2月3日は節分です。
「鬼は外、福は内」
この掛け声と共に豆をまいて厄払いをする風習は、日本の伝統行事になっています。
企業などが行うアンケートによると、最近は、「豆まきを実際にやった人」の割合より「恵方巻を食べた人」の割合の方が高くなっており、伝統行事の内容も少しずつ変化してきているようです。
それでも、幼稚園や保育園では、「豆まき」は今も欠かせない年中行事のひとつなので、子どもがいる家では、まだまだ行われているイベントですね。
福豆といえば、炒り大豆!とは限らない全国豆事情
豆まきの由来
節分に福豆をまいて鬼を祓うイベントの形が確立したのは、室町時代頃と言われています。
最初は宮中行事として行われていましたが、だんだん庶民の間にも伝わり、江戸時代に入るとすっかり町場の風習として普及しました。
宮中では前身となる厄払い行事があり、平安の頃は鬼のような面を被って刀や矛を持った神様役の人を先頭に、弓矢などを持った人が続く行列が練り歩き、邪気を追い払う、という儀式でした。
それがだんだん鬼を刀で追い払う儀式に変わり、刀が炒り大豆をぶっつける方法に変わっていったのです。
福豆の元来の意味
なぜ炒り大豆かというと、当時、鞍馬山の鬼に炒り大豆をぶっつけて目つぶしをして追い払った、という昔話(伝説)があったので、そこからきた、という説が有力です。
豆を含む五穀には魔除けの力があるとも言われます。
炒ったのは、拾いきれない豆から芽が出ないようにするためでした。昔は家の中にも下が土の場所があったので。
また、中国から伝わった五行説という考え方では、鬼などの邪悪なものは金気に属しているとされ、金に勝つのは火気のものだったので、豆に火を入れることが魔除けの意味でも大切でした。
節分といえば落花生、という地方
しかし、全国にはこの福豆の代わりに落花生で鬼を祓う習慣の地域が少なからずあります。
東北、北陸、北海道、九州などでは落花生文化のほうが優勢な土地が多いです。
九州の半分くらいは落花生ですが、これは鹿児島が落花生の産地であることの影響のようです。
雪の多い地方で多いのは、大豆だと雪の中に落ちた豆が見つけにくく、落花生のほうがわかり易く、拾って食べられるので無駄にならない、ということで、昭和30年代頃から落花生に移行していったようです。
「もったいない」精神を大事にする日本人らしいですね。
現在では、掃除が楽、殻がついていて衛生的、などの点が好まれ、その他の地域でも落花生にする家庭や幼稚園が着々と増えているそうです。
殻つきの利点から、最近は「ピスタチオ」を使う場合もあるとか・・・もう豆なら何でもいい状態ですが、大きさ的には、落花生よりは鬼の目つぶしになりやすいかも・・・!?
年の数だけ食べれば健康な1年に
福豆を食べて元気に過ごす
節分の福豆は、年の数だけ食べると、一年間無病息災に暮せると言われています。
が、昔は年の数+1個だった地域も多くありました。
旧暦の時代は立春が新しい年の始まりという考え方があり、節分はいわば大晦日です。
そして昔は新年と共に歳を取る「数え年」で年齢を数えていました。
1個余計に食べるのは、次の年の健康のため、一日先取りして翌年の分を食べたのです。
今でも地方によって、この1個多く食べる風習が残っています。
落花生は豆の数?殻の数?
これは、ほとんどの落花生エリアでは殻の数で数えて食べていました。
殻の中に2個入っていても3個入っていても、殻の数だけ食べます。
高齢になると、そんなにたくさん食べられない
ご長寿の皆さんの中には、いつまでも顎も歯も丈夫な人もいますが、だんだん固いものが食べ辛くなっていったり、食も細くなっていく人が多いので、平均寿命が長くなっている昨今、80個も90個も食べろと言われても無理、という場合も少なくありません。
西日本では、年の数の豆にお茶をかけ、炒り大豆の香ばしさをお茶に移して、それを飲んでも、同じようにご利益があると言われています。
このお茶は
「福茶」
と呼ばれています。
落花生の地方では、殻と薄皮を向いたピーナッツにお茶をかけてもいいかもしれません。
豆まきの豆も、いろいろな事情があったのですね。
独り暮らし世帯の多い都会では、福豆を食べることも豆まきをすることもない、という人の割合はすでに半分以上となっているそうです。
大人だけ、ひとりだけの家庭で豆まきはやはりちょっとやる気がおきないかもしれませんが、せっかくの日本の伝統です。
とりあえず福豆くらいは食べておくと、多少の魔除けのご利益にはあやかれるかもしれませんよ。
ここ何年かはずっと「恵方巻」だけど、子どもの頃は毎年「豆まき」楽しみにしてたな~。この伝統はなくならないでほしい!