やっぱり欲しい、高いコミュ力
立ちはだかる「誤解」の壁
コミュニケーションというものは、簡単そうでありながら、実はとても難しいものです。特に自分の意思を相手に正確に伝えるのは、至難の技、といっても過言ではありません。
コミュニケーションにおけるハードルは、
ずばり、「誤解」です。
「誤解」は大変やっかいな代物です。「誤解」が猛威を振るうのは仕事の場面だけではありません。
日常のあらゆる場面において「そうじゃないのに・・・」と、困惑する人間の姿を見下ろしながら、嘲笑うのです。
「誤解」は、特に自分の立場が不利なときを狙ってきます。お願いをしなければならないとき、相手に考えを変えてもらわなければならないとき、自分の主帳を通さなければいけないときなどです。
誤解を回避し、相手も納得したうえで、気持ちよくお互いが先に進むことができるコミュニケーションのテクニック。それが身についたなら、どんなに素晴らしいだろう。誰かそんな方法を教えてくれないだろうか? 誰もがそう願うことでしょう。
でも 皆さん、他力本願はあまり感心できませんよ。誰か教えてくれないか、と受身になるのではなく、自分で身に付けてやる、ぐらいの気概が必要です。
微力ながら、今回、筆者もそのお手伝いをさせていただこうと思っています。
さっそくですが、誤解を回避するコミュニケーション術を鍛えるための教材を見つけてきましたよ。
それは「下痢」です。
コレが出来れば、コミュ力アップ
会社や学校を休むには、「なぜ休むのか」を説明する必要がありますよね。
「下痢をしているので、今日は休みます」
これは果たして、通用するでしょうか?
グレーゾーンな気がしますが、いかがでしょう?
ちなみに、下痢も含めて、身体の不調を引き起こす原因は様々です。場合によっては深刻な事態を招くこともあり、決して軽視してはいけないものです。とはいえ、「この程度なら休まなくても…」という線引きが存在するのも事実。
下痢は「軽症」「時間がたてば治まる」といったイメージが強いため、「それぐらいで休むな」という反応が返ってくる可能性大です。
でも、休みたい。自分の意思を無理矢理通そうとすれば、まとまる話もまとまらない。こじれた結果、「ズル休み」をしたいのでは、と勘違いされるかも知れません。
まさに、コミュニケーションの鍛練にふさわしいシチュエーションといえます。
さっそくロールプレイングを通じたトレーニングを始めましょう。
承認と「お大事に」のために
一方的な「お願い」はNG
目的:
設定:
- 三日間、下痢が止まらない。
- 病院で診察を受けたい。
では、スタートです。
「きょう、下痢してるんで休んで、病院いきたいんです」
「下痢?」
「ずっとなんですよ」
「会社にもトイレはある。とりあえず出てきなさい」
あっと言う間に終わってしまいましたね。軽すぎるというか、もう少し襟を正したものの言い方を心がけたいものです。重要なことも省いてしまっています。
これらを踏まえたうえで、再チャレンジ。
相手の意思を尊重すれば…
「急で申し訳ないのですが、本日、お休みをいただけないでしょうか? 腹痛がおさまらなくて、もう三日経つんです。お腹も下してまして。病院で診てもらおうと思って」
「要は下痢だよね? 病院なんて大げさじゃない?」
「実は家族も同じ症状でして、もしかしたら食中毒かも知れません。病院で診断が必要だと思うんです」
「食中毒か…。そうだね、病院行ったほうが良いかも知れないね」
「仕事のことは、○〇さんにメールでお願いしてあります」
「分かりました。お大事に」
正確にこちらの意思を伝えることができたのではないでしょうか?
「お大事に」の言葉も引き出せて、双方とも納得できたようです。さて、どこが良かったのでしょう。
まず、「下痢」ではなく「腹痛」という言葉を使っています。
言い換えることで、「下痢=軽症」というイメージを払拭できたのではないでしょうか。
次に症状が続いていることを「三日」と具体的な数字で伝えていますよね。
「ずっと続いている」よりも、相手がイメージしやすくなり、誤解をさけることができそうです。
そして最後に
「家族も同じ症状」「食中毒」
と説明して、病院へ行きたい理由と「だから休みたい」という意思を伝えています。
「仕事のことは~お願いしてある」というように、休むことで業務が滞らないよう配慮も忘れていません。
重要なのは、相手の視点に立つこと。
自分にも意思があるように、相手にも意思があるということを忘れずに。相手の意思を無視すれば、自分の意思もスルーされる可能性大ということを意識するよう心がけましょう。
最後に、この記事はズル休みを推奨しているわけではありません。もちろん皆さんは理解していただいているとは思いますが、念のため誤解の無いように。
相手の意思を尊重すると自分の意志も通りやすくなる・・・勉強になるな~!