赤い数字の1を持った白いうさぎのキャラクター。
名前は「マイナちゃん」。
うさぎのキャラクターは世の中に溢れているので、なかなか思い出せない人も多いと思いますが、これからは、かなりの頻度で目にすることになる筈。
2016年1月からスタートする予定の
「マイナンバー制度」
このキャラクターが「マイナちゃん」なのです。名前に、ひねりゼロですが…。
マイナンバーって、何?
3割が知らないという事実
しかし、そのマイナちゃんもさることながら、このマイナンバーという制度自体が今ひとつ知られていないのが気になるところ。
2015年1月の世論調査では、3割の人が「マイナンバーの存在を知らない」と答えたそうです。
1年後には始まるのに…?
そんなに知られてなくていいの?
国民ひとりひとりに付けられる番号だから、誰にとっても他人事ではないことなのに・・・。
一生モノの背番号
このマイナンバー。
正式には
「社会保障・税番号(共通番号)制度」
といいます。
世界共通となると、一般的に「国民総背番号制」というもので、既に
- アメリカ
- イギリス
- ドイツ
- フランス
- スウェーデン
- オーストリア
- デンマーク
- オーストラリア
- シンガポール
- 韓国
など、先進国の殆どが導入しているようです。
日本では、なかなか成立せずに
日本では1968年に佐藤内閣が、「各省庁統一個人コード連絡研究会議」を設置して、この制度の導入を目指したものの、
「個人のプライバシーが侵害される恐れがある」
という反対意見が強く、うまくいかずに終わった経緯があります。
2011年には社会保障・税一体改革の実現のため、共通番号制度の導入に向け検討が始まったものの、衆院解散で廃案に。
そして2013年に再びこの法案を提出し、やっとのことで成立、今に至るという訳なのです。
マイナンバー、なぜ必要?
とりあえずの目的は・・・
と内閣府のHPでは説明しています。
「社会保障・税番号制度」という名前なのだから、当然その社会保障と税が関係していると受け取りますよね。
3つのキーワード
同じく内閣府のHPで、
とも記しています。
実際に、このマイナンバーの目的としては
- 社会保障
- 税
- 災害対策
以上の3つに役立つシステムということなのです。
具体的に説明すると
- 一人一人の収入や社会保障の状況をつかむことで、本当に助けが必要な人に手を差し伸べられるにするのが目的。
- 年金や児童手当を受け取る手続きなどで、添付書類を提出する手間を省く。それに伴い、行政も事務作業が軽減される。
- 本来、給付を受けることが出来る人が未受給となっている一方で、本来受給を受けることが出来ない人が、不正に受給を受けているという状況をなくし、公平・公正な社会を目指す。
- 生活保護の不正受給、税金逃れのチェックがしやすい。
- 被災者台帳の作成や被災者生活再建支援金の支給に関する事務等に利用する。
どうやら➃が一番の目的なのではないのかな・・・と思いたくなります。
行政が金融機関に口座の情報開示を求めることが出来るようになるとのこと。
不正を見付けることは必要ですが、何だか国に監視されているみたいな気分になります。
身分証明にもなります。
番号は12ケタ
マイナンバーは2016年の1月から運用がスタート。
2015年10月には、国民一人一人に簡易書留で、その番号が送付されてきます。
もちろん、生まれたての赤ちゃんにも。
番号は12ケタ。
最新の基本4情報
- 氏名
- 住所
- 性別
- 生年月日
と関連付けられている個人番号になります。
出生時から死亡時まで
出生時から死亡時まで、変更されることなく同じ番号のままとなります。
自分の好きな番号など、こちらから選ぶことはできません。
但し、
「個人情報が漏えいして、不正に用いられる恐れがあると認められるときは、新たな個人番号が通知される」
ということになっています。
この番号、法人にも付与されます。
カードが無料で作れます
お住まいの市町村に申請すると、顔写真付きのICチップ付き個人番号カードが無料で作れます。
これは現在の住基ネットカードと同じく、身分証明書として有効です。
住基ネットカードの新規発行は2016年1月までの予定。
それ以降はこの個人番号カードに切り替わります。(住基ネットカードの利用は暫く有効です。)
両方のカードを、重複して所持することは出来ません。
国民目線のメリットでは
マイポータル~情報提供等記録開示システム
2017年1月からは、次のようなことも可能になってくるみたいですよ。
まずは、
- カードを使って、自宅PCからインターネットで自分の情報の確認が出来る。
- インターネット上の個人ページから、日本年金機構や国税庁のサイトにも
同時ログインして、税金の電子申告が可能になる。 - マイナンバーを含む自分の個人情報を、いつ・誰が・なぜ提供したのかを確認出来る。
- 行政機関などが持っている自分の個人情報を確認出来る。
- 行政機関からのお知らせや情報等を確認出来る。
更なる利便性を求めて
そして、いつかは・・
- 転居、転職した際に、過去に受けた予防接種や健康診断の履歴を、
次の健康保険組合や自治体にも引き継げるようにする。 - 転居時の電気、水道、ガス、電話等々各社の住所変更を一度に出来るようにする。
- クレジットカードでの電子納税も可能にする。
そんな仕組みを検討する予定だそうです。
とにかく気になるデメリット
セキュリティは大丈夫?
マイナンバーの意義を理解する一方で、ふつふつと頭の片隅から膨れ上がってくる疑問。
まずは、これが一番の課題であり、絶対に有り得る気がする「個人情報の流出」。
そうセキュリティの問題が気になるところ。
システム面での対策
- 個人情報を一元的に管理せず、分散させて管理。
- 個人番号を直接用いるのではなく、符号を用いた情報連携。
- アクセス制御により、アクセス出来る人の制限と管理を実施。
- 通信を暗号化して行なう。
マイナンバーの提供先
さも情報の流出はなさそうな勢いではありますが、このマイナンバーを取り扱うのは、行政だけではないというところも不安要素になっています。
マイナンバーを提供することが出来る具体的な提供先として・・・
- 税務署
- 年金・医療保険者
- 地方公共団体
- ハローワーク
- 金融機関
- 勤務先
などとなっています。
民間事業者も扱うんです
民間事業者も税金や社会保険等の手続きでマイナンバーを取り扱うことになるのです。
例えば
- 源泉徴収票や支払調書の作成
- 厚生年金
- 雇用保険
- 健康保険
これらの被保険者資格取得届の作成
もちろん、法律で定められた事以外でのマイナンバーの利用は出来ないのですが、それがどれだけ守られるのかも疑問。
本当に大丈夫なの?
いったん情報が漏れると、「なりすまし」などの犯罪が後を絶たなくなる可能性は十分あります。
既にこの制度を用いている国でも、そういった犯罪が頻発。
セキュリティなどの面からも、その必要性を疑問視する声もあり、見直すべき制度という見方もあるようです。
まさに細心の注意と万全のセキュリティが求められます。
でも、それを悪用する人が出てくる可能性が高いのも事実です。
コスト面が大変!
また無視出来ないのはコスト面。
自治体はもちろんのことですが、企業も大幅なシステムの変更を迫られることになります。
人事や経理では、社員やその家族に至るまでのマイナンバーを管理する必要があるので、これはかなり大変な状況が待ち受けていると思って間違いないでしょう。
システムの管理や維持にも当然費用がかかってきます。
でもその反面で、IT業界の方々にとっては、大きなビジネスチャンスになることでしょう。
国民にとって、必要なもの?
そういえば、こんな物もありましたね・・・
身分証明という点では、2003年に
住基ネットカード
というシステムがスタートしました。
しかし、その住基ネットカードを利用している人は、国民の1割にも満たないそうです。
税金の無駄遣いじゃないの?と言われても仕方のない状況です。
また住基ネットカードの不正取得や不正利用も起きています。
そんな前例もあるので、今回の個人番号カードに対しても疑問視する声があるのです。
この制度を知って、しっかり見守ろう
マイナンバー制度は私達国民の利便性を考えているというよりも、国や行政が個人情報を共有出来ることの方に大きなメリットがあるようです。
内閣府のHPの「実現すべき社会」という項目の中に
と記されています。
果たして、本当に守られるのか。
コントロールするのではなく、されてしまう心配はないのか。
私達はこの制度をきちんと把握し、過度な監視や情報漏れがないかをチェックしていく必要があります。
とりあえずは10月に送られてくるマイナンバーを、ポイッと捨ててしまわないように気を付けましょう。
セキュリティの面で不安もあるかもしれないけど、便利なことが盛りだくさんの「マイナンバー制度」。
悪者に負けないよう、なんとかカタチにしていきたいね!