、以前より緑化が進む地域が出てきたというデータもあります。
温暖化は環境保全にとっていいことなのか?
産業の活発化などで二酸化炭素の排出は確実に増え続けているのに、実は、気温の上昇は、2000年代に入って少し緩やかになっています。二酸化炭素の増加で緑が増え、その分
“二酸化炭素の植物吸収量が、全世界で高まっている”
ことも影響していると考えられます。
森林減少や食料問題を解決するには、温暖化はまるでいいことのように思いそうです。
が、
「いいことは、あくまで短絡的な影響にすぎない」
と、専門家はいっています。
二酸化炭素濃度の増加が気温を上昇させていくことは確実です。氷河を溶かして海面を上昇させ、海水温が上がることで、台風を大きくするなど、世界中で気象現象の激化を生んで、毎年大きな被害を出しています。
もし、二酸化炭素の増加が、緑地の増加のペースを上回り、植物や海が吸収してくれる量を超えてしまったら、生態系全体を変えてしまうことも考えられます。
二酸化炭素の排出を減らして急激な温暖化を防ぐことはやはり大切なのです。
その上で、砂漠化も森林減少も食い止める取り組みを続けていく必要があります。
地球環境の変動と、資源を浪費し続ける人間の活動をこの先も継続できるかどうかの問題は、もう待ったなしの段階まできているのですから。
私たちも、人ごとと思わず、もう少しちゃんと考えたほうがいいかもしれません。そのための世界環境デーなのでしょう、たぶん。
「ほんとうに二酸化炭素の排出量を減らすべきなのか?」って疑問に思う人もでてくるかもしれないよね。いろんな問題だって、二酸化炭素を別のなにかに利用できるようにしたら解決するかもしれないし、気象を操作できるようになれば解決するかもしれないし。でもそれはそれで問題があってどうにかしなきゃいけないだろうし。とりあえず、もう少し考えてみよ。