コミュニケーション術 年度末・年度始め

初めましての人づきあい/他者との距離感の調整はなぜ難しい?

Written by すずき大和

年度始めは、生活環境が変わる人がたくさん発生する時期です。

  • 進入学や就職、転勤などで、日常の人間関係が一新する人
  • 家族の環境の変化に伴って人づきあいが広がった人
  • 自分の生活圏の中に、新メンバーが入ってきた人

いろんな場面で「初めまして」と挨拶を交わす機会が多くなります。

初対面の人ともすぐに仲良くなれる人には、新しい出会いにワクワク胸躍るシーズンかもしれません。

が、中には、新たな人間関係が増える春はちょっと気が重い、という人もいます。



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初めましての人を受け入れる感覚の違い

知らない人は不安のもと

人間は本能的に、初めて接するものに対しては警戒心を持ちます。無意識のうちに、未知のもの、前例がないものは避けようとする心理も働きます。

そういう心理やそれに伴う行動を

「不確実性の回避」

といいます。

不確実性の回避は、人間関係作りにも影響しています。回避の傾向が強い・弱いによって、初めて会う見知らぬ他人や、異なる価値観や文化の人に接したときの受け止め方に大きな違いが出ます。

不確実性の回避が強い人は、初めて会う人が、理性のある普通の人だと頭で理解できたとしても、心では不安や排他的な気持ちが働きます。

が、その後ずっと付き合いが続く相手に、あからさまに「近づくな!」態度は出せません。

そんな時、人は逆に相手のことを知るために、コミュニケーションを積極的に取ろうとします。自己紹介して互いのことを聞き合うのは、知らない相手を急速に見極めようとする、不確実性の回避行為です。

違うけど、怖くないから焦らない

一方、不確実性の回避が弱い人は、知らないことが、そんなに不安やストレスにはなりません。価値観や習慣が違うものにも寛容で、自分に理解できないものごとは、わからないまま受け入れます。排他的な心情もあまり湧きません。

「お互い違っていてもいい」という見地に立つ人は、個を尊重する価値観のほうが強く働きます。初対面の相手のプライバシーを聞き出そうとする欲求は弱く、とても慎重です。

そういう人は、決して何でも話せる親しい関係の人ができることを否定してはいません。ただ、それは相互に共感や信頼を重ね、時間をかけて理解し合うことで築かれると感じているため、まだ親しくないうちにいろいろ聞かれることに違和感を覚えるのです。

不確実性の回避の強い人と弱い人が交流しようとすると、その辺の

“人間関係の距離の取り方の違い”

に、互いに大きく戸惑います。

世界的に見ると、日本社会は、他国に比べ不確実性の回避がとても強い上に、集団主義も強い文化であることで知られています。

日本を訪れる外国人の多くが、日本人が初対面の時から家族の説明をすることや、相手にも家族や仕事先や住んでいる場所や年齢など、個人情報についての質問を次々としてくることに困惑するそうです。

初対面の人にはどこまで聞いてもいい?

ストレンジャーには排他的、でも他者との距離が近い社会

“知らない他人、異なる文化は避けようとする反応が強いほど、人付き合いのプライバシーの踏み込み方は深い”

というのは、矛盾しているようにも聞こえますが、不確実性の回避が強い社会では、ルールや形式をたくさん作り、不確実性を管理することで安心する、という対処に向かう傾向が見られます

“わからないものは、わかる物差しに当てはめれば、安心できる”

という心理が働くわけです。判断マニュアルに早く情報をインプットしたくなるのです。

日本人にもいろいろいる

日本人でも個人差はあります。他者との距離が近いとストレスを感じるタイプの日本人だって少なくはありません。

相手のことをゆっくり慎重に理解するのを好む人は、初対面の時に自分の過去や家族や趣味のことを次々聞かれると、まるで自分が仲間になれるか試されているような、尋問を受けているような息苦しさを感じます。

日本人は、異質なものに排他的な自文化をよく理解しているので、みんなと違う感想を抱いても、プライバシーに踏み込む会話が嫌な時も、相手に合わせ、本音を隠して参加していく場合も多いです。それは、心に大きなストレスを溜めていきます。

日本は自殺率が異常に高いことでも有名ですが、不確実性の回避が強い社会と無関係ではないでしょう。

無理しない距離を見つけよう

多くの善良な日本人は、不確実性の回避を自分で意識していません。相手と早くフレンドリーな関係を築きたいと思えばこそ、いろいろ聞いているので、それが負担になる人もいる、といわれると、

“では、どんな風に話しかければいいの?”

と、困ってしまうかもしれません。

余所余所し過ぎて、壁があるみたいに思われるのも残念です。

あまり気にせず、今までのように話しかけながら、相手の様子に注意してみましょう。

振っても反応があまり帰ってこない時は、熱心に畳みかけず、

「相手は不確実性の回避が弱い人なんだー」

と思って、一歩下がってみてください。

一方、周りの人に次々聞かれてウンザリした人も、

「相手は不安と戦ってるんだな」

と思って、どうか、相手も自分も嫌いにならないでください。

他者との調度いい距離を保つことは、難しいです。

結局は、相手の気持ちを考えながら、いろいろなアプローチを試して、いくつか失敗もしながら、互いに信頼を築いていくしかありません。

まあ、人はいろいろなんですよ。

まさケロンのひとこと

こればっかりはね~、「失敗しない」なんてことはありえないもんね。ただ、何度失敗したって、信頼は築きあげられるはずだよ。

masakeron-love


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。