つけない、増やさない、やっつける
食中毒予防の「3つの原則」
食中毒といえばおもに夏に起こりやすいものという認識が一般的です。
たしかに食中毒を引き起こす細菌やウイルスは「高温多湿」なほど活発になる傾向が強いといわれていますので、とくに夏季はいつも以上に注意が必要です。
食中毒の原因となる細菌は、悪名高い「O-157」や「ノロウイルス」を含め15以上の種類があり、症状としては
- 「腹痛」
- 「嘔吐」
- 「下痢」
などが代表的ですが、重度になると「意識障害」も引き起こします。決して侮れません。
日本における食中毒の定義は
となっています。
食事という日常的な行為が原因となるわけで、そういう意味では誰もが食中毒の危険に常にさらされているともいえるでしょう。
政府や各自治体はネットなどで食中毒予防のための情報を市民に向けて発信しています。そのなかでは食中毒予防の「3つの原則」が大きな柱となっていますが、一般的な家庭ならすぐにでも実践できる方法なので、ここで簡単に紹介してみましょう。
1. 原因菌やウイルスを食べ物につけない
まな板などの調理器具は、食材ごとに洗浄して使うなどの配慮が効果的です。
生の魚や肉を調理したまな板や包丁を洗わないで、サラダに使う野菜を調理すると細菌やウイルスが付着してしまう恐れがあります。
調理や食事前の手洗いも「食べ物につけない」ための有効な手段です。
また焼き肉などで、生の肉用と焼けた肉用の箸を使い分けるという工夫も予防につながります
2. 原因菌やウイルスを増やさない
ほとんどの原因菌やウイルスは低温下では活動が鈍くなります。マイナス15度以下では増殖がストップするそうです。「食品は低温で保存する」のが基本。
また買ってきた食材は速やかに冷蔵庫に保管するよう習慣づけましょう。ただし過信は禁物。原因菌やウイルスは活動が鈍くなるだけで、死滅するわけではありません。
時間に追われている現代人にとっては難しいかもしれませんが、できる限り買い置きは避ける、というのも一つの方法です。
3. 原因菌やウイルスをやっつける
「つけない」「増やさない」は、いわば「守り」ですが、「やっつける」は「攻め」です。
原因菌やウイルスのほとんどは熱に弱い。食材に火を通すことでこれらを死滅させてしまうのです。肉などは特に良く焼く、中心部を75度以上の温度で1分以上加熱すると効果があるといわれています。
調理器具にも気を配りたいところです。包丁やまな板などは洗剤でよく洗浄し、熱湯をかけておくと良いでしょう。台所用殺菌剤も効果が期待できます。
一度作ったら。三日連続カレーです
カレー、カレー、カレーうどん
話は変わりますが、カレーって食中毒の防止になるって聞いたことがあります。真偽のほどは定かではありませんが、香辛料やスパイスに殺菌効果があるとか。
ちなみに我が家はカレーをかなり大量に作ります。カレーって二日目からが美味しいんですよね。
具材とルーが馴染むというか、味に奥深さが出るというか、とにかく一日目よりも二日目のほうが美味しい、というのはおそらく多くの人に共感してもらえることなんじゃないかと思います。
我が家では一度カレーを作ったら、三日間カレーが続きます。一日目は普通に食べて、二日目はよりパワーアップした味を堪能し、三日目はめんつゆを足してカレーうどんを楽しみます。節約にもなって一石二鳥ですよ。
二日目のカレーは、食中毒に注意
熱に強い原因菌が存在する
筆者が提唱する「三日間カレー」ぜひお試しください。といいたいところなのですが、実は二日目以降のカレーは、食中毒に気をつけなければならないことはご存知でしたか?
食中毒の原因菌に
「ウエルシュ菌」
というものがいます。
この菌は、菌としてはポピュラーなものであり、特別なものではないそうです。
土の中や水中に存在しています。ジャガイモやニンジンといったカレーの具材として使われる野菜にも付着している場合があります。
カレーは作るときには具材を煮込みますから、熱で菌を死滅させることができます。
ウエルシュ菌も熱に弱いのですが、ほかの菌と違うところは、一部が「殻」を作って熱から自分を守ろうとするのです。つまり、熱で全滅させることができず、菌の一部が生き残ります。
出来立てのカレーであれば問題ないのですが、熱が冷めると、菌の生き残りが「再活動」を始めるのです。
ウエルシュ菌は空気を嫌いますが、一般的にカレーは底の深い鍋を使って作ることが多いはず。そのため、空気に触れない底の部分で菌が繁殖し、食中毒を引き起こすというわけなのです。
具体的な対処方法
二日目以降のカレーは美味しいけれど、食中毒を引き起こす可能性がある。では、具体的にはどうすればいいのでしょうか。
鍋に入ったまま、常温で保存するのは避けてください。タッパーなどの底が浅い容器に移し替えて、「冷蔵庫で保存」します。
温めなおすときの注意点は、「よくかき混ぜてまんべんなく空気に触れるようにする」こと。熱と空気で、生き残ったウエルシュ菌を死滅させるのです。
ただし、これで完全に食中毒を防止できるという保証はどこにもありません。こういっては身も蓋もありませんが、どうしても心配ならカレーの作り置きはしないのが、一番安心できる方法ということになってしまいます。
食中毒に罹ってしまったら
最後に、もし食中毒にかかってしまったら、どうすればいいのでしょうか?
自己判断はせずに、すぐに医者に相談するのがベストです。食中毒の症状は、原因菌やウイルスによって異なります。数時間で症状が出るものもあれば、数日の潜伏期間を経て発症する場合もあるとのことですから、専門家に任せてしまうのが一番です。
家族にうつしてしまう可能性もあります。特に高齢者や乳幼児、また過去に胃の手術を受けたことがある人は必ず医者の診断を受ける必要があるそうです。
二日目のカレーが食べたくてカレーをつくることってけっこうあるんだよね。一日目が終わったら鍋からだして、底の浅い容器に移し替えて冷蔵庫で保存して、温めなおすときはよくかき混ぜて空気に触れるようにすればよっぽどのことがなければ大丈夫なはず!