「ヒト生殖細胞系列における遺伝子変異もしくは染色体異常に関する検査及びそれらに関する検査」
これが日本医学会のガイドラインにおける遺伝学的検査の説明文の一節です。
遺伝子検査というと、犯罪などを立証するために行なわれる検査妊娠中の胎児の病気の有無を調べる検査
そんな印象が強いものですが、体質を知るために、私たちの誰もが利用可能な検査になっているのです。
遺伝子検査って?
どんな検査なの?
人間ドックや健康診断などは、その時に食べた物や体調、状況などによって変化するものですが、遺伝子検査で得られた情報は一生変わることはありません。
この検査をすることで、自分の体質を知ることができ、病気の発症などを遅らせるなどの対策を考えることが可能になるのです。
何が分かるの?
遺伝子検査では病気の発症リスクなどが分かるだけではなく、体格や骨密度、筋力、持久力、瞬発力といったものまで分かるようになりました。
また、
- 男性型脱毛症のなりやすさ
- 虫歯のなりやすさ
なんて項目まであるから面白いですよね。
遺伝子検査をさらに詳しく
料金設定
280の項目を\29,800で検査するのは「DeNAライフサイエンス MY CODE」
- 280項目 \29,800
- 100項目 \19,800
- 30項目 \ 9,800
以上のような料金設定になっています。
どうやって検査するの?
方法は簡単。
医療機関に行く必要はありません。
専用のキットを取り寄せて、容器に唾液を採取して郵送するだけ。
結果は2~3週間後、WEBで見ることができます。
唾液も優秀
唾液には白血球が多く含まれており、その白血球の細胞のDNAが、遺伝子検査の対象として有効なのだそうです。
唾液は血液と同じくらい検査に向いていると考えられています。
検査項目が知りたい
主な検査項目は、
- がん(38種)
- 生活習慣病
- アレルギー(花粉症、アトピー性皮膚炎、ぜんそく等)
- 心筋梗塞
- 糖尿病
- アルツハイマー病
などはもちろんですが、
こんな項目も。
- 血液の固まりやすさ
- 耳垢のタイプ
- 85歳以上まで生きる可能性
- 眼圧
- 頸動脈の血管壁の厚さ
- 関節リウマチ
- 頭蓋骨の大きさ
- 閉経の時期
- 髪の形状
- 体脂肪率
- 骨粗しょう症
- 肝炎
- 潰瘍性大腸炎
- 加齢黄斑変性
- 顔の見た目年齢
「ぜひ知りたい」と思うものから、「それを知って、どうする?」というものまで、本当に何から何まで調べてもらえます。
でも、ここまで分かると、ちょっと怖い気もします。
YAHOOヘルスケアもやっています
その方法は?
YAHOOヘルスケアの「Health Data Lab」も、同じように遺伝子検査を行なっています。
こちらは290項目で\49,800。
DeNAの場合と同じように唾液を採取して送付します。
結果は2か月後、WEBで見ることができます。
YAHOOの検査項目がおもしろい
検査項目はDeNAと同じものが多いのですが、こんな項目もあります。
- 95歳まで生きる可能性
- 人差し指と薬指の長さ
- 聴力
- 痛みの感じやすさ
- 塩味の感受性
- 旨味の感受性
- 数学能力
- 好奇心
- 経済、政治の関心
- 忍耐力
- 記憶力
110項目の病気発症リスクと、180項目の体質を調べてくれます。
DHCだってやってますよ
美容に注目
DHCも遺伝子検査を行なっています。
こちらは美容への取り組みの一環という感じのスタンス。
専用キットに入っている採取棒で頬の内側をこすった物を送付します。
- ダイエット対策キット~肥満関連遺伝子を調べ、遺伝子型ダイエットを提案する。
- 美肌対策キット~ 自分の肌質を知って、美肌作りをスタートする。
アドバイスもらえます
検査結果報告書と20ページからなるパーソナルカルテがもらえます。
検査結果から得た情報を元に、ダイエット対策キットのカルテには、
- 食生活
- お勧めの栄養素
- 運動
などを教えてくれます。
美肌対策キットのカルテには、お勧めのスキンケアや美容液などが提案されています。
出生前診断
どんな診断なのか詳しく知りたい
お腹の中にいる胎児のことを調べる出生前診断。
胎児に先天性の異常があるかどうかを調べます。
羊水診断(15週~18週)
羊水中の胎児の細胞を採取してDNAを分析します。
絨毛診断(9週~13週)
胎盤の組織である絨毛細胞を採取して分析します。
どちらも費用は10万~15万円程度。
全額自己負担となっています。
結果が出るまでに2週間ほどかかります。
新しい診断方法も
新出生前診断といわれるものもあります。
無侵襲的出生前遺伝学的検査というのが正式名称ですが、
NIPT
と呼ばれています。(Non-invasive prenatal genetic testingの略)
妊娠10週~18週の時期に妊婦さんから、わずか20ccの血液を採取するだけの検査です。
条件があります
この新出生前診断も保険が適用されないため、施設によって多少の違いはありますが、20万円前後の自己負担となります。
また希望すれば全ての人が、この検査を受けられる訳ではありません。
出産予定日時点で35歳以上を迎える高齢出産の妊婦さんなど、いくつか条件がありますので、必ず医療機関に確認してください。
「人を知る」手段?
何もなかった・・・ということにはならないから
診断の技術は日々向上しているようですが、倫理的な問題は置いてきぼりになっていないのでしょうか。
胎児は喋ることが出来ません。
当然のことながら、その権利を訴えることも出来ません。
難しい問題ですが、向き合っていかなくてはならないことです。
中絶は母体を傷付けたうえに、心にも深い傷を残します。
何もなかった…ということにはなりません。
就職や受験が遺伝子で?
ほんの少しの唾液や血液から、その子の、その人の未来が分かってしまう時代。
「就職や受験は遺伝子検査で行なう」
なんてことにならないものかと心配になります。
子どもの性格や才能までも分かってしまうなら、遺伝子による差別や選別が起きても不思議ではありません。
遺伝子による差別
1990年代アメリカでは、保険会社が特定の遺伝子変異を持つ人達の保険加入を拒否するということが相次ぎ、大きな社会問題になったことがありました。
そのことを踏まえ、遺伝子情報による差別禁止法を制定し、保険に入る際の審査や、仕事上での差別には罰則を設けました。
倫理的な問題にも向き合おう
遺伝子検査が手軽に行なえるようになり、病気に対してのリスクを軽減できる可能性も出てきました。
それはとても有難いことではありますが、倫理的な問題にもきちんと向き合う必要性を感じます。
遺伝子検査は、「人を知る」手段のひとつに過ぎないことを、忘れたくないものです。
遺伝子検査でかかりやすい病気がわかれば対策しやすいよね。まさケロンも1回しとこ!