日本には現在年間15日の国民の祝日があります。
外国に行けば外国の祝日があり、多くの国は、宗教や文化に根差した行事や記念日を祝日にしています。
「○○の日」は「○○」を強く意識する日になっているのが普通です。
余所の国の人に
と聞かれると、たいていの人は説明することができます。
一方、日本の祝日はというと、ただ休みだという意識はあっても、何の日なのか、どういう意味があるのか、わかってない国民が多い日が、半分くらいあります。
「春分の日」もいざ説明しようとすると、なかなか難しいようです。
自分たちも意味がよくわかってない?
法律に定められた目的は、ほぼ誰も知らない不思議な祝日
「国民の祝日に関する法律」によると、春分の日は
自然をたたえ、生物をいつくしむ日
になっています。
このことを、すらっと答えられる、もしくは実践してる日本人ているんでしょうか?
「昼と夜の長さが同じ日です」→「なぜそれが祝日なのですか?」
キリスト教文化の国などでは「春分の日」はありません。
英語訳はVernal Equinox Dayですが、イギリス人やアメリカ人に聞くと、その言葉自体を知らないと答える人がたくさんいます。
たいていの日本人は、天文学的に
と説明をすると思われます。
が、ほぼこう問い返されます。
「お墓参りにいって祖先を供養するのです」→「???」
日本では古来から、春分の日・秋分の日の時季を「お彼岸」として、祖先を供養する習慣がありました。
これは他の仏教国にはない日本独特の文化です。
春分の日は
というのが妥当でしょうか。
仏教観がわかる東洋人には、これでだいたい通じます。
が、西洋の人たちには祖先の供養がピンときません。
「供養って何ですか?」→「???」
キリスト教国の人たちは死者を悼むためにお墓にいきますが、拝んだり「祖先の供養」をする習慣がありません。
人が死ぬと仏様(たまに神様)になってしまう日本では、死者(祖先)は、未来永劫代々拝み続ける信仰対象です。
が、それが仏教信仰だという自覚をしていない人が多く、「祖先の供養」の適切な説明ができないようです。
だという説明まですれば、スムーズに理解してもらえます。
休みならなんでもいい日本人と、意味を大事にする外国人
日本の祝日は歳時記に関係なく国が指定した記念日
冒頭で書いたように、東西を問わず外国の祝日のほとんどは、宗教や文化に基づく歳時記か、歴史に大きな影響を与えた人や物事の記念日です。
が、日本の祝日は、元旦や成人の日など一部を除いた多くが、そういう従来からあった歳時記とは関係なく、国が「○○のことを考える日」と一方的に指定して作ったものです。
皇室行事の祭日に別の意味をあてたところから始まった
いくつかの日は、天皇主権の時代に皇室行事が祭日とされたものでした。
実は春分の日も代々の天皇の御魂を供養する
春季皇霊祭
の祭日でした。
戦後、皇室行事の祭日は廃止されましたが、新政権は祭日と同じ日のいくつかを別の意味付けをして祝日として残しました。
意味付けの多くは
など道徳的なススメを謳っています。
憲法記念日など、新たな記念日の祝日もできましたが、時の政権政党は
というのが、気に入ったようです。
その後も国が決めた徳目を目的とする祝日は増え続けました。
元来の習慣と関係ない祝日は根付かない
歳時記と関係なく、精神論みたいな徳目を謳われても、なかなか国民にそんな慣習は根付きません。
「○○の日」に「○○」のことなんてさっぱり考えもしない祝日が当り前になっています。
それでも、多くの日本人はこの祝日見直そうという発想はしません。
というのが正直な心情かもしれません。
国をあげて「○○を記念する、祝う」祝日が普通の外国人から見ると、そういう日本の祝日の在り方そのものが、なかなか理解できないのかもしれませんね。
春分の日の法定目的は根付いていませんが、
お墓参りをして祖先を供養する
のは日本の伝統的な歳時記です。
イベントの伴う貴重な祝日のひとつですから、ぜひ外国の人に聞かれたら、ちゃんと説明してあげましょう。
休みなら何でもいいやって考えやなくて、その祝日の意味もちゃんと理解して説明できるようにしたらカッコええと思うでぇ~