10月も下旬になると、商店街のハロウィン商戦が目立ってきます。
最近は幼稚園の行事や子ども会のイベントでもハロウィンパーティーが行われることが一般化しています。
大人も参加する仮装パレードのイベントを町の活性化に取り入れる所も各地で見られ、今やクリスマスやバレンタインデーのように、外来の習慣が日本でも根付いてお祭り行事化したもののひとつになりました。
ただし、日本のバレンタインデーの習慣が他国にない独特なものであるように、ハロウィンの意味合いも、習慣の直接の輸入元となったアメリカでのニュアンスとは若干違ってきているようです。
そういうアメリカも、もともとの発祥国イギリスの習慣とは異なる形で発展・普及しているんですけどね・・・。
ハロウィンの起源て、案外フクザツなんです
ハロウィンはキリスト教のお祭りって言っちゃだめです
ネット記事などで、ハロウィンのことを「キリスト教のお祭、万聖節の前夜祭」と教えている例が複数見受けられます。
それ、間違ってはいませんが、実は微妙に違っています。
21世紀現在、キリスト教界では、ハロウィンの習慣はキリスト教に基づくものではない、というのが共通した見解となっています。
慣わしの由来の中には、聖書ではいけないと説かれている考え方も多く、そういうのに厳しい宗派では、ハロウィン行事を行うことを信者に禁じている所もあります。
多くの宗派では、宗教と切り離して、民族風習のお祭りイベントとして定着していることを許容・黙認しています。アメリカでは国として祭日化もされていますが、教会としては、万聖節もハロウィンも無視する所も多いです。
もともとはイギリス北部の土着信仰から生まれた習慣
紀元前からイギリスに定着していた、ケルト人と呼ばれる民族の信仰では、新年の始まりは11月1日でした。
新年を祝う「サウォン(サウィン)」という祭が行われましたが、一日の始まりは日没と考えられていたので、前日(10/31)の夜からかがり火をたいてお供え物を捧げて祝いました。
後に海を渡って侵入してきたローマ人の文化と融合して、果物の女神を讃える収穫祭の意味も持つようになりました。
ケルト人の文化では、この時季、霊界と人間界の間の門がひらき、死者の霊が出てきてこの世をさまようと考えられていました。
悪い霊から身を守るためにかがり火を家に持って帰ったり、魔除けのための仮面を被ったりしたと言われています。
これらがやがて、野菜をくり抜いたランタン(イギリスではカブでした)や仮装の習慣へと変化していきました。
カトリックの布教活動が進み、万聖節とくっつく
時代が進み、ヨーロッパはキリスト教の布教活動の勢いに押され、各地で土着の信仰からカトリックへと改宗が進みました。
布教に当たり、できるだけ庶民の抵抗を少なくするために、祭や縁起かつぎの民族習俗をうまくキリスト教行事と一体化させる手法が取られることが、当時は多くありました。
ブリテン島では、カトリック教会の「諸聖人の日」をそれまでの5月から11月1日に変更することで、ケルト人のサウォン祭をその前夜祭として残しました。
やがて、サウォン祭の「死者が戻ってくる」という思想が逆にキリスト教に影響し、今は亡き聖人たちを讃える「諸聖人の日」の翌日は「死者の日」になりました。
10月31日の前夜祭から11月2日の死者の日までを「万聖節」として祝う習慣が、8世紀頃、ローマ全土に広まりました。
英語で諸聖人の日は「Hallowmass」「All hallow mass」と言います。
その前夜祭は
「All Hallow Eve」
と呼ばれ、それがだんだん
「Halloween」ハロウィーン
に変化したと思われますが、“ハロウィン”という言葉が記録に残っているのは16世紀以降だそうです。
ハロウィンの定番の習慣は、多くがアメリカで生まれた
カブがかぼちゃに
アメリカ大陸が発見され、イギリスから移民がどんどん上陸するようになって、アメリカにもハロウィンが伝わります。
かがり火を掲げるためのカブのランタンは、かぼちゃに変化しました。
アメリカではかぼちゃのほうが馴染みの深い野菜だったようです。魔除けのランタンだったので、くり抜く顔の表情も悪い霊が寄り付かないようにちょっと怖い顔になっていきました。
「トリック・オア・トリート」
ヨーロッパでは万聖節にさまよう死者の魂をなだめるため、家々を回って食べ物を乞う習慣がありました。アメリカに渡り、子どもたちが御菓子をねだって家々を回るハロウィンのイベントへと変化していきました。韻を踏んだ語呂合わせの言葉「トリック・オア・トリート」(日本では「お菓子くれないといたずらしちゃうぞ」と訳されていますね)も、アメリカで生まれました。
現在の諸外国でのハロウィン
ハロウィンは世界的に宗教祝日ではありません
諸聖人の日はもともとカトリックの祝日で、プロテスタントの強い地域では聖人への崇拝が廃止された所もあります。
アメリカへ渡った移民はもともとカトリックが少なかったので、諸聖人の日は特に何もされず、ハロウィンが祭日になりました。
イギリスや他のカトリック諸国では、今も諸聖人の祝日が続いており、逆にハロウィンのイベントがアメリカほど盛り上がっていない所もあります。
日本は、戦後アメリカが窓口となって、西洋の文化が庶民の層まで一気大量に入ってきたため、アメリカの慣習がそっくりそのまま伝わっているものがたくさんあります。
しかし、世界では、ハロウィンに限らず、アメリカでスタンダードになっているものとは違う慣習を持っている同じ「○○の日」がある国も多いのです。
日本のハロウィン
戦後、アメリカの庶民文化を伝える映画や本などに、「ハロウィン」の描写が出て来ることも多く、その存在を知っている人は少なくありませんでした。
が、日本でもこんなにイベントが一般化したのは、ほんの20~30年くらいの間のことです。
東京のキディランドがお菓子やパーティーグッズのキャンペーンをしたり、テーマパークでイベントが開催されたり、子ども向け英語教室で盛んにアメリカの風習を“売りネタ”にしたり・・・・という商業ベースでの戦略が展開されるようになった80年代以降、一気に広まりました。
メディア戦略に弱い所が日本人らしいと言えばらしいかもしれません。
まさケロンは「Halloween」のこと最初「Hello Win」だと思ってたよ。