東京の5月は祭の季節です。
お江戸三大祭の筆頭、そして日本三大祭のひとつといえば、東京神田の神田明神の例大祭「神田祭」です。
2年に一度の本祭の年にあたる2015年は、いみじくも、徳川家康公が江戸に幕府を開き、江戸城の表鬼門守護として、現在の場所に神田明神を遷座してから400年目を迎える年となりました。
今年の神田祭は、なんと6日間に渡り、いつもにも増して盛大に、熱く盛り上がる予定です。
時代の波は神社を進化させる
密かに進む和ものブーム
昔も今も、小学生くらいの子どもに聞くと、ヒップホップやロックは「カッコいい」と思うけれど、日本の伝統芸能は「ダサイ」と思う、と答える子が圧倒的に多いです。
歌舞伎とか落語とか時代劇とかは、おじいさんおばあさんが好きなもの、という感覚が常識です。
「ぼくギターやってるんだ。バンドやりたいからさ」
は胸キュンですが、
「ぼく三味線やってるんだ。阿波踊りやりたくてさ」
は「何それ(どんびき~)」だったりします。
が、ここ15年ほど、若い女性を中心に、そんな和ものを「カッコいい」ともてはやすようなブームが静かに進行しています。
戦国武将をアイドル化する歴女がブームになったり、一方で若き三味線奏者や歌舞伎役者たちがオシャレな女性誌の表紙になることも珍しくはなくなりました。
かつては年寄りが好むものと思われていた“園芸”は、“ガーデニング”となってクールな趣味になり、日本映画はジャニーズ俳優の出る硬派の時代劇が次々ヒットしました。
オトナ界では今、和ものはクールでトレンディなアイテムになりつつあります。
神社仏閣ももはや高齢者専用テリトリーではない
神社仏閣のお参りも、最近はガイジンさんと年寄り専用観光コースではありません。
大晦日の夜中など、有名神社ではない近所のお寺ですら、若い子たちがたくさん集まっています。
仏像フェチや御朱印集めマニアに対して、あからさまに「ダサイ」なんて顔をする人も減りました。っていうか、それ今ブームです。
そんな中、神社仏閣のほうも、旧来の厳格で崇高な雰囲気のいかにも「宗教家ですから」みたいなイメージから脱却し、今どきの若い人たちにも受け入れられやすい、敷居の低い宗教を目指しているような向きも見られるようになってきました。
萌え系アニメとコラボする神田祭
遷座400年記念神田祭に湧く神田明神では、すでに今年にはいって様々なイベント企画が進行中ですが、中でも目を引き、新聞にも取り上げられているのが、いわゆる「萌え系アニメ」のキャラクターとのコラボレーション企画です。
江戸総鎮守だった神田明神は、明治以後は東京の守護神と定められました。
戦後、政教分離になり、江戸東京の文化を凝縮した108の町々を氏子とする神社になりました。
108の町の中には秋葉原も入っており、氏子町の文化を取り入れる形で、今回のコラボが実現したということです。
萌えキャラの書いてある絵馬で、ご利益軽減しないのか?なんて野暮なことは聞かないでくださいね。
萌える神田明神の新時代サービス
最新IT文化に適応
特設サイトついでに、神田明神の公式サイトを見てみると、HPだけでなく、SNSにもしっかり対応しておりました。
Facebook、Twitter、LINE の三大サイトにアカウントを開設しており、しっかりゆるキャラまで作って、webを通じた広報活動を担わせています。
Twitterでは獅子頭のキャラが日々つぶやき、御朱印帳を始めとするグッズ販売に貢献するお神輿をモチーフとしたゆるキャラは、その名も「みこしー」です。(一時優勢を誇った和製SNS「ミクシィ(mixi)」のパロデイ?)
神田祭の映像をライブ配信するための「神田祭.ch.」なるサイトも運営します。
モバイルページ紹介サイトでは、
- モバイルスポンサーを募集
- モバイルキャラクターとのコラボ企画を展開する企業や店舗の募集
- モバイルキャラのLINEスタンプの発売
などなどもやっています。
神社定番グッズもしっかり便乗
定番のお土産品というか、ご利益ご加護を授ける品々にも、イマドキへの配慮がされています。
最近ブームの御朱印を集めるための「御朱印帳」、これは神社ごとにオリジナルのものを配っています。
神田明神のものは、渋い藍色の地に鳳凰が舞い飛んでいる絵柄という、美しく品のある装丁が人気です。
遷座400年の今年、萌え系とのコラボと同時に、この御朱印帳も薄いピンクとブルーの色違いが登場しました。
ついでに、みこしーの絵のデザインの御朱印帳もでました。
これは、萌えキャライメージに合わせたというより、秋葉原リクエストにばかり答えていると、どちらかというと男性受けの方向に偏るため、「女の子受け」路線も狙った、というほうが当たっているかもしれません。
ビジネス街の氏子町が多いことへの配慮?
大黒様とえびす様と平将門命が祭神となっている神田明神は、商売繁盛や勝負ごとに勝つご利益があるとされ、氏子町の多くの企業からも厚い崇敬を受けています。
そこには、秋葉原や神田や銀座や有楽町や新橋や大手町や・・・・にある多くのIT関連会社やソフトウェアー会社も含まれております。
そんな氏子町の守護に応えようと、神田明神ならでは、他にどこにもない、「IT情報安全守護」なるお守りまで作りました。
HPの紹介文を引用すると
「コンピューターウィルス、フリーズ、強制終了などなど。人の力ではもうどうしようもないパソコンの不具合に多くの悩みをお持ちの方々が多くいらっしゃいます。
商売繁昌・家内安全といった従来のお守りでは対応しきれないIT関連のお守りの必要性が生じてきたため、明神さまのご神徳をいただき、このお守りを授与するようになりました。」
とのこと。
時代に対応とはいえ、平将門さんにコンピューターウィルス対策までお願いしてしまうとは・・・・いいのか?!(笑)
神田明神には、江戸っ子の心意気が生きている
江戸と東京を1300年見守り、400年守護してきてくれた神田明神さま。
ユーモアを愛し、杓子定規に斬り捨てることなく、臨機応変して人助けする気質を重んじた江戸っ子の心意気が、この柔軟で寛大な守護の姿勢にも表れているのかもしれません。
400年といわず、この先500年も千年も、ぜひぜひお江戸の民をずっとお守りくださいませ。
「ダサイ」と「かっこいい」は紙一重なのかも?
神様、ITの守護まで任せられちゃって・・・いや、さすが器が違うね~。