と童謡に歌われるように、茶摘みの盛期の代名詞のように言われる
八十八夜
は、日本の暦の表現のひとつです。
立春から数えて八十八日目、現在の太陽暦だと5月1日か2日頃にあたります。
- 静岡
- 宇部(京都)
- 狭山(埼玉)
など有名なお茶の産地では、この時期に新茶まつりなどの観光イベントもいろいろ行われています。
季節を表す独特の暦
カレンダーとは日付と季節を表わすもの
八十八夜も立春も暦の表記です。
日付の数字だけでなく、季節を表す漢字の熟語で暦を表わす習慣は、太陰暦を使っていた漢字文化の国独特のものです。
太陽暦では一年が365日なので、毎年同じ日付の日は季節の状況もほぼ同じになります。
一方太陰暦では一年が約354日なので、本当の一年と毎年10日もずれていってしまいます。
3年もすると1か月も違うので、季節感はだいぶ変わりますね。
暦の日付は、季節の判断の目安にし辛いです。
農林水産業者は季節を正しく把握できないと、仕事になりません。
そこで、日付に関わらず、太陽の位置に合わせ、季節の特徴を表わす言葉を並べる暦もできました。
二十四節気と雑節
立春や冬至など、約15日刻みに年間24個並ぶ暦は「二十四節気」と呼ばれます。
これは太陰暦と共に中国から伝わりました。
気候やその時期に見られる自然現象などを表わす言葉が多く並んでいます。
日本では初めは中国の暦をそのまま使っていましたが、経度が異なるため、暦の季節感と日本の農作業のタイミングがズレる部分もありました。
そこで、二十四節気を補完するように、日本の季節変化に合わせた日本独自の暦がいくつか加えられました。
これらは「雑節」と呼ばれ、「八十八夜」もそのひとつです。
八十八夜が示すのは、茶摘みのタイミングだけではない
八十八夜の別れ霜・泣き霜・忘れ霜
立春から88日目くらいの時季は、丁度春と初夏の境目に当たります。
暖かくなったと思ったらまた不意に寒くなる日もある不安定な気候がようやく落ち着き、遅霜の心配もそろそろしなくてよくなる頃です。
農作業にとって、霜は天敵ですから、霜対策はとても重要なことでした。
という意味をこめて『八十八夜の別れ霜』なんて言葉もあります。
しかし、思いがけない異常気象の年もあるので、油断していると八十八夜の泣き霜になってしまいます。
そうならないよう、
という警告の意味もこめて『八十八夜の忘れ霜』と釘を刺したりもします。
農作業も生活も夏の準備を始める日
二十四節気では4月20日頃を穀雨と呼んで、穀物の種まき時季を表わします。
湿度が高く遅霜の心配がある日本では、「八十八夜」を夏野菜などの植え付けや種まきを始める判断の基準にしました。
穀雨のころに種を撒いた稲の苗を田んぼに植える田植えシーズンの始まりでもありますね。
「米」の字を解体すると「八・十・八」になり、「八」は末広がりの縁起のいい数字であることも、農作業のタイミングとして珍重される所以です。
また、3日後は暦の上では夏の始まり立夏です。
八十八夜は広く夏支度を始める吉日としても捉えられています。
すだれやよしずや釣り忍の準備を始めたり、夏用の着物を虫干ししたり、生活全般に渡り、夏モードに向けた体制を整え始める日なのです。
八十八夜は折しも現在ではゴールデンウィークの真っただ中です。
お茶の産地のイベントでは、あかねだすきにツゲの笠姿で茶摘みをさせてもらえる体験企画など、観光客が楽しめる企画もたくさんあります。
お出かけ先迷ってる人はちょっと調べてみてはいかが?
激混みのテーマパークより豊かな体験ができるかもしれません。
おうちで過ごす派の人たちは、ゴロゴロしないで、カーテンやカーペットやシーツやスリッパを夏用に変える作業を進めながら、
日差しはもうすっかり夏ですよ。
まだ、雨が降った後は結構冷えるけど、昼間は半袖で過ごせるぐらい暖かくなったなぁ~
もう夏やね!