日本の暦の上では、年に5、6回しか訪れない最高最強の大幸運日。
「天しや」と書いてある暦もありますが、正確には
天赦日[てんしゃにち・てんしゃび]
と言います。
婚礼も開店も、入院や手術をするにも、引っ越しも、新築の棟上げも・・・・とにかく大安なんか目じゃない超大大大吉なラッキーデーですから、縁起を担ぎたい人にはうってつけの日です。
この日に新しいことを始めると上手くいく確率が高いそうですから、今までなかなか躊躇して踏み切れなかったことを始めるには、最高のタイミングです。
暦注[れきちゅう]って知っていますか?
暦の運勢は「大安」や「仏滅」だけじゃない
日めくり暦などを見ると、毎日いろいろな言葉が書きこまれているのがわかります。
大安や仏滅などは良く知られていますが、その他日付の数字の周りに小さな字でいろいろ書いてあるものの多くは、その日の運勢に関わる情報です。
それぞれの定める日の吉凶は細かく具体的に決められています。
これら運勢を示す注釈の項目を総じて
「暦注」
と呼びます。
大安や仏滅は「六曜[ろくよう]」と言われる暦注で、もともとは古代中国の占いだったものが、長い間にいろいろ変化しながら現在の六種類と順番になったものです。
江戸時代までポピュラーだった暦注
六曜は、明治以降流行ったもので、それ以前は、他の暦注が日取り判断の基準になっていました。
一番“当たる”と言われたのが「十二直[じゅうにちょく]」で、北斗七星の動きを元に定められた占いです。
12の言葉が毎日ひとつずつあてられ、繰り返します。
それぞれの日につき「○○○は吉、×××は凶」と、具体的に決まっています。
昔の暦の中段に書かれていたので、「中段」とも言います。
東洋占星術と方位占いを合わせたような「二十八宿[にじゅうはっしゅく]」という暦注もあり、これは28日間で一周する吉凶情報です。
風水流行の最近気にされている暦注
これらふたつの暦注は、明治以降は重視度が下がっています。
最近の人気は六曜ですが、他には「九星[きゅうせい]」が注目されることが多いようです。
九星は「一白水星」「七赤金星」など、数字と色と五行(古代中国の5大元素みたいなもの=木火土金水)に星が付いた四文字単語です。
組み合わせ方は決まっているため、暦には省略して最初の二文字だけ書くことが多いです。
これは風水など方位の吉凶判断の際、重視されます。
特別な意味を持つ選ばれた日「選日[せんじつ]」
「選日」は、全ての日にふられて周期する暦注はなく、二十四節気や雑節のように、特定の日や期間を示すものです。
決め方はそれぞれ違いますが、主に日の干支を基準に吉凶を定めたものです。
「天赦日」は、暦注下段といわれる暦注に含まれますが、日の干支によって決められ、また吉意はどの暦注よりも強いため、選日の中にも記載されています。
選日は、特に強い吉凶を示す日
どんなに科学が進んでも、吉凶運や縁起は気になる
暦注の多くは、古代から伝わる占いや思想、言い伝えなどが元になっていますが、時代と共に変わってきたものや根拠がわからないものもあります。
人々が振り回されないように、暦注の記載が禁じられたことが、過去何回かありました。
しかし、縁起というものは、悪いよりはいい方がよく、あやかることができたら儲けものだし、悪運なら避けておくほうが無難、と思うのが人です。
禁じても、いつまでも人気が廃れることはなく、時には規制の抜け道を縫って支持・継続されて、現在に至っています。
今、日本全国どの町でも、大安には結婚式場がいっぱいになり、友引はお休みの斎場がたくさんあります。
今も気にされることが多い選日
六曜や九星以外では、「選日」の記載も比較的気にする人が多い暦注です。
何がよくて何が悪いという両面はなく、吉か凶かどちらかでわかりやすく、また六曜の吉凶よりも強い力が働くと捉えられているせいもあり、特に祝い事や建築関係の日取りなどを決めるのに、意識することが多いようです。
所詮占いごとですが、実際の冠婚葬祭や建築業界が暦注を基準に営業している以上、社交辞令として尊重せざるを得ないこともあります。
選日について知識として知っておいても損はないでしょう。以下、ざっとまとめてみます。
① 不成就日[ふじょうじゅび]
何を始めるにも良くない結果を招くと言われる凶の日。旧暦の日付で決まっており、だいたい8日に1回くらいあります。
② 八専[はっせん]
これは期間を指します。日の干支が壬子[みずのえね]から癸亥[みずのとい]までの12日間のことで、年に6回巡ってきます。仏事・法事、婚礼、仕事始めなどには凶の日です。
③ 一粒万倍[いちりゅうまんばいび]
何事も大きな結果を生む日とされ、何事を始めるのにも良い日。特に仕事始め、開店、種まき、お金を出すには吉であるとされています。ひと月ごとに決められた干支(十二支)の日があてられ、1年に30回ほどあります。
④ 三隣亡[さんりんぼう]
建築に関することは凶の日です。この日に家を建てると火事をおこし、向こう三軒両隣(三隣)まで焼けると言われます。これも月ごとに決められた干支の日があてられています。
⑤ 十方暮れ[じゅっほうくれ]
八専と同じく期間を表します。甲申[きのえさる]から癸巳[みずのとみ]までの10日間のことで、年6回巡ってきます。何か事を起こすと失敗を招くと言われる凶の期間です。八専よりこちらのほうが凶意は強いと言われます。
⑥ 天一天上[てんいちてんじょう]
地上に降りていつも悪い方角を塞いで守っている天一神という神様が、天に帰る期間です。天一神がいる方向に真っ直ぐ向かうと祟られるので、いつもはその方角を避ける必要がありますが、この期間だけは気にしなくていいのです。癸巳[みずのとみ]から戊申[つちのえさる]までの16日間がこれにあたり、初日の癸巳の日は上吉日とされています。
⑦ 犯土[つち]
庚午[かのえうま]から丙子[ひのえね]までの7日間と、戊寅[つちのえとら]から甲申[きのえさる]までの7日間のことで、この期間は土の神様が土中に居るため、土を犯してはならないとされています。土を犯すとは、穴を掘ったり、種を撒いたり、土いじりをすること。土木工事はもちろん、建築の地鎮祭にも凶日と言われています。
⑧ 三伏[さんぷく]
夏至以後の決まった3回の庚[かのえ]の日です。地域によっては夏至ではなく芒種の後という説もあります。種まき、旅行、結婚、移転、事業始めなどの凶日です。
⑨ 天赦日[てんしゃにち・てんしゃび]
何をするにも始めるにも最高の大吉日は、春夏秋冬の季節ごとに決まった六十干支の日となっています。年に5、6回しかないとても貴重な日です。
暦注は気にしだすと切りがないものですが、地方に行くとまだとても重視している地域もあります。あまり振り回されない程度に参考にしてくださいね。
「吉の選日」が
- 一粒万倍[いちりゅうまんばいび]
- 天一天上[てんいちてんじょう]
- 天赦日[てんしゃにち・てんしゃび]
「凶の選日」が
- 不成就日[ふじょうじゅび]
- 八専[はっせん]
- 三隣亡[さんりんぼう]
- 十方暮れ[じゅっほうくれ]
- 犯土[つち]
- 三伏[さんぷく]
まさケロンはこういうのあんまり気にしないけど、気にしてる人にも合わせていけるようにしよう!