「世の中にないもの」の代名詞として、
『元年のカレンダー』
なんて戯言があります。
2019年は、平成最後の年となることが、1年以上前からわかっていました。平成天皇の退位が決まった時、多くの人は、ついに史上初の「元年のカレンダー」も誕生するのでは!と、大いに期待しました。
が、しかし、政権内部の諸々の事情により、2019年4月にならないと、新しい元号が発表されないことになりました。
元号切り替えに伴う業務に忙殺されるSEやお役所の人たちなどは、お気の毒としかいいようがありません。
一方、カレンダー作成業界の皆さんは、元年表記はあきらめたものの、それなりに対応を図り、2019年を乗り切りました。
2019年のカレンダー
開き直って「昭和94年」!?
多くのカレンダーは、元号を記載しないで西暦のみ表示だったり、4月まで平成31年・5月から2019年としたりしていました。
そんな中、「もし元号が変わらなかったら・・・表示」とでもいうべき、ユニークなカレンダーを作った業者もいました。どのページにも
「平成31 昭和94 大正108年」
と、終わったはずの元号にも換算して年が書かれています。これ、昭和や大正生まれの人の年齢計算がしやすくなって便利ですし、「おもしろい!」となかなか評判がいいようです。
ちょっとだけ国際標準化
ところで、世界は、一週間が日曜日から始まる国だけではありません。アメリカや東アジアでは、日曜始まりですが、中東のイスラム教国などでは金曜日が安息日(休日)とされているので、土曜始まりのカレンダーも使われています。
ヨーロッパでは、最近は月曜始まりが標準の国が多くなりました。これは、国際標準化機構(ISO)が定める日付の規格(ISO規格)が、一週間を月曜始まりと定めているのに合わせているためです。
日本でも、カレンダーは日曜始まりですが、手帳やスマホのスケジュール管理アプリなどは、一週間の始まりが月曜日になっているものが、日曜始まりのものより多くなっています。
グーグルカレンダーなどクラウドの日程管理システムや、スマホやPCの壁紙用カレンダーでは、日曜始まり・月曜始まりが選べるようになっていることも多いです。
庶民の日常生活は、土地土地の文化や慣習が強い影響力を持っていますが、ビジネスや各種専門分野での活動は、凄いスピードで国際化が進んでいます。グローバル標準に対応したカレンダーの必要性も、今後だんだん高まっていくと思われます。
元年カレンダーを機に、西暦に統一されたカレンダーが増えましたが、今後壁貼りや卓上カレンダーの中にも、月曜始まりのものが増えてくるかもしれません。
国際標準化機構のカレンダー
カメラの感度も洗濯表示も
さて、ここでISO(国際標準化機構)について確認しましょう。
スイスに本部がある非政府組織で、国や地域によってバラバラな様々な規格を統一して、国際的な取引をスムーズにし、世界中で同レベルの品質やサービス等が提供されるようにしていこう、という主旨で活動しています。日本を始め世界165か国(2014年現在)が参加しており、規格の制定や改定は参加国の投票で決めています。
ISOは、日本語では「アイエスオー」とか「イソー」とか「アイソ」とかいっています。すでに多くのISO規格が身近に溢れています。
カメラの感度を表す「ISO400」「ISO1600」などの表記もそうです。最近では、2016年に衣類の洗濯表示がISO規格に変更されたことがニュースになっていました。
ものの規格だけでなく、サービスや食品衛生管理、セキュリティ、マネージメントなど、多くの基準が国際標準化されています。会社の信頼度を高めるため、マネージメントなどのISO規格認定証をもらう取り組みを行っている職場もたくさんあります。
ウイークナンバー
ISOの暦の規格は、一週間の始まりを月曜日にすることだけでなく、
“その週がその年の何番目の週か?”を表す番号
「week number ウイークナンバー(WK**)」
の付け方も決められています。イギリスやフランスでは、ビジネスの場だけでなく、日常会話でも、「来週」とか「今週」とかいわずに、ウイークナンバーで
「WK30の水曜日に会いましょう」
なんていい方をすることが多くなっているそうです。
当然、月曜始まりのカレンダーには、必ずウイークナンバーが記載されています。
ウイークナンバーの利便性
ISO規格のウイークナンバーの数え方は1年の境目もきっちり月曜始まりで区切ります。ただし、第1週は木曜日の含まれる週から数えるため、1月1日が金曜日の年は、新年は1月4日月曜日からの週となり、元日は前の年の最後の週になってしまうところが、ちょっとややこしいです。
日本の月曜始まりの手帳の中には、ISOウイークナンバー併記のものも出てきました。
感覚的に「週末」が今週か来週か区切りがあいまいな日本では、「来週の日曜」というと、次の日曜なのか更にその次なのか、紛らわしいこともあるので、ウイークナンバーが習慣化すると、会話のすれ違いがなくなって便利な気もします。
ちなみに、アメリカでは日曜始まりのカレンダーですが、1月1日のある週を第1週として数えるウイークナンバーが、ビジネスの場などで使われています。ISO規格とズレる年もありますが、日本に導入されるとしたら、アメリカ式のほうが抵抗ないかもしれません。
たしかに、「来週の・・・」でうまれる勘違いってだれしも経験あるよね。
結局細かく言い足す必要があったりして。
みんながウイークナンバーに慣れ親しむことで世の中便利になる予感。