「母の日のカーネーション」はよく知られた習慣ですが、同じように、
“父の日には「黄色い薔薇」を贈る”
というのが定番なんだそうです。
知っていましたか?
父の日黄色いリボンキャンペーン
母の日・父の日の由来
母に感謝し、女性を称えよう、という慣習は、世界の様々な地域や文化の中にあり、「母の日」にあたる記念日やイベントも、いろいろな形で行われてきました。20世紀初頭にアメリカで母の日が祝日として制定されたのを機に、世界中で改めて母の日を制定する動きがブームとなりました。
その後、やはりアメリカの父子家庭で育った女性が、父の死後、「父の日も作ろう!」と働きかけたことがきっかけとなり、1972年に正式な国の記念日になりました。
日本では、アメリカの習慣を直輸入する形で、母の日と父の日が入ってきました。母の日のカーネーションも、父の日の薔薇も、もとはアメリカの風習です。どちらも、最初に提唱した人が感謝の心を表すために贈った花が定番化しました。
「黄色い薔薇」は日本での習慣
アメリカの父の日の薔薇は、母の日のカーネーションと同じように、生きているお父さんには「赤い花」を贈り、亡くなったお父さんには「白い花」を供える人が多いそうです。
日本ではなぜ「黄色い薔薇」になったのでしょうか?
父の日を日本でも取り入れるようになって間もなくの80年代、
『日本ファーザーズデイ委員会』
という任意団体が作られ、父の日周知のPRのため、キャンペーンが行われるようになりました。よく知られているのは、毎年著名人の中から
『ベストファーザー賞』
を選出して表彰する、というイベントです。2015年も、タレントのヒロミさんなどが受賞したことがニュースになっていました。
このPR活動のシンボルが「黄色いリボン」です。
その一環で、薔薇も「黄色」が提唱されるようになりました。
黄色い薔薇が象徴する黄色いリボンの精神
黄色いリボンは夫の帰りを待つサイン
「黄色いリボン」と聞くと、
『幸せの黄色いリボン』
(原題:Tie a Yellow Ribbon Round the Ole Oak Tree.)
という70年代に流行ったアメリカのポップスを思い出す人もいるかもしれません。
刑期を終えて長距離バスで恋人の元に帰ろうとしている男の歌です。
“もし今でも自分を待っていてくれるなら、樫の木に黄色いリボンを巻いておいて”
と、恋人に送ったメッセージが繰り返されます。
山田洋次監督の『幸せの黄色いハンカチ』のことか!と思った人もいるでしょう。あの映画の原作といわれるアメリカの小説家が書いたコラム『Going Home』も、『幸せの黄色いリボン』も、アメリカに伝わる口伝の物語にインスパイアされて作られています。
口伝の元は、いくつかありますが、概ね、
という話です。
1975年、ウォーターゲート事件という政治スキャンダルの際、逮捕された選挙運動本部長の妻が、これを真似してポーチに黄色いリボンを結んで
“刑期を終えて帰ってくる夫を待つ”
という気持ちをアピールしました。
黄色は夫の身を案じる気持ちの表現
2年後の1979年、テヘラン米大使館占拠事件の時、人質となった夫の生還を祈る妻が、その気持ちをメッセージとして社会に示すため、樫の木に黄色いリボンを巻き付けてアピールしました。
幸せの黄色いリボンにあった「罪を許す」というニュアンスが薄まってしまって、「夫を待つ」という部分だけ強調されたようです。
一方で、昔イギリスでは、「黄色は身を守る色」という言い伝えがあり、軍服に黄色いものをあしらうなどしていました。それがアメリカにも伝わっており、
“危険に臨んでいる人の身の安全を祈って待つ”
という気持ちを表すのに、黄色いリボンとなった、ともいわれています。
これ以後、アメリカでは、湾岸戦争やイラク戦争などに派兵された兵士の家族が、無事を祈って玄関やベランダ、門など、目立つところに黄色いリボンを巻く習慣が根付きました。
そして時を同じくして、日本で生まれたファーザーズデイ委員会は、黄色いリボンをシンボルにしました。つまり、父の日推進を謳う人たちの狙いは、
“外で働くお父さんの無事を祈って、帰りを待っていますよ”
という家族の気持ちを表す日にしたかったのかもしれません。
全然広まらない黄色い薔薇の習慣
委員会の切実な思いをよそに、黄色いリボンキャンペーンが始まって35年がたっても「父の日に黄色い薔薇」は全然定着していないように感じます。
- 日本ではもともと男性が花をプレゼントされる習慣がない
- 薔薇の花をもらって喜ぶ男性はあんまりいない
などの理由がささやかれています。
が、黄色い薔薇の意味を聞いてしまうと、女性の社会進出を促進しようという現代、
「夫は外で働き、妻は家で待つ」
ことを奨励されているようで、娘はもとより、育休とりたいイマドキの息子たちの感覚とも、ちょっとズレてたのかな、という気もします。
というか、薔薇をもらって、その時はとっても喜んでくれるお父さんでも、
「どうせ、毎日の水やりはお母さんがやるんでしょ」
って、子どもたちはわかっているから、花なんか贈らなかったのかも!?
世のお父さん、黄色い薔薇欲しいですか?
これは流行らない!やめよう!でも黄色が似合う男ってかっこいいと思うんだよね。