失敗との上手な付き合い方
失敗をバネにする、分かってはいるけれど…。
皆さんは「失敗」と、どのように向き合っていますか?
失敗はできれば避けたいものです。 程度にもよるけれど、失敗をして褒められることは、ほとんどありません。注意を受けたり、時には叱責を受けたりすることもあるかもしれないでしょう。
とはいうものの、完璧な人問なんていません。万全の準備のもとで、細心の注意をはらって事に臨んでも、失敗するときは、失敗するものです。
『失敗をバネにする』でも、それが上手くできない、そんな思いを抱えている人のほうが多いのではないでしょうか。
そこで今回は『失敗との上手な付き合い方』をいくつかの事例を見ながら考えてみたいと思います。
失敗しなければ、この世に出ることはなかった?
ポスト・イット
付箋の代表といえば「ポスト・イット」です。
愛用している人も多いのではないでしょうか。この商品も実は「失敗」から、生まれているのです。
今からおよそ50年前のこと。強力な接着剤の開発中に「接着力は強いが、簡単に剥がすことができる」接着剤が出来上がりました。
本来ならこれは失敗ということになります。しかし研究者は「これ、何かに使えないか?」と考えました。
そのユニークな性質に注目したのです。さまざまなアイデアを試した結果、貼って剥がせるメモ帳ともいうべき「付箋」として世に出ることになったのでした。
ポテトチップス
次に登場するのが「ポテトチップス」です。
舞台はアメリカのあるレストラン。フライドポテトを注文したお客さんがクレームをつけてきました。ポテトが厚すぎる、というのです。
シェフは要望通り、通常よりも薄切りにして作り直すのですが、そのお客さんは納得してくれません。
「まだ厚い。もっと薄くだ」
そんなやり取りが何度か続き、さすがに堪忍袋の緒が切れたシェフは、これ以上出来ないほど薄切りにして揚げてしまいました。
出来上がった料理はもうフライドポテトとはいえないカリカリ状態のポテト。うんざりしていたシェフとしては「もう好きにしてくれ」という心情だったのでしょう。
ところがその客はこの料理を大絶賛するのです。
こうしてポテトチップスが誕生しました。
クレームにうんざりしたシェフが、いわば「匙を投げた形」でわざと失敗した料理が、お客さんの求めていたものだったとは、皮肉というか、とても興味深いですね。
コーンフレーク
朝食として日本でもファンが多い「コーンフレーク」も失敗が生み出したヒット作なのです。
いまから約120年前のアメリカ・ミシガン州で二人の兄弟が小麦粉を練って生地を作っていました。ところが二人とも用事でその場を離れてしまい、戻ってきたときには生地は乾燥しパサパサの状態に。
これは廃棄するしかないのでは。
でもその兄弟はもったいないと思い、生地をそのまま焼いてみることにしたのです。もともとパンを作るためだったので、焼けばなんとか食べられるのではないか、と思ったのかもしれません。
焼きあがった生地は、パンとは似ても似つかないフレーク状態になっていました。とりあえず食べてみると、サクサクして結構いい感じです。
コーンフレークの原型の誕生の瞬間です。
事例から学べること
失敗を失敗と思わない
三つの事例を紹介しました。これらから失敗との付き合い方を見ていきましょう。
「ポスト・イット」と「コーンフレーク」に共通しているのは
「失敗なのだけれど失敗だと思わない」
という考え方です。本来の目的とはズレた結果が出たとしても、失敗したと思っていません。それが成功へとつながっています。
「ポテトチップス」は顧客の要望から新たな物が生まれた例です。顧客の要望をはじめから否定せず(理不尽な要求は断固撥ねつけるべきだと個人的には思います)とことん付き合って新しい価値のものを生み出す。
まあ事例で紹介したシェフは最終的には「売られたケンカを買うような」行動に出てしまいましたが、それでも「そんなもの出来ないよ」ではなく、シェフとして料理という形で要望に近づけようとした姿勢が新しいものにつながっていったといえます。
失敗とうまく付き合うコツは、
「失敗を偏見の目で見ない」
ということになるかもしれません。皆さんはどう感じましたか?
「これ、何かに使えないか?」を一生懸命考えるのってめちゃめちゃ大事なことだと思うんだ。否定から入らないでとりあえずいってみようやってみようの精神、大好きだな〜。