電力が自由化されるとは?
電気代が安くなるかもしれないらしいけど…
¬電力自由化」が徐々に盛り上がってきつつあります。別にイベントではないので盛り上がる必要はないのですが、注目度が上がってきつつあるのは確かです。
ネット上には早くも「価格比較」サイトまで登場しています。では、みなさんに質問、
「今までは電気を使いたければ、地域の電力会社と契約するしか方法が無かったが、これからはいろいろな企業から電気が購入できるようになる」
これが筆者の答えです。まぁ、この程度なら誰でも知っているわけでして、模範解答にすらなっていません。
確かにこの通りなのですが、お金を払って電気を使っている私たちにとって、どのようなメリットが期待できるのかは、新聞、テレビ、ネットを見てもいまいちピンときません。どのメディアも「お得になる」という切り口でしか解説してくれていないような気がするのですね。
もちろん「電気代が安くなる」のはとても重要なことです。電気は現代人の生活には欠かせません。「ライフライン」とはよく言ったもので、電気がなければ何もできなくなるといっても過言ではありません。そのコストが多少なりとも軽減されるのはうれしいことです。
でも、他にもいろいろと不思議に思うことはないですか?
たとえば、既存の電力会社以外の企業も電気を売ることができるようになるとのことですが、新規参入の企業はどうやって電気を作り出すのか?
もしかしたら電気を売る許可を得るためには自前の発電所を持っていないといけないとか、そういう決まりがあるのかもしれません。
あるいは、せっかく安い企業から電気を買うことにしたのに、やたら停電が多くて結局もとの電力会社に戻した、なんてことにはなったりしないのか、といったように様々な疑問が浮かんでくるのです。
皆さんはどうでしょうか?
そこで今回は、ちょっと人に自慢できるような「電力自由化」に関する豆知識的なことを考えていきたいと思います。
疑問その一:新規参入企業は、どうやって電気を仕入れるの?
「自由化」に伴い、電気の販売事業に参加することを表明している企業は通信会社やガス会社、外食チェーンなど様々です。これらの中には、発電施設を所有している企業も含まれています。
このような企業は自社で発電した電気を売ることができますが、そうでない企業はいったいどうやって「電気を仕入れる」のか?
答えはあっけないほど簡単、「東京電力」や「関西電力」といった電力会社から電気を買うのです。
疑問その二:安かろう、悪かろうじゃないけれど、安いところって、停電などのトラブルが多いんじゃないの?
これに関しては、ほぼ心配ありません。なぜなら、送電のための設備は既存のものを使用するからです。詳しく説明します。
発電所から一般家庭へ電気を供給する設備を「送電網」と呼びます。自由化後も送電網は既存の地域電力会社が管理しているものがそのまま使われます。
たとえば自由化後、A社から電気を購入することにした場合、A社の管理している送電網を使うわけではなく「東京電力」などが管理している送電網を共同使用する形になるのです。そのため、供給のばらつきは起こりません。
疑問その三:初期費用は? また大規模な導入工事が必要になったりはしないの?
これは重要なポイントです。初期費用はかかります(かからないところもあるようです)。携帯電話などの契約時に、初回のみ事務手続きのための費用が請求されますが、これと同じような費用が「初期費用」として発生するようです。
金額は3000円程度と予想されます。導入のための工事はケースバイケースではありますが、大掛かりなものは必要ありません。メーターを「スマートメーター」と呼ばれる多機能なものに交換する程度の工事で済むようです。ちなみにこのスマートメーターの工事費用等は一切かかりません。
疑問その四:本当に安くなるの?
確実なことは言えませんが、専門家などの分析によれば、おおむね現状より5パーセント程度安くなることが期待できるのだそうです。
「電力自由化」によって新たに開拓される市場は数兆円規模とも言われており、実に多くの企業が参入を表明しています。
顧客獲得のための競争に勝つため、各企業は自社のメリットを生かした料金体系、または付加サービスを準備しています。慎重に検討し、自分のライフスタイルに合ったサービスを選べば、電気代節約は十分期待できます。
ただし選択は慎重に行う必要があります。ケースによってはこれまでよりも料金が高くなる可能性があるからです。例えば、環境に配慮したエコ発電を特徴としている企業を選択した場合、現状よりも割高になることが予想されます。
なんだかんだで「競争」って大事だよね〜。