「本人が自らの名前と所属・連絡先等を示すために、他人に渡すことを目的としたカード」
それが「名刺」。
欧米ではBusiness Card(ビジネスカード)、中国では名片と呼ばれています。
全世界で年間に100億枚の名刺が使用されているそうです。
そのうちの7~8割が、なんと日本で消費されているのです。名刺大国だったんですね。
相手が不在の時に使われていたのが名刺の始まり
名刺の登場~中国編
中国で名刺が登場したのは唐の時代のことといわれています。
訪問先が不在の時に、木や竹の札に自分の名前を書き、それを入り口に刺しておき、訪問してきたことを伝えたというのが名刺の始まりと言われています。
欧米編
ヨーロッパでは16世紀のドイツで、やっぱり中国と同じ様に訪問先が不在の時に訪問したことを伝えることが始まり。
18世紀ではヨーロッパの社交界での必需品となり、19世紀には写真入りの名刺が登場していたそうです。
アメリカでは南北戦争後の好況時代に一部の裕福な人達が社交のために使用し、20世紀半ば頃にはビジネスにも使われるようになりました。
日本編
ちなみに日本では19世紀、江戸時代。
和紙に墨で名前を書き残した物を訪問先が不在の時に使用。幕末・開国の頃には自分の名前の上に紋所が入り、役人達が外国人と接する時のために使うようになりました。
アジア圏が主流
日本・韓国・台湾・中国などの東アジア圏では初対面の時に名刺交換を行なうことが慣習化されています。
しかし欧米では名刺交換の頻度は低く、アジア圏でのビジネスの増加や連絡先の交換が必要不可欠になってきたため、その光景が当たり前になってきたのです。
タイミングが違います
ここで欧米との大きな違いをひとつ御紹介。
日本では相手の方と会ってすぐに名刺交換をしますが、欧米は逆。別れ際に交換するそうです。
日本では「まずは御挨拶代わりに」、欧米では別れ際に「連絡先の交換をしましょう」という意味合いが強いようです。
文化の違いなので
日本では頂いた名刺は「その人だと思って」丁寧に扱うことが常識になっています。
他の国では本人の目の前で名刺にメモしたり、結構雑に扱われることもあるようなので「失礼な奴だ!」と思わないように。
それぞれの国の文化の違いとして受け入れましょう。
必ず覚えよう 名刺交換時の5つの基本
ビジネスシーンでは欠かせない名刺交換時のマナー
名刺交換のマナーも、覚えるまでは大変です。
とにかく一番大事といわれるのが、「謙虚な姿勢」。
- 訪問する側や立場が下の人から名刺を渡す
- 胸の高さほどの位置で、名刺の表側を向けて両手で持って差し出す→この時に社名、部署等、自分の名前をフルネームで伝える
- テーブル越しに渡すのはNG
- 必ず名刺入れから出すこと(ポケットや財布から出してはいけません)
- 相手の名刺を受け取る時も両手→相手の名前や会社のロゴなどの上に指を置かないように注意!
場合によっては名刺交換を片手ですることもあります。
そんな時には自分の名刺を右手で差し出し、相手の名刺は左手で受け取るのがマナーです。
個性で勝負しよう
インパクト重視
人にそれぞれ個性があるように、名刺にも個性を持たせるとインパクトも強いかも。
本当にいろいろなデザインの名刺が作れるようになりました。
型も角型、角丸型、楕円型と様々。
写真入りや似顔絵入りの名刺やガラスの名刺、型抜き名刺、ラインストーン入り名刺、エンボス加工がしてある名刺、金箔・銀箔の名刺まであるんです。
質感も大事
革、アルミ、布生地のような質感の名刺、ポリエステルフィルムに文字を印刷した透明な名刺、本物の桐を薄く切り出して作った桐の名刺。
どこを重視するのかも個性ですよね。
またQRコードが入った名刺は、その場で相手にブックマークしてもらえるという便利な名刺。
遊び心満載な名刺も登場
- 名刺の表面に貼ってあるテープをめくると、名前が出てくる名刺
- 水をやると植物の芽が生えてくる名刺
- プラスチックの名刺
- 最初は二つ折り→それを広げると仕掛け絵本のように名前などが飛び出してくるポップアップ名刺
おしゃれな物から、若干迷惑?かも知れない物まで名刺もなかなか多彩な顔ぶれになってきています。
匂いで勝負!?
そんな中でも飲食・食品関連の会社の方々には喜ばれそうな名刺があるのです。
それは、「匂い」がする名刺。
- カレーの匂い
- バナナの匂い
- チョコレートの匂い
- イチゴジャムの匂い
- コーヒーの匂い
- ローストガーリックの匂い
- 日本酒の匂い
- 備長炭で焼く焼き鳥の匂い
などがあるんです。
嫌いな人にはめちゃくちゃ迷惑になるかも知れない名刺ですが、インパクトは大。
その方法とは?
「同一空間内に匂いの粒子を一定期間滞留させることで、対象物に匂いの粒子を移動させるテクノロジー」(ザーズ株式会社)
その匂いの付いた特殊シートが装着されている名刺ケースを使用すると、名刺の匂いも長持ちするようです。
名刺だって進化しています
一体いつまで紙なの?
あらゆる物がデジタル化していく現代。
「名刺は一体いつまで紙なの?」と思う人もいるでしょう。
特に頂いた名刺が大量になってくると、整理するのも見付けだすのも面倒。こんな物こそデジタル化すれば便利なのに…。
惜しいレベルだったのです
もちろんデジタル化はされているのですが、その使い勝手が今ひとつの為、なかなか浸透していかないのです。
相手が同じアプリを持っていないと交換できないもの、また「交換時にスマホを振る」というビジネスシーンにおいてはあまり歓迎されない光景だったりと、惜しいレベルで止まっていました。
Cofame
そんなイメージを払拭するデジタル名刺が「Cofame」。
こちらはスマホを振ったりするなどのアクション系ではありませんし、相手が同じアプリを持っていなくても大丈夫。
「E-mailやSMSでの送信が可能」なのです。
交換した名刺はクラウドで同期され、i-Phone、andoroid、PCすべての端末から見ることが出来るのです。
これは、かなりの優れもの
更には古くなった情報を自動的にピックアップし、アドレス帳を常に最新の情報に保ってくれます。
「いつ・誰と・どこで会った」
などの名刺交換した時間、場所等も記録し、タイムライン形式での管理も可能。これはかなりの優れもの。名刺の在り方が確実に変わっていくでしょう。
自分を表現する物
学生や主婦だって
名刺は自分の連絡先を伝えるだけの物ではなく、「自分を表現する物」になってきました。
ビジネスシーンだけではなく、学生や主婦も名刺を持つ時代。新年度などでの新しい出会いの場で、名刺交換をしてコミュニケーションの輪を広げています。
名刺にも心遣いを
そんな名刺の余白にでも
など直筆でのひとことが添えられていると好感度もアップ。
ちょっとした心遣いが出来る大人は、誰から見てもステキに映ります。
名刺は初対面の人に自分を知ってもらうための大切なアイテム。
上手に利用して、これからの関係に繋げていきましょう。
これから名刺をつくる人。連絡先を載せるだけじゃなくて自分のいいところをアピールしてみよう!