7月下旬から8月の立秋の前日までの今の時期、暦の上では
夏の土用
期間です。
一年で最も暑さが厳しいこの時季、昔の人は、高温の季節なればこそやっておくべき作業をいろいろ習慣にしていました。
暑中見舞いの挨拶をするのも、この土用の期間が定番です。
立秋を過ぎるともう残暑見舞いになります。
昔からのスピリチュアルな言い伝えや縁起を気にする人は、他の土用の習慣やタブーを今も比較的大事に守っているケースも案外少なくありません。
知識として知っておくと、人間関係をスムーズにするのに役立つこともあるかもしれませんよ。
土用にせっせとやっておくこと
土用の意味
土用というのは、
春・夏・秋・冬の季節の変わり目となる一定期間のことを指しています。
東洋の暦では、太陽の位置によって、季節の変わり目を定めています。
- 立春
- 立夏
- 立秋
- 立冬
がそれぞれの季節の始まりの日で、その前日が節分、節分を最終日とする約18日間が土用です。
この期間は土の気が強く働き、土の神様が支配する期間と考えられているため「土用」と呼ばれます。
土用も節分も、四季すべての変わり目にありますが、現代では、冬と春の境目の節分と夏の土用ばかりが話題にされます。
単に「節分」「土用」と言うと、2月3日の節分と、夏の土用を指していることが多いです。
土用といえば「土用干し」! 陰干し天日干しで衛星向上
梅雨が明け、台風が多くなるまでの間の一番暑いこの時期に、カビや虫の害を防ぐために、書物やあまり普段は着ない衣類を陰干しにする習慣があります。
土用干し
と言われるものです。
農村では、この時季に田んぼの水を抜いて、土をひび割れが出るほど乾燥させます。
これによって、土の中の雑菌の繁殖が抑制されるそうです。
梅干しを漬けているおうちでは、6月に塩漬けした梅がしわしわに柔らかくなる頃で、この時季に毎日天日干しすることで完成します。
丑の日にはうなぎを食べよう
江戸時代中頃から、この日にウナギを食べると夏バテ防止になると言われています。
ビタミンや鉄分などの栄養が豊富なウナギは、
- 疲労回復
- 動脈硬化の予防
などにも役立つ栄養食品ですから、とても理に適った習慣です。
他にも「う」のつく食べ物なら何でも縁起がいいと言われています。
土用に土を犯してはいけない
建築や農作業に残る習慣
前述のように、土用とは土を司る神様
土公神(どくしん)
が世の中の「気」(目に見えないパワー)を支配しているので、土を動かす(掘り起こす)ことはいけないとされてきました。
家を建てる時、施主さんによっては、基礎工事はこの期間に当たらないようにと調整する人もいます。
農作業も、この時季は収穫や栽培に徹し、新たに畑を耕すことはしない農家も多いです。
これは、季節の変わり目に作業する農民たちが体調を崩さないように、という戒めの意味もあったとされています。
土用でも作業していい日もちゃんと定めてある
そうは言っても、昨今は作業効率がコストの面でもとても大事ですし、あまり迷信を気にしない人も増えています。
気にしないで工事や耕地を進める人もたくさんいます。
一方、神様に関することは、バチが当たるよりは、敬意を払っておくほうがいいと考える人も数多くいます。
諸事情により、基礎工事や畑の耕地がその時期になってしまった場合の救済策も、実はちゃんと用意されています。
18日間全部自粛しなくてもいいように、間に5、6日は、作業しても大丈夫な日が設けられているのです。
間日(まび)
と呼ばれるこの日は、土公神が天上に行かれるため、地上にいなくなるので、その間は土を動かしても大丈夫とされています。
季節により決まっていますが、夏の土用の場合は
- 卯
- 辰
- 申
にあたる日付が間日です。
土用の習慣とタブー、わかりましたか?
都会にいると、ウナギの日の習慣くらいしか気にされていないようですが、地方に行くと、まだまだ風習が大切にされる地域もあります。
また、建築に関しては、未だに地鎮祭の習慣がしっかり残る日本ですから、特に個人の家の新築の際は、基礎工事期の調整を気にかける人は多いようです。
日本人には、まだまだ神様は大事な存在なのです。
土用の日ってこんな決まり事あってんなぁ~
ちゃんと、神様に敬意を払わんとアカンな!