都会というと、宅地開発が進み、自然が破壊され、川は濁り、空も汚れて・・・みたいなイメージを抱く人がいるかもしれません。が、工業化が進み、公害や生態系の破壊が進んだのは、昭和の時代の話。
環境アセスメントが進み、緑化運動盛んな現代、私の住む首都圏でも生活圏の環境整備に力が入れられてきました。東京湾や大きな川ももうヘドロなどなく、水辺の多くは、綺麗な水と岸辺の緑に囲まれた憩いの空間として整備されています。
魚や野鳥などの生態系も復活しており、近くの海辺ではアサリが捕れ、町の中でも日常的に多くの野鳥が見られます。
寒さが緩んできた早春、木々が新緑に包まれる直前までの時季、潮干狩りにはまだ早いですが、お手軽にバードウォッチングするのには、とても適した季節です。のんびりぶらぶらお散歩がてら、野鳥探してみませんか?
スズメだと思って見過ごしていたかもしれない身近な野鳥
スズメがわかれば、他のもわかる
バードウォッチングに今まで全然興味がなかった人は、
「鳥なんて、スズメとカラスと、せいぜいハトくらいしかわかんない」
なんて思うかもしれません。
いいんです。スズメがわかる人なら、スズメと同じようなところにいることが多い野鳥もきっと見つけられます。
スズメは、街路樹や庭木、市街地の電線の上など、身近なところにたくさんいます。公園や河川、空き地などちょっと開けた緑地で複数飛び交うスズメたちの中には、同じくらいの大きさの野鳥も混ざって一緒にいることがよくあります。
念のため、スズメってこれです。
大きさや鳴き声や模様の違いを見つけよう
実は、スズメに混ざっている野鳥の中には、スズメとよく似た鳥が多いんです。もしかして、あなたが今まで「たくさんのスズメ」だと思っていた光景の中には、いろんな野鳥が混じっていたかもしれません。区別の方法がわかれば、あっという間に「野鳥に詳しい人」になれます。
1. ホオジロ
ものすごく紛らわしいやつがこれ、ホオジロ。
微妙に顔の模様と鳴き声と大きさが違いますが、シロウトに区別は難しいので、ホオジロ探しはステップ2でやることにして、最初はもっと簡単なのを見つけましょう。
2. シジュウカラ
形と大きさはスズメですが、羽がグレーでお腹の真ん中に黒い線が通っているのはシジュウカラです。
スズメみたいなチッチーという鳴き方もすれば、ジュクジュクこもったつぶやきや、ツーピーという甲高い声など、鳴き声が多彩です。
3. ハクセキレイ
セキレイの仲間のハクセキレイは、見た目のずんぐり感がスズメと似ていますが、からだがひと周り大きく、尾と足もちょっと長めです。
羽色がグレーっぽいのはシジュウカラと似ています。鳴き声はスズメとよく似ています。
4. モズ
羽がグレーでお腹が黄色っぽいのはモズです。
これもスズメと比べるとひとまわり大きいので、近い距離だと判別しやすいです。
色の違いを見れば一発でわかる
5. メジロ
「そんな細かい違い、よくわかんないよー」
という大ざっぱな人でも大丈夫です。茶色や黒っぽい羽色がほとんどの野鳥の中で、はっきり目立つモスグリーンの羽をもつメジロなら、誰でもすぐにわかります。
ちょっと暗くて色の違いがよくわからないときは、目の周りがくっきり円く白くなっていればメジロです。名前のまんまですね。スズメと並ぶと、若干小さめです。ちょっと小さくて鳴き声がスズメより複雑だな、と思ったら明るいところで色を見てください。
ウグイスと間違えられるメジロ
梅のウグイスは、本当はメジロなのか?
最後に、メジロについてのウンチクのおまけです。
メジロは、花の蜜を舐める習性があります。梅の木に止まる写真をよく見るでしょう。
“梅の木に止まるモスグリーンの鳥”
という絵面のため、「ウグイス」だと思ってしまう現代人もいるようです。梅の枝に緑色のウグイスが止まっている絵は、確かに日本では昔からよく見ます。
実は、「梅にウグイス」というのは、和文化では縁起物のお決まりのデザインなのです。松と鶴が一緒に描かれるのと同じく、縁起物同士の取り合わせです。実際の松林に鶴はいません。野生のウグイスも、やぶのような所に隠れ住む習性があり、庭木の梅に止まりにくることはあまりありません。
昔の人はメジロをウグイスと間違えた?
本物のウグイスの羽色はもっと茶色に近いオリーブ色です。緑に描いたのは、浮世絵や日本画では鮮やかに色を際立てて描く傾向があったためです。タコを赤く描いたり、桜の花を実際より濃いピンクに描くのと同じです。
たまたま梅の木にいるメジロが緑色でしたが、昔の人々が決してメジロをウグイスだと間違えていたわけでもないのです。
ウグイスを探したい人はステップ3以降にどうぞ
ちなみに、本物のウグイスはこれです。
これもまた、大きさと形がスズメとほぼ同じです。
声はしてもなかなか姿が見えないので、ウォッチャー初心者さんが見つけるのは、ちょっと難しいでしょう。バードウォッチングを本当に趣味にするくらいになったら、雑木林などに双眼鏡持って探しに行ってください。
しっかしみんないい毛並みだな~羨ましい。