住まい・暮らし

これからのコミュニティカフェ 成功のカギを握る6つのポイント

Written by なつき

東日本大震災の後、行方不明者の把握や避難時の助け合い・そして復興においても、人と地域の繋がりの重要性が再認識されるようになりました。

「お互いを知る」ことの必要性。繋がりを広げていくことは、その地域の活性化にも役立ちます。

そんな動きを後押ししてくれているのが

「コミュニティカフェ」。

高齢者や子育て世代が集まりやすい「居場所」作りに加え、障がい者の就労支援、地域の街づくりに取り組む場としても利用されています。



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コミュニティカフェって、どんなところ?

中身はいろいろ

このコミュニティカフェ。それぞれに工夫を凝らしたカフェが各地に開設されています。

NPOや任意団体、個人が中心となって運営されているものもあります。

飲食スペースや手作りの小物・雑貨等の販売スペース、展示コーナーや相談コーナーなどを設けているカフェもあります。

またパソコンやプリンター、FAXなども完備され、設備は充実しています。

定期的にコンサートや講座等を開催している所もあります。

福祉に重点をおいて交流

高齢者には、血圧測定や問診などの健康チェックを定期的に行なうサービスを。

子育て支援としては、孤立しがちなママの為の居場所作り。

おもちゃをたくさん用意し子どもを遊ばせながら、他愛ないおしゃべりや悩みを話せる息抜きの場にしているカフェもあります。

更にはその運営に障がい者の方に加わってもらい、就労の場としても一役買っています。

地産地消をテーマに地元の農家の人と交流を持ちながら、その食材を使ったメニューを提供しています。

知られているようで知られてない?

コミュニティカフェは、その多くが月の半分以上、1日に4時間以上営業しています。

運営は平均2~3人のスタッフでボランティアが中心。

その存在を周知してもらう為に、HPやチラシ、広報紙などを作ってPRを行なっています。

でも、広報活動で一番効果があるのは口コミ

福祉関係機関や趣味の団体等と連携を取って、コミュニティカフェの存在とその趣旨を広げていくようにしています。

どこにあるの?

コミュニティカフェの利用者は年々増加し、1日平均20人程度の利用者がいるような施設も珍しくありません。

その利用者の8割が60歳以上の女性となっています。

そもそもどんな場所にあるかというと、殆どが住宅街や商店街

もとは店舗や空き家だった物件を再利用しています。

住宅街の中の空き家を再利用した場合、間口が狭かったりすると外から分かりにくいという欠点もあるようです。

資金の出所

開業には当然資金が必要になってきます。

バリアフリーにしたり、小さい子どもでも使えるように洗面台を低くするなど、内装にお金をかけています

その開業の為の資金の出所は、設置者や運営者が出し合うケースが多く、補助金を得たり寄付金を募ったりというケースは決して多くありません。

また経営自体も赤字で、止むを得ず閉鎖を考える状況にまで落ち込んでしまう施設もあります。

ネットワークで交流出来る

地域の人達のために様々な団体や個人が運営しているコミュニティカフェ。

横の繋がりも心強く、「社団法人 長寿社会文化協会」が、その支援活動を積極に行なっています。

全国コミュニティカフェ・ネットワークというものを作り、コミュニティカフェのガイドブックや、カフェを立ち上げる為のノウハウを冊子にまとめたり、助成金の情報などの情報交換、交流会なども開催しています。

こんなコミュニティカフェも

福祉関係が断トツです

コミュニティカフェを作った目的では

  • 「高齢者福祉」
  • 「子育て」
  • 「障がい者支援」

等の福祉関係が最も多く、次いで

  • 「まちづくり」
  • 「不登校・引きこもりの子どもの支援」
  • 「青少年の居場所づくり」

と続きます。

意外と少ないのが

  • 「世代間交流」
  • 「国際交流」

を目的にしたものです。

必要性だけじゃなく個性もポイント

「読書空間」

「読書空間」は、ゆっくりのんびり読書をしたりボーっとすることが目的。

「自殺防止」

「自殺防止」では、心といのちを考える会という団体が週1回のコーヒーサロンを実施。

この会では講演会やフォーラム、コンサートなどを行ないながら、生きることの大切さや素晴らしさを分かち合い、自殺予防に繋げていく活動をしています。

「ワンディシェフレストラン」

スタッフサイドの負担軽減を考えた「ワンディシェフレストラン」。

プロの料理人ではない一般の主婦やOL、学生が日替わりで料理を提供するというもの。

一般の人でも自分の料理の腕を試せるチャンスともいえるでしょう。

「認知症カフェ」

そして、これから増えていくであろうと思われる「認知症カフェ」。

認知症の人、その家族、介護スタッフらが集まるカフェ。

孤立しがちな患者と家族に支え合う意識、繋がりを作ってもらうのが目的となっています。

決まった形や枠にとらわれず、必要性や個性を打ち出しながら作り上げられるコミュニティカフェ。柔軟な考え方、アイデアやセンスも大切な要素になってきます。

震災を教訓に

普段はコミュニティカフェ、非常時は避難場所というコンセプトで作られた施設もあります。

「あかりサロン稲毛」

千葉県にある「あかりサロン稲毛」。

建物は3階建てのビル。1階にはドリンクと軽食のメニューがあるコミュニティカフェ。

また、手作りのアクセサリー・手芸品・雑貨などの販売も行なっています。

2階はキッチン付きのレンタルスペース。料理教室などを開くことも可能です。

都市ガスだと災害が起きた時は使えなくなるので、あえてプロパンガスを使用。

3階は30畳のフローリング。普段はダンスやヨガなどを中心に利用されていますが、緊急時には避難場所として使うことが出来ます。

震災を教訓に、「もしも」の時を考えた取り組み。まさに一石二鳥ですね。

課題が多いのも現実

こんな悩みがあるのです

その一方で多くのコミュニティカフェが抱える問題もあります。

  • ボランティアスタッフが不足。ボランティアのみでの運営には限界がある。
  • コミュニティカフェの存在や趣旨が伝わりにくい。
  • 利用者層の拡大。(年齢層が偏り過ぎている)
  • 客層が固定メンバーになりがち。圧倒的に男性や学生の利用が少ない。
  • 赤字の施設が多く、助成金や補助金などがないと存続出来ない。
  • 空き家等の再利用で使用している場合、建物自体の老朽化が早い。

男性にも来てほしい

リタイア世代のひとつの居場所としても活用してほしいところですが、女性の利用者が8割、更に客層が固定しがちなので、男性は余計に入りにくいと思う人も少なくないでしょう。

そんな男性層を取り込むためには、いっそのことスタッフサイドに男性を入れることで、それらの課題がクリアしやすくなるかもしれません。

男性のことは男性が良く分かる筈ですから。

お金がない!

助成金や補助金に関しては、まずは自治体に相談してみることが一番だと思われます。

コミュニティカフェの殆どは利益の追求ではありません。

地域の為、そこに住む人達の為の施設を目指してスタートした筈です。

但し、赤字では続けることが不可能になるので、そもそもの目的さえ達成出来なくなります。

自治体がNOと言うなら、一般の信頼出来る団体に申し込んでみるのもいいでしょう。

探してみれば

例えば「日本財団」には、ボランティア支援助成金という制度があります。

「日本財団」はボートレースの売り上げを財源に活動している民間の助成財団です。

助成金の対象となるのは、ボートレースだけに(?)海や船に関する事業、または社会福祉・教育・文化などに関する事業となっています。

コミュニティカフェは後者に入る為、とりあえず申請してみるのもいいかも知れません。

アメリカでは

マザーカフェプラス

アメリカにはシニアのスターバックスと言われる「マザーカフェプラス」というコミュニティカフェがあります。

会員資格は55歳以上。シニア向けレストランがメインとなっています。

更に生活情報の提供やカルチャースクール、フィットネスなどのサービスを併せ持つ複合サービス型の施設です。

サービスは80種類

住宅リフォームの相談や社会保障プログラムなどの紹介といったシニアに必要な情報を提供してくれます。

有料無料のものを合わせて、なんと80種類ものサービスを行なっているそうです。

食事はシニア向けの質の高いメニューを提供。スタッフも接客のスペシャリストを揃えているという本格派。

本物志向が強いシニア向けだからこそ、サービスの方も手を抜きません。

こんな仕組みになっています

「どうして、こんなことが出来るの?赤字にならないの?」

こう思う人も多いでしょう。

このマザーカフェプラスの運営は、老人ホームやデイケアセンターなどの事業を行なっている会社なのです。

そちらの事業がいわゆる本業なので、カフェの方ではそんなに大きな収益は期待していないようです。

期待するのは、そのカフェに集まるシニアを本業の方への集客に繋げること。

「なるほどね」と納得しちゃいますが、「カフェだけで収益を上げるという考え方は甘い」と言われているような気もします。

これからのコミュニティカフェに必要な6つのポイント

  1. コミュニティカフェのみで儲けようとすると厳しい。
  2. 男性目線を取り入れての経営。
  3. ボランティアスタッフには、少額でもいいからお礼を。
  4. ランチやディナーを利用してもらいながらのイベントを頻繁に開催する。
  5. 夜はアルコールやおつまみメニューを用意。
  6. 固定観念を捨て、ゲストのニーズに応えられる柔軟さを持つ。

1. 利益は見込めない

実際のところコミュニティカフェのみの売り上げでは儲けは見込めません。

続けていく為には何らかの工夫が必要となります。手作り品、雑貨、アクセサリー等の販売をしている所も多いのですが、残念ながらそれも大きな収益には直結しません。

経済的に余裕のある人が副業や趣味の延長などの範囲内でやるか、マザーカフェプラスのように本業に繋げていくことを視野に入れて運営するなどの方法がベスト。

またパン屋さんやケーキ屋さんなどの店内に、ちょっとしたスペースを設けてもらうのもいいかも知れません。

とにかくゼロからのスタートで、コミュニティカフェのみで生計を維持しようとするのは危険です。

2. 男性の出番です

今までのカフェの殆どはスタッフが女性中心、ゲストも女性中心という、まさに女の世界。

そうでなくても地域の顔ぶれをあまり理解出来ていない人(特に男性ですね)にとっては、更に入りにくいイメージがあるもの。

常連さんを大切にしつつも、新しい客層を開拓していくことはサービス業の鉄則。現状に甘んじていてはいけません。

まずは男性層を呼び込むことからスタートしましょう。

これにはスタッフサイドに男性が入ってくれることが一番。男性のことは男性に聞くのが早いし、間違いありません。

また男性が入ることで刺激にもなり、女性の意識もちょっと変わってきます。

内側から変えることが、外への発信に繋がるのです。

3. されどお金

予めボランティアと分かっていて行なっていることも、それが長期になるとモチベーションは続かなくなってきます。

少ない売り上げの中から人件費を捻出するのは至難の業に近いことかも知れませんが、そこは思い切って出すことをおススメします。

タダ働きというものからは、やる気も向上心も生まれてきません。

例えば

「1日4時間以上の勤務で1,000円/日プラス食事付き」

謝礼とも言い難い金額かも知れませんが、ないよりはマシ。余った食材なども持って帰れるような配慮をすれば、スタッフだって嬉しいもの。

金額どうこうより、自分の存在、働きが評価されていることに喜びを感じるものなのです。

4.5. 集客率アップの為に

集客率を上げるためには、「イベントの実施」は欠かせません。

セミナーや講演会等々、ランチやディナーなど店の商品を利用してもらいながらの開催にしましょう。

食事代は通常代金を頂いたり、ちょっと安めに設定したり、その時々で工夫をしてみるといいでしょう。

また、夜の営業時間帯には、アルコールとちょっとしたおつまみ類もメニューに加えることがポイント。

これは割と効率的に利益に繋げることが出来るのでおススメです。

6. 柔軟性が運命を分ける?

常に忘れてはいけないのが、「ゲストのニーズに応えていくこと」

何を求められているのか、それを形にしていく為にはどうしたらいいのか。

頭で考えているだけではなく、とりあえず実行してみて、足したり引いたりしながら形にしていく努力が必要です。

柔軟性を持つことで、自分が気付かなかった点を指摘してもらえたり、発想の転換もスムーズになります。

これは運営していく上での、大きなメリットといえます。

都合の良い場所を守る為に

面倒くさいもの=役に立つもの

「いつ来ても、いつ去っても、良し。行けば誰かと話せる、都合の良い居場所」

これはきっとこれからも変わらない、コミュニティカフェの一番大切なコンセプト。

これを守りながらも、経営のノウハウを学び、原価計算や日報作成などの面倒くさい業務も頑張りましょう。

これらは無駄をなくす為に絶対に欠かせないものです。

無駄は赤字に直結していくものなので、その中身をはっきりさせておくことが重要です。

思いを繋げていく為に

「地域の為に、そしてそこに住む人の為に」を思ってスタートするコミュニティカフェ。

だからこそ、その思いを必要としてくれている誰かの為に、必ず継続していかなくてはなりません。

「居場所づくり」は決して簡単なことではなく、責任も大きいことを覚悟してのぞみましょう。

まさケロンのひとこと

これからのコミュニティカフェに必要な6つのポイント。まさケロンが一番大事だと思うのは「3.ボランティアスタッフには、少額でもいいからお礼を」。自分の存在、働きが評価されていることに喜びを感じたボランティアスタッフのみんなはもっともっとコミュニティカフェを盛り上げてくれると思うよ!

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筆者情報

なつき

東京都出身。飲食店で勤務をしながら、趣味で執筆。エッセイコンクール等で入賞多数。2010年からライターとして執筆開始。2014年本格的にフリーとして始動。結婚、恋愛、教育、子育て、スポーツ、健康、保険、季節のイベント等の記事を中心に執筆。2013年FP2級取得。