夏になると、ニュースや天気予報で毎日のように繰り返される「猛暑日」という言葉。
そして熱中症で病院に運ばれる人が後を絶ちません。
それは高齢者に限らず、小学生から高校生にも多く見られます。
大学では殆どの施設でエアコンが設置されていますが、高校以下の学校では、どうなっているのでしょうか。
全国の公立学校のエアコン設置率
平成26年度の全国調査の結果
文部科学省は平成10年度より、概ね3年に1度の割合でこの調査を行なっています。
平成26年度に行なわれた調査結果では次の通りです。(前回は平成22年度)
全国の公立小中学校における普通教室・特別教室の空調(冷房)設備は、821,693室のうち、245,937室となっています。
その割合は「29.9%」
前回の調査時が18.9%だったので、11ポイント(以下pt)アップしたことになります。
小中学校以外の状況は
小中学校以外の状況も見ておきましょう。
小さい子どもが多い幼稚園でも41.3%程度の設置率。
前回の調査時よりはだいぶ伸びているものの、半数に届いていないのには驚きです。
都道府県別にチェック
北海道・東北地方
そんなに暑くならない地域ということなのでしょうか。
北海道の設置率は1.7%と全国で最も低くなっており、東北地方がそれに続き1ケタという数字になっています。
しかし、山形県と福島県は10%台になっており、これは震災で崩壊した原発から漏れ出した放射性物質の影響があるのかも知れません。
いずれにしても福島県以外は、前回の調査時からの伸びもかなり少なくなっています。
関東地方
全国で設置率が一番高かったのが東京都で81.3%(前回は54.5%)。
次回の調査時には100% になっている可能性大ですね。
その東京都の1/3にも満たないのが千葉県と茨城県。
財政の問題や何を優先するのかで、設置率にも差が出てきてしまうのでしょう。
中部地方
ばらつきのある地域ですね。
「長野県」の低さが目立ちます。
前回調査時からの福井県の伸び率が、28.9ptと大きくなっています。
関西地方
ダントツで奈良県が低いのが目立っています。
大阪府は意外にも半数割れ。
前回からの伸びが、29.6ptアップの滋賀県が設置率5割を超えました。
中国&四国地方
香川県の69.2%は、まさにぶっちぎりですね。
東京都に続き、全国2位です。
前回調査時からの50.2ptアップは、全国1の伸び率です。
同じ四国の愛媛県は1ケタ台となっています。
中国地方に関しては、大きな開きはありませんでした。
九州・沖縄地方
暑いといわれる九州ですが、全ての県が30%に届いていませんでした。
長崎県・大分県は20%以下という結果でした。
沖縄県は全国3位で65%(前回は61.6%)となっています。
50%を超えていたのは、
- 東京都
- 沖縄県
- 神奈川県
- 京都府
- 滋賀県
- 香川県
この6都府県のみでした。
エアコン設置は子どもを甘やかしている?
夏場の教室の気温は、扇風機を回していても37~38度とのこと。
暑いうえに、狭い所に人が集まっていることでの熱気もプラス。
ムシムシを通り越して、ムンムンしています。
優先事項はそれぞれに
千葉市では公立小中学校のエアコン設置を望む声に対し、
- 耐震化対策
- 老朽化による施設の改善
これらが優先であるため、エアコンの設置は後回しになってしまうという回答があったそうです。
自治体も努力しています
あの震災を思えば、それはとても重要な優先事項。
たくさんの命に関わることなので、後回しには出来ません。
それは子どもも保護者も、納得のいく理由といえるでしょう。
その一方で、一時的に扇風機を設置したという自治体もありました。
「扇風機は熱風をかき回しているだけ」という意見もありますが、実際のところ、効果はどうだったのでしょうか。
窓さえ開けられないから
様々な事情から、窓を開けたくても開けられない学校もあります。
- 福島県南相馬市…放射性物質への不安から
- 神奈川県厚木市、相模原市…厚木基地が近いので航空機の騒音がひどいため
- 福岡県柳川市…pm2.5の影響が大きいことから
- 埼玉県所沢市…入間基地が近いので航空機の騒音がひどいため
航空機の騒音ってどれくらいなの?
航空機の騒音といっても、ピンと来ない人が多いでしょう。
- 先生の声が全く聞こえない
- リスニングは、絶対不可能
- 地下鉄に乗っている時の音
- ビルの工事現場や新幹線が通過する時の音より大きい
- 雷が落ちたような音と表現する人も
- 音で建物が震える
感じ方は人それぞれかも知れませんが、「音で建物が震える」はすごいですよ。
かなりひどい状況であることはハッキリしています。
まずは、大人がやってみせなくちゃ
実際にどれくらい暑いものなのかを体験してみる方法がベストかも知れませんね。
自治体の責任者、一般の住民、生徒の保護者を複数ずつ集めて、生徒達がいる環境で何日間か過ごしてみる方法なら、誰に対しても説得力がありそうです。
子ども達に「甘えるべきではない」と言うなら、大人が率先してやらないと話になりません。
「エアコンがある」ってことに“感謝”をしてもらえるように、子ども達には大人みんなの努力も教えてあげたいよね。