20世紀に製作されたSFアニメでは、人々はよくガラスドームで覆われた操縦席が付いた車や飛行機や宇宙船に乗っていました。
現実世界は21世紀になりましたが、戦闘機以外の飛行物体で、360度ビューのドーム型操縦席の乗り物はまだありません。
と、思っていたら、搭乗するゲストが景観を楽しむための、コックピットサイズの360度ガラス張り展望デッキ付きの飛行機が、どうやら近々登場しそうな感じになってきました。
飛行機に取りつけられる空中展望室ついに開発!
飛行機にガラスドームの突起がついた
360度のクリアビューが可能な展望空間「スカイデッキ(Sky Deck)」を開発したのは、航空宇宙関連技術専門のエンジニアリング会社
「ウインドスピード・テクノロジー(Windspeed Technologies)社」
です。
まずは、同社が発表しているCG画像によるスカイデッキのプロモーション動画をご覧ください。
飛行機の後部の天井が一部プクッと膨らんでいるように、まるで朝露の滴がついているかのような透明のデッキがついています。この涙型のドームの形は、尾翼に向かう気流を妨げない形と高さに設計されており、燃費の増加も最小限になるよう作られているそうです。
プライベート機から旅客機まで多様な機種に取りつけ可
この映像では、天井から階段が降りて来るタイプですが、機内からデッキまで垂直にエレベーターで上がるタイプもあります。
シートはひとり用と二人用があるそうで、中型~大型の様々な大きさ、種類の機体に取りつけ可能となります。プライベート機だけでなく、旅客機に設置することで、移動輸送サービスに新たな付加価値をプラスすることもできます。
フライトが単なる移動手段からエンターテインメントへ
革命的フライト・エンターテインメント新製品
ウインドスピード・テクノロジー社のHPの記載によると、
“ A REVOLUTIONARY NEW IN-FLIGHT ENTERTAINMENT PRODUCT ”
というキャッチコピーで紹介されています。直訳すると、
「革命的な、新たな、フライトを楽しむための製品」
でしょうか。
冒頭では
と解説されています。
“はるか上空の360度クリアビュー”
を売りに、航空機事業の新たな価値を追求したサービスの開発・提供を目指します。航空機需要の減少を食い止め、顧客獲得競争に勝ち、航空会社の収入を上向きにするための新たな着眼点ともいえそうです。
確かに、こんな体験ができるのなら、到着地に移動するためではなく、飛行機に乗ることそのものを目的とする乗客が出て来るでしょう。こうなるともう「付加価値」の域を超えた、まさに
「フライトのエンターテインメント化」
という発想ですね。
こだわりの眺めを楽しむ特別な空間
贅沢な展望体験を楽しむことを何よりの目的に開発されているシステムです。シートが360度回転するのはもちろん、クリアビューのためのテクノロジー追求もぬかりないようです。
ドーム状のガラスの表面は、霧などによって水蒸気が窓表面で凝固しないよう特殊なフィルムが貼られています。全面UV防止のコーティングもされているので、日焼けの心配もありません。もちろん、鳥などがぶつかったくらいではビクともしない頑丈な素材が使われ、安全性も十分です。
実用化までもう少し
これまで開発に1年以上の月日を費やし、システムはほぼ完成されました。現在特許申請中で、その間、宣伝・売り込みの展開が始まったところです。世界中の飛行機メーカーから注目が集まっており、CEOのShakil Hussain氏は
「ヨーロッパの大型旅客機メーカーも、このスカイデッキをお客様に提供し始めるようプランを立てています」
と語っているそうです。
特許取得後、販売契約が進み、実際にデッキを搭載した飛行機が飛ぶのは、まだもう少し先になるようです。登場後も、初めは庶民の手が届くものではないかもしれません。
「でもこれ、ぜひ乗って、体験してみた~い!」
と感じる人も少なくないでしょう。
一般庶民が手軽に利用できるようになるまで、お互い、元気に長生きできますように。
今までの飛行機って外があんまり見えないせいかいまいち「飛んでる」って感じがしなかったけど、これで本当に空飛んでる気分になれそうだな〜。