知っているようで知らない確定申告
サラリーマンにとってはブラックボックス
今年も確定申告の時期が近づいてきました。確定申告からイメージする言葉は
- 「手続き」
- 「書類」
- 「税務署」
- 「混雑」
など、「めんどくさい」という印象が強いものばかりです。
時期が近づくと税務署以外の場所、たとえばショッピングモールのイベントスペースなどで相談コーナーなどの関連イベントが行われたりして、そんな光景を横目でながめながら、
「確定申告なんて個人事業者がメインだろ。我々のようなサラリーマンには縁のない世界だ」
なんて思ったりします。
でも所得を受け取っている者は、かならず確定申告を行っているわけです。サラリーマンも例外ではありません。
自分で申告するか、会社が代行してくれるかの違いです。個人事業者と違い、自分で手続をしないサラリーマンにとって確定申告はブラックボックスです。
なんとなく給与明細を眺めていて、今月は若干金額が多いなと思い、よく確認してみると還付金がプラスされていたという程度で、あまり意識したことはないと思います。
税金は払わなければならない。納税の義務があります。でもできればその金額は少ないほうがいい。
光熱費や家賃などただでさえ払わなければならない費用が多いのです。今回は確定申告について見ていきたいと思います。
そもそも確定申告とは
確定申告が何であるかは、社会人であれば漠然としてではありますがみなさん把握していることでしょう。
ここでは再確認の意味で確定申告とはどういったものであるのかを見ていきたいと思います。
私たちは税金を払わなければいけません。仕事をして得た給料、言い換えると所得、にも税金が課せられています。
というわけです。
所得は基本後払いです。たとえば2月に働いた分の給与は3月に支給されます。
そうでないと残業代などに代表される諸手当が計算できません。
アルバイトなどの時給計算で給与をもらう場合は、働いた日数や時間は事前に計算できません。欠勤などの可能性もありますからね。
さてこのような特徴をもつ所得にたいして支払わなければならない税金の金額を決めるためにはどうしたらいいのでしょう。
各個人の正確な月収やもっと範囲を広めて、年収は月が変わったり、年が変わったりしないと把握できないのです。
そのために所得に対する、課税額は予測にならざるをえません。
といった判断になるのです。
この方法で算出された課税額、つまり税金として払わなければならない金額はあくまでも「だいたい」であり、おうおうにして多すぎることがほとんどのようです。
税金を受け取る立場から見れば「ちょっと多くもらっちゃったけど、まあ多い分にはいいか」ということになるでしょうが、払う立場からすれば「多く払った分は返してくださいね」ということになりますよね。
そこで登場するのが今回のメインテーマである「確定申告」です。
予測で払った、所得に対する税金を返してもらうために、昨年の収入はこれだけでした、と報告する手続きが「確定申告」なのです。
ちょっと話がそれますが、それならば「確定申告」というネーミングはちょっとイケてないと筆者は思います。
誰が考えたのかは謎ですが、払いすぎた税金を返してもらうための手続きなのだから、それがすぐイメージできる名前にするべきです。
「所得税差額返還キャンペーン」
とか
「過剰所得税キャッシュバック」
というネーミングはいかがでしょう。
話を本題に戻します。
確定申告がどのようなものであるかが理解できたうえで、気がつくことがあります。
お金が返ってくるのだから、申告を行ったほうがいいということです。筆者は過去に数年間フリーで働いていた時期がありましたが、確定申告がどのようなものであるのかをはっきりと把握していませんでした。
税務署に行って手続きしなければならない、めんどくさい、記入に誤りがあると徹底的に訂正させられる(らしい)というイメージが強かったので、確定申告は避けていました。フリーなのに確定申告をしないというのも問題があると思いますが、
「どうせ、煩雑な手続きをしたって還付金なんかわずかな額だろう」
という「あきらめ」みたいな気持ちが作用していたような気がします。
まあ筆者の場合は社会人として考え方が甘いですが、還付金ということを抜きにしても、
「私の所得はこれだけでした」
と申告しておくことは、働いてお金を稼いで、消費するという経済活動を行っている立場としては重要なことだと思います。
会社員でも自分で申告しなければならないケースもある
サラリーマンであれば会社が申告してくれるので、特に意識する必要はありませんが、サラリーマンであっても自分で確定申告を行う必要があるケースがいくつかあります。
給料が2000万円を越える人
これは2000万円以上の所得だと会社が代わりに行うことができないからだそうです。
給与や退職金以外で20万円を超える所得がある人
こういった人は自分で申告を行わなければなりません。
また申告をすれば控除の対象となり、けっか節税につながるという場合もあります。
結婚をした。子供が産まれた。マイホームを購入したという場合です。
以上3つのケースの場合、条件を満たせば、控除の対象となります。
ちなみにこれらの控除は会社が代理で行う申請の対象外となりますので、控除を受けたい場合は、自分で申請を行う必要があるのです。
白色申請、青色申請って?
個人事業者向け
確定申告でよく耳にする
- 「白色申請」
- 「青色申請」
とはどのようなものでしょうか?
まさか申請書の用紙の色が選べるというわけではないでしょう。
まず簡単にいってしまえばこれらは個人事業者向けの申告の種類ということになります。
個人事業者にとって確定申告は必須です。自分で申告の手続きをしなければ誰も代わりに行ってくれません。
個人事業者にとって、
という情報は大変重要です。税金も含めて(払わなければいけない金額は別として)できる限り出費は押さえたいものです。
「白色」「青色」はそのような個人事業者を対象としたもので、特に「青色」は個人で事業を興している人たちにとって優遇措置という特典がついています。
白色申告
「青色申告」に見られるような特典はありませんが、その分要求される帳簿の記帳方法が簡単です。
特に前々年、前年の所得が300万円以下であれば記帳の義務がありません。
所得が300万円を越えると記帳と帳簿の保存が義務づけられます。
※平成26年より、すべての白色申告者に対して記帳と帳簿の保存が義務づけられました。
ただし簡単な方法で済む「単式簿記」による記載でOKです。
「白色申告」はいわば個人事業者向けのベーシックといえます。
では、個人で事業を興した人はまず「白色申告」を利用するべきなのかというと、そうでもないようです。
判断すべきは事業の規模です。規模によっては始めから「青色申告」を利用した方が有利な場合もあります。
青色申告
「青色申告」には2種類あります。
「青色申告特別控除」という特典があるのですが、控除の金額が10万円と65万円の2つが用意されています。
どちらを利用するにも、まず「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
「白色申告」との大きな違いは「特典」です。
先に書いた「青色申告特別控除」のほかに
- 「青色事業専従者給与」
- 「赤字の3年繰り越し」
などの優遇措置が特典として受けられるようになります。
「青色申告」の65万円控除の場合は、帳簿の記入方法は、お金の動きをより詳細に記入しなければならない「複式簿記」での記帳が記帳が義務づけられており、「白色」や「青色10万円控除」のような「単式簿記」は認められません。
また「貸借対照表」と「損益計算書」の提出も義務づけられています。
重複しますが、ここまで見てきたように「青色申告」のほうがより事業を行う側にとって有利な優遇措置が得られます。
そのため個人事業者のなかには始めから「青色申告」を利用することを勧める人たちもいます。
いずれにしても事業の規模によって選択することが重要と言えるのではないでしょうか。
まとめ
なかなかわかりづらい「確定申告」と、身近でないぶん今一つ把握できていなかった「白色申告」「青色申告」について基本的なことがおわかりいただけたのではないでしょうか。
今回の記事を書くにあたり、いろいろと調べていくなかで感じたことがあります。
それは「確定申告」は税金を納める側にとって優しい措置であるということです。
正直、税金を納める立場で考えるとやっぱり返してもらえるのであればたとえ少額でも戻ってきてくれればうれしいし、確定申告を行うことによって自分の収入というものを具体的に把握できるメリットは大きいと思います。
会社勤めの人たちは、自分で行う必要がなく、従って自分の年収などは意識しなくても良いようにはなっていますが、たとえば還付金が昨年より少なかった場合を考えてみると、これは逆に収入があがったということになるのではないでしょうか。
こういうことがわかるとモチベーションがあがると思うんです。
最近は会社を頼らず、事業を興して生計をたてようと考える人が増えてきていると聞きます。
そんなとき「白色」「青色」について基本的なことでも理解していれば、事業の運営に有利になります。
今回は「確定申告」がテーマでしたが、知らないことを調べて、基本的なことだけでも理解すると世界が広がっていくものなのだな、と強く感じました。
ここのサイトの管理人は、会社で雇われて働きながら個人でTRENDRIPPLE(とれんどりっぷる)とか色々やってるから、確定申告してるよ!
「全部自分で調べたらけっこう苦労した~」とか言ってたから、初めての人は税務署に行って聞きながらやるのがいいと思うな。