子どもの頃、冬場は手や足の指がよくしもやけになっていました。大人になった今、めったになることはなくなりました。
子どもの時は、平気で吹きっ曝しの寒い中、素手でいろんなものに触って遊んでいますから。濡れてもそのままほったらかすこともよくありました。
大人の今ほど、手肌の乾燥や荒れ防止のお手入れなんかもしませんでしたし・・・しもやけなど気にせず、遊びに夢中になっていた頃、ちょっとうらやましい気もします。
しもやけ対策の生活の知恵が、伝わっていない
親は、しもやけ対策なんて忘れている?
昔より外遊びが減ったといわれる今の子でも、大人に比べればやはりまだ外で過ごす時間は長く、からだのいろいろな調節機能も未発達です。やはり大人よりはしもやけができやすくなっています。しかし、親のほうはほとんどしもやけに悩まない人が多いようです。
昔は水仕事の家事が今より手間がかかり、私の母も冬場はしもやけやひび・あかぎれの手が辛そうでした。今は住宅の気密性や暖房器具の性能がよくなって、台所や洗面所などでも足元だけ冷たいことが減りました。
家の中でも外でも、冷たい水で手を洗わないといけない場面も少ないです。洗剤やボディ・ソープ、保湿クリームの質も上がり、肌に優しくなっています。昔ほど冬の手荒れやしもやけに悩む人は居なくなりました。
間違ったケアで子どものしもやけが悪化する
冬場は誰もがしもやけに悩んでいた時代、近所づきあいや親戚づきあい、2世代同居も多く、上の世代からいろいろな生活の知恵を伝授される機会がたくさんありました。
今は、いろんな面で世代間コミュニケーションが減りました。その分インターネットなどで情報検索するとか、ハウツー情報や何でもマニュアル化したものの配布が増えていますが、そういう情報収集があまり得意でない人もいます。
で、50代以上の人には常識だったことが、その下の世代には伝わっていない事柄もたくさんあるわけです。しもやけの民間療法など、全然知らずに親になってしまった20代・30代の若いママ・パパは少なくありません。
そういう人が、子どもの手足にしもやけが出来た時、半端な口コミなどを拾い、生半可な知識のまま適当にやってみた結果、逆に腫れが増したり、痒みが強くなってしまったりして、痛々しい様子で皮膚科に連れて行くことになる例があるそうです。
しもやけの正しい知識と間違えやすい対処
しもやけのメカニズム
しもやけは、冷えが原因でからだの末端の血行が悪くなった結果、カサカサになって腫れ、痛みや痒みが起きてしまう症状です。
つまり「血行障害」による疾病です。手足の先がよくなりますが、うんと寒い中にずっといて、耳や鼻の頭がしもやけになることもあります。
血行障害というと、血が流れていかなくなっているイメージがありますが、末端の血管がうまく伸び縮みしなくなり、血流の調整ができなくなっている状態なので、
“血がいかない”というより
“血が溜まってしまう”感じです。
正座してしびれた時は血がいかないので足先は青くなりますが、しもやけは、血が溜まっていくので赤く腫れてくるのです。
腫れてくることで、ジンジン痛くなり、チクチクした痒みが発生します。血が流れていかないと、皮膚の表面が乾燥しやすくなり、やがてひびやあかぎれにもなります。
しもやけの治療は、滞った血行を良くすることです。そして、血行を悪くしないようにケアすることが予防になります。
温めることとマッサージは、やりすぎに注意
冷えて血管が堅くなって血行障害になっているので、血管が再び柔らかくなり、縮んだり緩んだりするようになればいいわけです。
そこで、昔から基本的に行われるのは、
「外から温める」
「マッサージする」
の2大対処療法です。
しかし、血管が堅くなって、血液が溜まって腫れている状態の時に、
- カイロを貼る、ストーブに近づけるなどして急激に温める
- 強くもみほぐしてマッサージする
ということをしてしまうと、血管がまだ堅いうちに、血流を急に増やすことになり、逆に腫れが広がってしまいます。
ゆっくり温めて優しくマッサージしてクリームで保湿
皮膚科に行くと処方してもらえる、「ヒルドイド」などの軟膏は、保湿力に優れ、血行を促進する「ヘパリン類似物質」というのが入っているので、しもやけに効果抜群といわれています。
が、これを塗って強くマッサージしても、やはり逆に腫れてしまいます。
温める時はぬるま湯につけて、マッサージは痛くないようゆっくり優しく行ってください。ぬるま湯の中でゆっくりマッサージして、よく拭いてからクリームを塗っておくと保湿にもなっていいでしょう。
ヘパリン類似物質の薬は処方薬ですが、市販のクリームならビタミンEが入っているものを使うと、血行促進作用があるといわれています。
昔からよくいわれる方法では、ぬるま湯と水に交互に患部をつけて、温度差の刺激をマッサージの代わりにして血行を促す、というやり方です。
などは諸説あるので、自分でやってみて効果があるタイミングを見つけてください。
内服薬と湿布はいいのか悪いのか
しもやけの内服薬というのもありますが、あれも血流を増やす効果があるものです。飲み方や人によっては、やはり急に血流が増えすぎて腫れが増してしまう場合もあります。自己判断で飲まないで、薬局の薬剤師や皮膚科のお医者さんなどに相談しながら使ったほうがよさそうです。
温める効果の湿布もあります。が、腫れて皮膚が乾燥している時は、湿布かぶれが起きやすいので、見た目が痛そうな時や痒みが強い時は止めておきましょう。
しもやけを作りやすい条件に注意
最後に、血行障害が起きやすい条件を並べてみます。主なもので5つあります。生活の中からこれらの条件を取り除くことも、しもやけを治りやすくし、発症を予防します。
1,温度差が大きい
室内と屋外の差の激しさが、血管の収縮・弛緩調節のオーバーワークに繋がります。
2,窮屈な服装
特に履物の圧迫が足の先のしもやけの原因になることが多いです。ヒールの高いものやパンプスなど先の狭くなっている靴は、足先の血行を悪くします。
3,乾燥(濡れたまま放置)
雨の沁みた靴や濡れた手を放っておくと、乾燥した冬はすぐに乾き始め、気化熱で急激にその部分の体温が下がり、血行障害が起きます。
4,筋肉量の低下
筋肉の収縮がポンプの役割をして血行を促進するため、運動不足の人や痩せている人、子どもなど筋肉の少ない人が、しもやけに掛かりやすい傾向があります。
5,体質・病気
血行のよくない体質の人や、静脈循環障害という病気があると、血行障害になりやすいです。むくみがある、しもやけがなかなか治らない、という時は内科に相談しましょう。
たかがしもやけ、かもしれませんが、手足の先のジンジン継続する痛みは、日常生活の効率をかなりダウンさせるものです。子どもの場合、痒みに耐えかねて、ひっかき壊してしまうこともよくあります。ひどくならないうちに上手に対処して、気持ちよい冬をお過ごしください。
冷えすぎた手をストーブに近づけてもみもみしてたまさケロンは大間違いだったということ!