7月半ば、東京近辺、古くから住む人の比較的多い町では、
お盆の供養
を行っている様子を目にします。
東京近辺や地方の大きな市街地の数か所を除くと、全国的には8月にお盆を迎える地域がほとんどなので、地方出身者と東京の地元民が混在する町では、7月にも8月にもお盆の光景を見ることがあります。
出身地域やお寺の違いにより、時季の違いだけでなく、お盆の迎え方、過ごし方などの細かい慣わしが、微妙に違うことはたくさんあるようです。
お盆にお墓参りするのっておかしいですか?
お盆の墓参りルールってどうなっている?
婚家のしきたりが、自分が思っていたお盆の理屈と合わなくて意味がわからず不安になっている人の声を時々聞きます。
多いのが
という意見です。
逆に、お盆休みにしか郷里に帰れない人が
という声もありました。
皆さん
との認識は一致しています。
ただ、霊の迎え方と送り方の習慣の違いが、お墓まで行く行かないの違いに繋がっているようです。
よくあるお盆の解釈とお墓参りの関係
霊は自分で家まで来て、また自分で冥界に帰って行く、と考える人たちは、お盆期間中は毎日家で霊のおもてなしをすることを奨励しています。
ただ、お盆明けに帰るお墓があまりに荒れていてはかわいそうなので、お盆の前にお墓参りしておくか、お盆中にあえて掃除のためだけに一度行く、という人もいます。
霊の送り迎えが必要と考える地域では、
お迎えと送りどちらかだけはお墓にいく、という地域もありました。
お迎えに行く行かないにかかわらず、お墓の住人全員が帰らずに、ひとりだけ留守番が残っていると説く住職さんもいて、その留守番役を供養してあげるために、お盆中にもお墓参りしていいと説いていました。
土着の慣わしと結びついて発展した各地の仏教
日本に仏教を伝えた中国でのお盆
7月15日は、中国や台湾では
中元節
という節句の日です。
これは日本のお盆と似た、死者を供養する風習です。
日本と同じ仏教国なので、死者は極楽か地獄へ行く、という死生観があり、7月は地獄から死者がこの世にさ迷い出てくる
鬼月
と言われています。
中元節には、生きている者がこのさ迷う鬼(霊)たちを供養して鎮めることで、自分の身内や先祖の死者たちが、今地獄で受けている苦役から救われると考えられています。
中元はもともと仏教ではなく、中国土着の風習
道教
の地の神様が贖罪(罪のつぐないをさせること)をする日です。
そこにインド外来の宗教・仏教の地獄の扉の説が合わさって、さ迷う霊の供養をして先祖の贖罪を願う日になりました。
死者の魂が帰ってくる思想と先祖崇拝文化
死者の霊が一年に一度家に帰ってくる、という死生観と、先祖を神様のように祀ったり拝んだりする風習は、日本古来の土着の文化です。
仏教の教えではないし、仏教を伝えてくれた中国の文化でもありません。
他の東アジア仏教国の仏壇は、仏様を祀るもので、日本のように先祖の位牌を祀るものではありません。
外来の宗教は世界のどこでも、その土地の
- 民族
- 風習
- 文化
- 宗教
と統合しながら発展し、根付いていくものです。
日本の仏壇とお墓の関係、お盆やお彼岸の風習は、日本独自に発展した宗教観なのです。
お盆の慣習の違いは宗派の違いではなく地域差です
お盆のしきたりの違いに翻弄される人たちはよく
と言います。
とアドバイスする人も多く、実際に住職さんに聞くとお墓の留守番説みたいな解釈を説いてくれる人もいます。
でも、それはその宗派の考えというより、代々の住職さんが土地土地の文化に合わせて解釈してくれたことです。
仏壇文化は浄土真宗の影響が一番強いので、浄土真宗での風習はある程度統一性があるようですが、その他の宗派は同じ宗派であっても、土地が違うと違うお盆の決まりであることも多いです。
ですから、「宗派」に固執して情報に振り回されないことも大事です。
迎え火・送り火の焚き方やお墓へのお供えの上げ方など、細かい違いに戸惑って、どれが一番正しいのかと悩んだことがある皆さん、もう「正しさ」など追わなくていいんです。
お盆はその地や家族のしきたりに合わせて、どんどん変わって今に至っているのですから、ほかの家族と違っても、どちらかが常識がないわけではありません。
悩み過ぎず、家族が幸せになれるやり方を選んでくださいね。
お盆のしきたりは、その土地にあったやり方で臨機応変に対応していかんとアカンってことやね!