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肉の栄養学~健康・長生き・ダイエットのために肉食を~

Written by すずき大和

8月29日は

やきにくの日

です。

夏バテでお疲れ気味のからだにお肉でスタミナをつけ、元気に秋を迎えましょう。

からだに必要なアミノ酸やミネラルをたくさん含んだ食肉は、昔から燃焼も吸収もよい栄養源として、「スタミナ食材」と認識されてきました。

一方、肉の脂肪の一種でコレステロールの血中値が高くなると、動脈硬化が進み、

心筋梗塞の危険性が高まる

ことが、1970年代頃から盛んに言われるようになりました。

野菜中心の食事にすることが健康の秘訣のようなPRがされ、肉食は健康にはあまりよくないイメージが広まりました。

しかし、その後研究が進むにつれ、肉食の弊害の多くが間違った考えであったことがわかってきています。

和食がユネスコ世界遺産に認定され、野菜と魚中心の食生活が、改めて世界で評価されることもあるこの頃ですが、だからと言って肉が悪いということはありません。

炭水化物などの糖質や添加物が、戦前の時代とは比べ物にならないくらいたくさん摂取される現代の日本人の食生活においては、肉食を必要以上に避けることは、健康やダイエットのためには逆効果になる場合も多いのです。



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肉食と健康の関係を知ろう

日本人と獣肉食の歴史

家畜の肉が一般庶民の食事としても普通に食べられるようになってきたのは、明治の文明開化以降であり、主菜として魚よりたくさん食べられるようになったのは戦後ずっとたってからです。

獣肉食の歴史自体は石器時代からずっとありましたが、仏教が伝わった奈良時代頃からだんだん禁忌されるようになりました。

食べることを禁止する法が出された時代も何回かあり、貴族や庶民の食事から肉は長く遠ざかることになります。

鳥や猪など、狩猟される獣は一部で食べられ続けましたが、家畜、特に牛や馬の肉は

「穢れ(けがれ)もの」として避けられ、乳製品を食べる習慣も無くなります。

明治以降もこの穢れイメージが完全に払しょくされるまでには時間がかかったようです。

その後戦争の歴史の中で、栄養価に優れた肉を軍隊食に積極的に取り入れるようになったり、内臓食(ホルモン)が安価でスタミナが付くと庶民の人気を博したりしました。

太平洋戦争期には中国・韓国の肉食文化も広まりました。

しかし、戦後になっても庶民の食事はまだまだ魚と野菜中心でした。

肉の需要が急激に増えるのは、高度経済成長の頃です。

学校給食も西洋風のおかずがぐんと増え、家庭でも作られることが増えていきます。

子どもの好きなものとしてハンバーグが1位になり、やがて昭和の最後の年(1988年)、ついに魚の消費量を肉が逆転します。

日本人の長生きの秘訣は肉食にあった

現在、日本人の平均寿命は世界トップクラスです。

しかし、終戦直後までは男女ともに50歳代でした。

そこから50年くらいの間に一気に30歳以上長くなったのは、食生活が急速に欧米化したことが大きな要因です。

  • 野菜
  • イモ類

などを中心に、少しの魚が入る伝統的な日本食(いわゆる粗食)しか食べていなかった頃は、実は日本人はとても短命だったのです。

戦後、肉をたくさん食べるようになり、従来の野菜や穀類中心の食事と併せて、非常にバランスの良い食習慣になった結果、体格は大きく、寿命は長くなったのです。

アメリカの成人病対策が「肉食=不健康」イメージを作った

1970年代、アメリカでは肥満と心筋梗塞の増加が著しく、社会問題化していました。

動脈硬化が進んだ血管の中に、コレステロールがたくさん溜まっているのが発見されたため、コレステロールがその原因と判断されました。

コレステロールの摂取をより減らすことが、心筋梗塞を減らすためには必須のことである

という働きかけが国をあげて行われました。

  • 乳製品

など動物性脂肪の多い食品を避け、野菜や穀類中心の食生活が奨励されました。

丁度その頃、平均寿命世界一に躍り出た日本の和食は、まさに理想の低脂肪健康食として評価されました。

当然、日本にもそれが伝わり、肉をたくさん食べる食生活は不健康に繋がる、というイメージも広まったのです。

肉の栄養と効能

コレステロールは悪くない

1970年代当時のアメリカ人のコレステロール値は、日本人と比較にならないくらい高いものでした。

それは、肉中心すぎる食習慣のせいであり、もともとバランスよい食習慣の日本人がアメリカ人に習って肉や乳製品の摂取を減らし、コレステロール低下薬を飲むと、必要以上にコレステロール値を下げることになってしまいます。

実は、コレステロールは体に悪いどころか、むしろ健康を維持するための重要な働きをたくさん担っている

ということが、その後の研究で次々と明らかになってきました。

それ以外の脂肪の多くも、細胞膜やホルモンを作ったり、何らかの体内機能を保つために必須のものです。

コレステロール値が低すぎるとうつ病や癌になりやすくなり、また脳の血管が弱くなって脳卒中の危険が高まります。

日本人がかつて平均寿命50歳代だった頃、肉の消費量は極端に少なく、多くの人が低コレステロール状態でした。

そして当時の日本は「脳卒中大国」だったのです。

肉には他にない効能を持つ栄養素がいっぱい

肉のたんぱく質の中には、からだの中でつくることのできない必須アミノ酸がバランスよく含まれています。

また、そのアミノ酸の中には、からだの中で特定の調節機能に対して働く性質を持った

生理活性物質

と言われるものがいくつかあります。

アミノ酸のひとつ「トリプトファン」は、脳内物質のセロトニンを増加させます。

「セロトニン」は食欲や睡眠、体温調節の働きに関係しています。

「メチオニン」は血管の働きを調整したり、血糖値調整のためのホルモン分泌を促進したりします。

他、必須アミノ酸はからだの中で働く様々なホルモンそのものの材料にもなっています。

肉食はダイエットも促す

アメリカで肉を減らす食事改善が散々推奨された結果、起こったことは炭水化物(糖質)の摂取量増大による肥満と糖尿病の増加でした。

そして皮肉なことに、肉を減らそうと考えた原因となった動脈硬化の原因も、高血糖が血管の炎症を引き起こすためであることがわかってきました。

また、特に牛肉に多く含まれる「カルチニン」という成分は、脂肪の分解を促し、エネルギー変換を促進する働きをします。

カルチニンは体内でも作ることができますが、その原料となる必須アミノ酸「リジン」と「メチオニン」も肉にはたくさん含まれているのです。

健康食和食に肉をプラスすれば尚よし

まごわやさしい

  • ごま
  • わかめ
  • 野菜
  • しいたけ
  • イモ

をバランスよく食べるメニューのことです。

この和食が健康食である理由は、発酵食品を多くして植物性タンパク質を摂りやすくしたり、炭水化物過多でビタミン不足にならないように野菜や海草を必ず食べることを促したり、食物繊維の多い食材を食べることで「血糖値の上昇を抑えたり」

など、「あくまでも肉を食べない前提で」最大限からだにいいことが工夫されている点にあります。

でも、そんなにいろいろ工夫した和食でも、ずっと肉欠乏状態でいるよりは、肉もちゃんと食べる食事のほうが長生きできているわけです。

何事も、そればっかりでも全然なくてもだめ、ということのようです。

肉食を中心に、適度にバランスよく、適量を食べる食生活こそが、健康に長生きするための秘訣です。

まさケロンのひとこと

好きなもんばっかり食べてたら、健康に長生き出来ひんでぇ~
病気になってからじゃ遅いから、バランスの良い食事をとるように習慣付けとかんとアカンで!

masakeron-oko


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。