「蜂蜜の歴史は人類の歴史」
ということわざをご存じですか?
人類は1万年以上前から蜂蜜を食べていました。こんなに長い付き合いなのに、知っているようで、知らないことがたくさんあります。
そこで今回は、「蜂蜜の基礎知識とおいしい食べ方」をご紹介します。
蜂蜜の基礎知識
蜂蜜=花の蜜ではない
驚かれるかもしれませんが、蜂蜜とは花の蜜ではありません。
厳密に言うと、「ミツバチが集めた花の蜜を巣の中で加工し、貯蔵したもの」です。蜂蜜と、花の蜜は性質が全く違うものです。
花の蜜と蜂蜜の違い
花の蜜
- 主成分はしょ糖
- 糖分濃度が40%未満
蜂蜜
- 蜜蜂が加工し、化学変化を起こしたもの
- 糖分の濃度が80%前後
- 主成分はブドウ糖果糖
蜜蜂が花の蜜を巣に持ち帰り、水分を飛ばす作業をすると、蜂蜜の糖度が40%から80%前後に増えます。その作業を蜜蜂は口で行うのですが、その際に唾液に含まれる酵素が、花の蜜の中のスクロース(砂糖の主成分のしょ糖のこと)を、
- グルコース(ブドウ糖)
- フルクトース(果糖)
に分解します。
蜂蜜が固まるのはなぜ?
冬になると、蜂蜜は白く固まります。「結晶化」といって、ブドウ糖の性質です。寒くなればなるほど結晶化すると思われがちですが、そうではありません。蜂蜜が結晶化しやすい温度は、
- 5度から14度
- 気温が低すぎると逆に固まりにくい
- マイナス18度以下になると結晶化しない
ちょうど家庭用の冷凍庫がマイナス18度なので、蜂蜜を固まらせたくない方は冷凍庫保存もいいですね。ただし、少し粘度が高くなるのでご注意ください。使う分だけを小分けにして、ストック分を冷凍庫に保存するなどして、使い分けてくださいね。
ご注意ください!
結晶化したはちみつを溶かすために、お湯につけて温める場合、栄養分が壊れますので、60℃以下のお湯で温めてください。
蜂蜜の味の違いは花の違い
蜜蜂はさまざまな花から蜜を集めていると思われがちですが、できるだけ一種類の花から蜜を集めようとします。
蜂蜜の売り場で
「れんげ蜜」「アカシア蜜」
と表記がされているのは、ほぼその花から採取された花の蜜から作られた蜂蜜です。
逆に、複数の花から集めた蜂蜜や、人間の手によって蜂蜜がブレンドされた場合は「百花蜜」といいます。
蜂蜜のおいしい食べ方
ご飯にも蜂蜜!?
お米をといだ後、
- お米二合
- 蜂蜜小さじ1
の割合で蜂蜜を加えます。30分から1時間置いたあと、そのまま炊いてみてください。
ブドウ糖と果糖が、水分をお米の中に浸透させ、保水性を高めてくれます。さらに、加熱すると蜂蜜が含むアミラーゼが、お米の中のでんぷんをブドウ糖に変化させ、さらにおいしくなるのです。
魚料理に最適な蜂蜜
蜂蜜には「酸」が含まれています。この酸が魚の生臭さを減らしてくれます。さらに、煮魚や照り焼きを作るとき、蜂蜜を混ぜると香りがさらに良くなります。
これは蜂蜜の酸が臭みを取り去るだけではなく、蜂蜜のブドウ糖と果糖が、みそや醤油(しょうゆ)と化学反応を起こし、生じた香り成分が魚の臭みを打ち消すためです。
肉料理にも使えます!
蜂蜜は「浸透性」が高いため、肉の組織の中まで浸透し、火を通したときに肉が縮んだり、固くなるのを防いでくれます。
さらに!蜂蜜に含まれる有機酸が肉の「保水性」を高め、やわらかくしてくれます。
ブドウ糖と果糖がカラメル化することで、肉の内部に水分やうまみを閉じ込めて、よりおいしく仕上げてくれます。
薬にもなる蜂蜜!
高い殺菌力
蜂蜜には「強い殺菌力」があると科学的に証明されています。
- チフス菌→48時間以内
- パラチフス菌→24時間以内
- 赤痢菌→10時間以内
で死滅するほど、高い殺菌力があります。昔はニキビや吹き出物に塗ったり、口内炎に塗っていました。
ご注意ください!
実際に傷口に塗る場合は自己責任でお願いします。必ず天然蜂蜜を使ってください。添加物や甘味が加えられたものは使わないでください。
二日酔いにも効果あり
二日酔いには「蜂蜜入りの冷たい水」が効きます。
これは、蜂蜜が含む果糖が、肝臓がもつアルコール分解機能を強化するためです。短時間で酔いを覚ましたい場合は蜂蜜水を飲むといいですね。
蜂蜜は体にいいけど、どういう風に使っていいのかわからず、大きな瓶が棚の奥に眠ったまま…という方は多いと思います。蜂蜜は抗菌作用が高く、古くても傷んでないことが多いです。ぜひ活用してください。
甘くておいしいだけではなく、料理をさらにおいしくしてくれるます。特に、ご飯に混ぜると、お米の一粒一粒が立って、お米の甘さがひきたちます!
結晶化をカビと間違えることもよくあるみたいで、本当は大丈夫なのに「捨てちゃった」ってならないように冷蔵庫保存は避けたほうがよさそうだね!