冬の話題 芸術・アート

凍るシャボン玉/極寒の季節にしか味わえない幻想的な美しさ

Written by すずき大和

子どもの頃、シャボン玉で遊んだ覚えがありますか?

はかなげな透明の玉が、柔らかな日の光を浴びて七色に輝きながら、ゆらゆらと空に昇って行ったかと思うと、突然パチンと弾けて消えてしまう・・・。そんな、穏やかで懐かしい匂いのする光景が思い出されます。

基本的に外遊びなので、日本では、春から秋の時季の風物詩のような印象があり、俳句でもシャボン玉は“春”の季語となっています。が、北欧など、冬の外気温が日中も氷点下となる国では、極寒の季節のシャボン玉が、特別に美しいものであることを知っている人が大勢います。



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凍るシャボン玉

Sony Europe の4KテレビのCM

2014年の秋にヨーロッパで流されていたSonyの4KテレビのCMが、日本でもネットを介して話題になったことがありました。ご覧になった方もいるのではないでしょうか。

ストローを拭いて膨らませたシャボン玉が、空中を漂いながらみるみるうちに凍っていく様子が、映し出されています。

凍り付く過程では、膜の表面に、まるで花が咲いていくように氷の結晶が表れて、ゆらゆらと揺れていたかと思うと一気に表面を覆っていきます。やがては白く固まって、水晶の宝石のような美しい球体の氷が出来上がります。

途中でパチンと弾けてしまったものは、ガラスが粉々に砕け散るように、空中に舞うダイヤモンドダストのようなキラキラを見せてくれます。弾けずに地面や手の上に落ちてきた氷玉は、壊れずにそっと乗っかり、風船のようにフルフルと揺れています。

これは、カナダの森の中で、CM用に撮影された映像ですが、4Kテレビで見なくても、十二分にその幻想的な美しさが伝わってきます。見たことない人は、とにかく一度ご覧ください。

検索するとたくさん出て来る凍るシャボン玉画像

ネットやスマホが普及し始めた2000年代頃から、凍るシャボン玉の画像や映像の投稿は、しばしば見られるようになっていました。

ワシントン州で活躍する写真家のAngela Kelly(アンジェラ・ケリー)さんが、SNSなどに投稿した画像も、世界中で多くの人たちから閲覧されています。


他にも、「凍るシャボン玉」で検索すると、海外のものも日本語の記事でも、ネット上にあるたくさんの画像や映像が出てきます。ご興味あるかたは、ぜひ探してみてください。

自分でも凍るシャボン玉は作れるのか

凍るシャボン玉を作るために一番必要なのは寒さ!

水の氷結点は0度ですが、シャボン玉液は、いろいろ混ざっているため、もっと低い温度でないと凍りません。夏の昼間に遊ぶ時にちょうどいいくらいのせっけん液だとだいたいマイナス15度くらいにならないと凍らないそうです。

膨らませたシャボン玉がみるみるうちに凍るには、だいたいマイナス10度以下の外気温が必要です。海外の映像を見ていると、表面の結晶がゆっくりと広がる様子が観察できるものは、マイナス10~15度くらいで撮影されたものが多いようです。マイナス25度くらいの所では、結晶が育つ前にあっという間に真っ白い球体になってしまう感じでした。

日本では、豪雪地や山間部のスキー場などに行くと、マイナス15度くらいの所があります。寒い地方のスキーに行く時は、こっそりシャボン玉液とストローを荷物の中に潜ませていくと、ゲレンデで思わぬ人気者になれるかもしれません。

なんと、マイナス4度で凍るシャボン玉液があった

しかし、暖冬気味の昨今、スキー場でもマイナス10度まで下がらない所もしばしばみられるようになっています。また、まだ子どもが小さすぎたり、なかなか休みがとれなかったりして、スキー場まで行けない人もいます。日本北部の平野部など、マイナス5~10度くらいの所でも、凍るシャボン玉見られるといいのになぁ・・・

なんて、思っていたら、なんと、世界初!マイナス4度で凍るシャボン玉液を2005年に発明しちゃった人が、日本の清里にいました!!


萌木の村では、マイナス4度以下になる日なら、このシャボン玉液を使って誰でも無料で「凍るシャボン玉体験」をさせてくれるそうです。

また、ネット通販でこのシャボン玉液の販売も行われているようで、実際に購入してやってみた人の体験談ブログもありました。マイナス9.2度の屋外での実験で、表面に美しい結晶ができたシャボン玉が空中を漂っている写真が載っています。


寒くても元気!自然の作る美を求めて冬を楽しもう

首都圏や西日本の平野部では、なかなかマイナス4度以下にはなりませんが、ちょっと山のほうへ行く時、また、霜柱ができるくらいの寒い早朝、頑張って早起きしてトライしてみたい人は、シャボン玉液良かったら入手してみてください。

寒さ厳しい時季、「スキーもスケートも苦手だから冬嫌い!」なんて人も居るかもしれません。そんな大人の皆さんも、このシャボン玉液があれば、寒くても外で遊びまわった子ども時代の楽しい冬を思い出せるかもしれませんよ。

まさケロンのひとこと

凍るシャボン玉とばしまくってなんか面白いことできないかな〜。

masakeron-love


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。