喫煙所にて
個人情報を売ってタバコをもらった?
ある休日のことです。
大型ショッピングモールにて買い物をしていました。
タバコが吸いたくなり、喫煙所に行くと、ちょっとその場にそぐわない女性を見かけたのです。
キャンペーンガール(この表現、昭和っぽいですね)のような衣装を着ています。
なんかの販促キャンペーンの仕事をしていて、休憩中に一服しているのかなと思ったのですが、タバコは吸っていませんでした。
彼女は筆者のそばに寄ってくると、
と訪ねてきました。
断る理由がないため、同意すると彼女はタバコの新製品の説明をテンポよく始めました。
そして最後に、
と聞いてきました。
これも特に拒否する理由もないので言われたとおりにしました。
最後に彼女は新商品のサンプルをくれました。
やった、タダでタバコをもらったぞ。
キャンペーンガールは同じように何人かに声をかけていました。
ほとんどの人が快く応じていたようです。
まあ、タバコの販促だったわけですが、後で考えてみるとしっかりとタバコ会社のマーケティング・リサーチに協力したことになります。
筆者がいま吸っているタバコの銘柄という情報をその会社は得たわけです。
喫煙者に人気のあるタバコは何なのか。
そのなかでどのような戦略を立てれば新製品のシェアをのばすことができるのか、そのための資料を筆者は試供品と引き替えに提供したとも考えることができます。
吸っているタバコの銘柄も個人情報
たとえば、「タバコのバーコードをスキャンさせてください」という依頼に対して、
「それは個人情報なので承諾できない」
と反論したらどういうことになるでしょう。
「自分の好きなタバコの銘柄」が果たして個人情報に該当するかどうかは諸説あると思いますが、人によっては立派な個人情報であるという解釈も成り立ちます。
ここまで考えて、ふと筆者の中でひらめくものがありました。
個人情報を売ってお金を稼ぐようなことはできないのか?
個人情報の売買といえば顧客情報などの他人の情報を売ることをイメージしやすいです。
たしかにそのようなビジネスは実在しますが、違法です。
筆者の考えた個人情報の売買とは、自分の個人情報を同意のうえで売るというものなのです。
自分の趣味、嗜好を商品にする
ポイントカードの進化系
すっかり市民権を得たポイントカード。
これは購入金額に応じてポイントがたまるというサービスですが、企業側には別のメリットがあります。
顧客の年齢、購入した商品などの情報が収集できるのです。
これらの情報はマーケティングに反映されます。
コンビニを例に取れば、平日のこの時間帯はおにぎりがよく売れるから多く仕入れておこう、などという戦略がたてられるのです。
筆者が思いついた個人情報売買はこれを発展させたものです。
たとえば、筆者は無類の読書好き。家庭をもってからはさすがに自重していますが、以前は毎日一冊本を購入していました。
書店や出版社からみれば理想的なサンプルといえるのではないでしょうか。
そんな筆者が本の購入履歴を情報として販売するのです。
40代の男性がどのようなジャンルの本を購入しているのかを把握でき、書店にとっては商品の品ぞろえの際のヒントになると思います。
また、クレジットカードの購入履歴を売るというのはどうでしょう。
これもマーケティングに関してはかなり有益な情報となり得ます。
筆者の考える個人情報売買はいわばポイントカードの進化系といえます。
使用しているアプリも商品価値がある
また、スマートフォンにどのようなアプリをインストールして使っているか?
通勤時間帯に頻繁に閲覧するサイトは? といった情報も商品価値が高いと思います。
情報として価値があるのであれば、一日のトイレの利用回数、睡眠時間、健康状態なども売ることができるのではないでしょうか?
筆者の一日の行動がすべて商品になり得るというわけです。
この記事を読んでおられるマーケティング担当者様、ぜひ検討してみてください。
ビジネスとして大きく発展する可能性大のなかなか素晴らしいアイデアだと思うのですが。
個人情報売買サービスはすでに存在していた
Datacoup
と、ここまで書いて筆者は
「もしかしたら自分にはビジネスのセンスがあるのかもしれない」
などと妄想し、クラウドファンディングで資金を募って本気で起業してしまおうかしら、とさえ考えました。
でも、なんかイヤな気がするので、一応ネット上で同様のアイデアが発表されていないかどうか調べたのです。
その結果、筆者が考えた個人情報の売買はすでにサービスとして実在していました。筆者ごときが考えるアイデアなどとっくの昔に考えられていてすでに動き出していたんです。
悔しいですが、まあ筆者の考えもそれほど現実離れしていないアイデアだったことが証明されたわけです。(と前向きに考えることにしました)
そのサービスとは「Datacoup」という名称です。
以下にリンクを張っておきます。
この「Datacoup」はクレジットカード情報やアカウントを取得しているSNSと連携させることで、必要な情報を売り、お金をもらえるというものです。
もちろんクレジットカード情報は暗証番号などは収集されず、購入履歴のみ販売することになります。
SNSと連携させることで趣味・嗜好などを閲覧履歴から抽出し販売できます。
ホームページを見ると分かると思いますがすべて英語で書かれており、支払いはドルになります。
ネット上では「Datacoup」を利用したレビュー記事がいくつかアップされていました。
これによると自分の情報の価格は、価値によって値段が決まるようで、
- 一番価格が高いのはクレジットカードの購入履歴
- 安いのはSNSの閲覧履歴
あるレビューでは「Google+」と連携させたときの情報価格が0.24ドル、およそ26円となっていました。
自分の個人情報を販売して利益を得ることはできるんだね!
儲けのためってよりは、情報提供して世間に貢献しつつお小遣いをちょこっともらおう、くらいがちょうどいいかもしれないね。