無料なら喜ばれるはずなのに
購入した覚えはありません
筆者は20代前半のころ、アイルランドのロックバンド、U2にはまっていました。
彼らの曲はとにかくかっこよかった。
歌詞はもちろん英語なので歌詞カードを見なければ意味が分からないけれど、ノリで聞いていました。
社会問題をテーマにする彼らの曲作りはふつうのアーティストとは異なる魅力があり、影響されてギターを買ったりもしました。
最近になってあまりU2を聞かなくなってしまいましたが、当時はアルバムを買いあさっていました。
さて、U2のアルバムを買うにはお金を払わなければなりません。これはU2に限らず、ほかのアーティストについても言えることです。
もちろんラジオなどで曲を聴くぶんにはお金はいっさいかかりませんが、ファンとしてはやっぱりリリースされたアルバムは全部そろえたいと思います。いまCDはアルバムだと約3000円ほどです。
筆者がU2にはまっていた時代はインターネットの黎明期で、いまほど一般に普及していませんでした。
もちろんYoutubeなど存在しません。
好きなときに好きなアーティストの曲を聴くためにはお金を出してCDを買うしかありませんでした。
U2に熱狂していた当時の筆者はよろこんでお金を払っていました。
なんでお金を払わなきゃいけないのかなんて疑問にも思いませんでした。
だって、物を買うにはお金を払うのは当たり前だからです。
そして20年以上たった現在、不思議なことが起こりました。
U2のニューアルバムが無料で手に入ってしまったのです。
数日前、筆者のiphoneを確認したところ、U2の最新アルバム「Songs of Innocence」が勝手に
購入済み
となっているではありませんか。
もちろん購入した覚えはありません。
このときはまだことの次第を知らなかった筆者は、驚きました。詳しく確認すると、このアルバムを筆者はすでに購入しており、全曲ダウンロード待ち状態になっていました。
よろこんでプレゼントを受け取りました。
Appleといえば少し前にicloudの画像が流出し、問題になったばかりでした。
これもその被害の一部なのではないかと思いました。
筆者のクレジットカード情報が流出してしまい、不正利用されたのかと思ったのです。
そこでネットで調べてみました。そして初めてこれがAppleの無料キャンペーンであることを知ったのです。
むかし夢中になったU2の最新アルバムが無料でゲットできる。
さっきまでの心配はどこ吹く風とばかりに、即、全曲ダウンロードしました。
早速視聴。ひさしぶりに聞くU2はやっぱりかっこいい。
Appleも粋な計らいをするものだと感心しました。
世界中のAppleユーザーはさぞかし喜んでいることだろう、やっぱりAppleだ、やることがちがうなあと。無理してiPhoneに機種変してよかったと心の底から思いました。
ところが事態は筆者の思いもよらない方向に進んでいたのです。
今回のAppleのこの施策を必ずしもすべてのユーザーか喜んで受け入れたわけではないことはすでにみなさんもご存じだと思います。
以上、ネット上の反応です。
U2を知らない人もいるんですね、ジェネレーションギャップかな、確かに最盛期は過ぎたかもしれないけれど、世界的に有名なロックバンドなんだけどな、とちょっと寂しい気が個人的にはしますが…。
ユーザーからの意外な反応にAppleも困惑したことでしょう。
例えるなら孫におもちゃを買ってあげたら、「こんなものいらない」といわれたおじいちゃんの心境でしょうか。
当初、この無料配信のアルバムは有料サービスを利用していなければ削除できなかったそうですが、事態を重くみたアップルは削除可能にしたうえで方法をネット上で公開したそうです。
無料であれば誰もが喜んで受け入れてくれるというのは幻想だったということなのでしょうか。
反対意見の中には「メモリの容量を食うのに、勝手に配信するな」というものまでありました。
もちろんU2のファンでなければ最新アルバムはさして魅力あるものではないでしょう。
しかしここまで迷惑がられてしまうと、逆にこの現象、興味深いと思います。時代なのかもしれませんね。
世代間のギャップというものを言い訳や理由にするのはあまり好ましくないと筆者は思うのですが、無料だからなんでももらっておこうという考えは古いのかもしれないですね。
無料でプレゼントされたという喜びよりも、アカウント乗っ取りとか、聴きたくない曲を勝手にダウンロードさせられた、あるいは容量を食うという方向に考えてしまうんですね。
それから音楽の好みって意外と強いということがわかりました。
好きなアーティストの曲は有料でも聞きたいけれど、好きではないアーティストの場合は無料であっても聞きたくないということなのですね。
筆者は貧乏性なのでしょうか、たとえばまったく興味のないAKB48のアルバムであっても無料でプレゼントされるのであれば、筆者は喜んで受け取りますが…。
もし任意のダウンロードであれば違う結果だったのかも
有無をいわさず配信という方法は多少乱暴だったかもしれませんね。
希望者は無料でダウンロードできますよ、という方法だったらこんなに反発はなかったかもしれません。
また、タイアップというやり方にユーザーが過剰に反応したのかもしれませんね。
今回の騒動で一番気の毒なのはU2ではないでしょうか。せっかくのニューアルバムなのにさんざんな言われようです。もっとも、宣伝にはなったのかもしれませんが。
最後に一言、今回の無料配信でU2を初めて聞くというユーザーのみなさん、とにかく一度じっくりと聞いてみてください。こんなパワフルなバンド、世界広しといえどそうそういるものではありませんよ。
U2はみんなにも一度は聴いてみてほしいな~。
まさケロンはもう持ってるけど、無料ならいくらでももらうよ~。