7月20日頃から8月の立秋の前日までの期間、夏と秋の境目を表わす
土用
といわれる時期になります。
梅雨があけ、気温も上昇するこの期間は、普段着る機会が少なく、
箪笥のこやし
になっているような衣類を虫干しするのに丁度いいです。
着物文化の日本では、昔からこの時季の虫干しは
土用干し
と言われる風習となっています。
着物やドレスなど、いざという時のためにしまってある高価な晴れ着や喪服なども、箪笥の中でカビやシミが広がってしまっては台無しです。
ぜひこの時季、ちょっと出してお手入れしておきましょう。
衣類の土用干しの基本作業
衣類の虫干しとは、簡単にいうと、3つの作業です。
- 衣類を半日間陰干しにする
- カビ・シミ・ほつれ・汚れなどのチェックと対処
- しまってあった箪笥や箱、タトウ紙の手入れ
を半日かけて行います。
風にあてて、光にあてないように干すことが大事
畳んであったものを広げて風を通すだけでも、籠っていた湿気が抜け、カビや臭いの元になる菌の繁殖を抑える効果は大きなものがあります。
間違っても日に当てて干さないように!
色やけしてしまいます。
西日が差しこむ部屋などは注意しましょう。
蛍光灯でも、生地によっては長時間充てると焼けるものがありますので、できるだけ電気も消しておきましょう。
広げて干しながら、痛みと汚れと虫食いの点検
もし、カビや汚れを発見したら、すぐに専門家の所へ持っていきましょう。
晴れ着の場合
- 金糸
- ラメ素材
- 金属やプラスチックの飾り
がついたものも多いので、下手に自分でいじらないほうがいいです。
すぐに持って行けない時は、カビなど他の衣類に広がらないよう、それだけ別にしておきましょう。
もし、虫食い穴を見つけたら、同じ場所に入っていた他のものにも虫がついている可能性が高いので、入念にチェックしましょう。
衣装ケースは中を掃除して干す
中味を干している間に、箪笥の引き出しや衣装ケースの中の埃をよく取り、汚れは拭き取ります。
埃が溜まっていると、カビや虫の温床になります。
虫の卵が産みつけられている場合もあるので、
使われている素材にもよりますが、色やけなどしにくいものなら、日に当てて干しておくのもいいでしょう。
着物を包んでいたタトウ紙も広げて日に当てておくと、雑菌消毒になります。
そのやり方間違ってますよ
虫干しをする日時を間違えると逆効果
梅雨明けのこの時季は、日差しも強く気温も高いですが、湿度も高くなりがちです。
一日雨が降ったり、台風の去った翌日などは、その日がよく晴れていたとしても、湿度はとても高くなっています。
また、朝早いうちは夜露の湿気が残っているので、日が高くなってちょっと暑くなってきた10時過ぎくらいから干すようにしてください。
夕方も気温が下がって夜になるまで干しておくと、衣類の温度も急に下がり、逆に空気中の水分を吸い取るようになります。
夜まで干してしまった布団が冷たくて重くなってしまうのと同じですね。
だいたい3時くらいには取り込んでしまうようにします。
閉め切った部屋だとなかなか湿気が抜けません
狭い部屋にたくさん衣類を吊るして、閉め切っておくと、逆に熱や湿気が籠ってしまうかもしれません。
風を通すことがとにかく一番大事
ですから、窓もドアもできれば開け放しておきましょう。
狭い時は衣類に直接風が当たらないようにして、扇風機を回すと、風が部屋中をよく循環します。
また、忙しかったり衣類の量が多すぎる時は、広げて干さず、衣装ケースの蓋を開けたり、引出しごと出しておいたりするだけでも、かなり湿気は抜けます。
着物ならタトウ紙を広げて畳んだまま置いておくだけでもいいです。
育った家に虫干しの習慣があった人は、親によく聞いてみると、他にもいろいろなコツを教えてくれるかもしれません。
もし虫干しを見たことも聞いたこともないし、近くにおばあちゃんが住んでいるわけでもない、という人も、臆せず面倒くさがらず、上記の要領で一度やってみてください。
引出ごと虫干しなどは、しょっちゅうマメにやるようにすると、箪笥や押し入れの匂いが付くことも防げます。
せっかくの高い着物やドレス、しまっている間に痛めてしまってはもったいないです。
大事な服を長い間しまってたら虫に食われてた・・・
なんて最悪やなぁ~
そんなことにならへんためにも、ちゃんと虫干ししいや!