近年、マナーの悪さでメディアに取り上げられることが多くなった「自転車」。
手軽に乗れるし、小回りも利いて便利。それにエコだし、健康維持にもお役立ち。
中年太りを気にし始める世代でも、通勤に利用する人が多くなってきました。
学生やママ達の乗り物というイメージではなくなってきています。
利用者が増えたことで、事故まで増えてしまうのは残念なこと。でも、自転車にヒヤッとさせられたことありますよね。
自転車が危ない!
自転車の存在が…
小学生の登校時、通学路に立って子ども達を見守る保護者当番。
信号のない交差点などでは旗を持って、子ども達と車の往来を調整する地域もあると思います。
以前は車との接触がないように気を付けておけばよかったのですが、ここ10年くらい前からは自転車の往来の方が気になるようになりました。
ひどすぎる状況
例えば駅に近い十字路などでの場合。
車だとその殆どが必ず一時停止をして安全確認をしてから通るのですが、自転車はお構いなし。
子どもがたくさん通ると分かっている場所なのにノンストップで突っ込んで来ます。
その時間が通勤時間帯でもあるせいで、急がなくてはならないのは分かりますが、それを考慮してあげたとしても「ひどすぎる状況」です。
そして、それは年々悪くなっているのです。
雨の日
雨の日は特に危なくて、傘を片手に自転車に乗っている人が多く、そんな自転車が複数台通過していくことによって視界が悪くなります。
歩行者も当然傘を持つので、そこを通る全員の見通しが極端に悪くなり非常に危険な状態になっているのです。
私が当番をしたその日も雨。
サラリーマン風の若い男性が傘を持って片手で運転。その自転車がバランスを崩し転倒。
それが原因で後ろから来た自転車に接触され、複数の人が巻き込まれた場面を目撃したこともありました。
幸い大事には至らなかったものの、そこに子ども達が巻き込まれていたらと思うとゾッとします。
その罪は重いのです
これは常識レベル
自転車の危険な乗り方でわりとよく見かけるのが、
- 携帯電話の操作をしながら
- 傘をさしながら
- 複数で並走
- 無灯火
などですよね。
そしてなかなかパッと見では分かりませんが、実は多いのではないかと思われるのが飲酒運転。
車の飲酒運転と同じく「ばれないだろう」という意識があるのでしょう。
自転車の場合は、車の場合よりも罪悪感が少なかったりするのかも知れません。
9,500万円の損害賠償
それでも自転車が加害者になる事故は決して少なくありません。
メディアが大きく報じた記憶に新しい自転車事故といえば、事故当時小学5年の男児が自転車に乗って坂道を下っていたところ、前方を歩いていた歩行者と衝突。
転倒して頭を強打した歩行者は意識が戻らず寝たきりの状態に。
損害賠償9,500万円の支払いを男児の母親に命じる判決となりました。
自転車だって高額賠償
このほかにも無灯火で自転車を運転中に歩行者と衝突した事故では2,500万円。
無灯火の上に携帯電話を操作しながら運転していて歩行者と衝突した女子高生に5,000万円。
電柱を避けるために車道へ出てきた歩行者と衝突し後遺障害を負わせてしまったケースで3,100万円(この時自転車側は無灯火)。
歩道の真ん中で立ち止まって携帯電話で通話していた歩行者に追突したケースでは50万円。
無灯火や携帯電話の操作をしながらの運転、信号無視、飲酒運転などの場合は高額賠償を命じられるケースが多いようです。
これは自転車に乗る側の人間に対しての警鐘だと受け取るべきでしょう。
自転車利用の5原則
政府が挙げたルールとマナー
「政府広報オンライン」では、自転車のルールとマナーについて次の5つを挙げています。
- 自転車は車道を走行するのが原則。歩道を走行するのは例外。
(その例外とは…標識、標示で指定された場合。運転者が13歳未満の子ども、または70歳以上の高齢者、身体の不自由な方の場合。車道や交通の状況から見て、止むを得ない場合。) - 車道の左側を通行。
- 歩道は歩行者優先、歩道を通行する場合は車道寄りを徐行する。
(自転車のベルを鳴らして歩行者に道を空けさせたり、スピードを落とさず歩行者を追い越すのはルール違反。) - 安全ルールを守る。
- 夜間はライトを点灯
- 飲酒運転は禁止
- 二人乗り禁止
- 並進は禁止
- 信号を守る
- 交差点での一時停止及び安全確認
- 13歳未満の子どものヘルメット着用。もちろんそれ以上の年齢でも着用するのが望ましい。
自転車で歩道を通行する時
内閣府の「自転車利用のルールとマナーに関する国民アンケート調査」の結果を見ると、
- 「歩道を通行する自転車利用者の割合」は72.6%
「歩道のどの部分を通行するか」という質問では
- 「車道寄りを通行することが多い」が38.9%
- 「特に気にしていない」が30.4%
「出来るだけ車道寄りを通行するから歩道がいい」ということでしょうか。
それぞれの言い分
自転車は軽車両と位置づけられていますので、例外を除いては基本的には車道を通行しなければなりません。
しかしながら自転車の利用者からは「車道を通行するのが怖い」という声が多いのも事実。
といった意見があるのです。
もちろんその一方で、車の利用者からは
という意見も。
自転車、歩行者、車…それぞれにそれぞれの言い分があるのは仕方のないことなのかも知れませんが、まずはルールやマナーをちゃんと分かっているのかが問題点のひとつでもあります。
自転車利用者の意識が低い
ルールやマナー、教えてもらった?
その「交通安全教育やルール、マナーの周知徹底の必要性」を認識している人の割合は高いという結果が出ています。
しかし、取り締まりや罰則強化については歩行者と車の利用者が強く求めているものの、自転車利用者の意識は低いという結果になっているようです。
実際に
と答えた人は高齢になるほど多く(中には受けたかも知れないけど記憶にないという人も含まれている)、40歳代以下では
という人が多くなっています。
大人になるほど、マナーが悪くなる
しかし小学校での教育だけではなく、その後も継続的に行なう必要があるという意見が多くなっています。
無灯火や並進、携帯電話を操作しながらの運転などの悪質なものは、中学生以上の年齢層で増えていくので、中学・高校はもちろん、保護者や高齢者も参加出来るシステムを作ることがベターだと言えそうです。
アナタは知っていましたか?
ちなみに
- 「原則として“自転車歩道通行可”の標識のない歩道を通行してはいけない」ということを知っている人は59.7%
- 「自転車のベルを鳴らしてはいけない」を知っている人は59.8%
となっています。
進入禁止、一方通行、車両通行止めは自転車も含まれます(補助標識がある場合を除く)。
自転車を利用する人は、その標識を覚えて運転する際はきちんと確認しなくてはなりません。
都合の良い時に
本来ならば自転車に乗り始める前や、乗れるようになってすぐの頃。
なるべくなら一般の道路を一人で通行する前に、まず指導を受けておきたいもの。
しかし自転車に乗れるようになる時期は、みんなそれぞれ違います。
また、保護者が一緒に学べる方がより効果的。
そうなってくると、両親が働いているのが当たり前になっている時代に、みんなの都合を合わせようとするのは至難の業。
それならば自分達の都合の良い日に、「交通ルールを親子で学べる場所」に行っちゃえばいい!ということになりますよね。
交通公園に行ってみよう
交通ルールが学べます
ご近所にあるかどうかは分かりませんが、わりと多いのが「交通公園」と呼ばれる施設。
その昔は今をときめく麻布十番にも規模は小さいものの自転車公園があり、良く子ども達が遊んでいました。
今回は福岡県北九州市にある北九州交通公園を例にとって御紹介します。
ここは北九州市指定管理者のNPO法人タウンモービルネットワーク北九州が運営をしている施設で、入園は無料。
更に自転車の貸し出しも無料となっています。
この公園は
というのがコンセプト。
専門の指導員が正しい交通ルールの指導を行なってくれます。
世間を体感?
屋内ではビデオやパネルを使って正しいルールや危険な行動を分かりやすく説明。
また幼児や児童の団体向けには、交通安全アニメ映画も上映されています。
屋外のスペースには、市街地を模した「一般コース」があり、実際に自転車に乗って交通ルールを体感できます。
また「基本コース」では自転車の練習も出来るようになっています。
自転車運転免許証
ここでは「自転車運転免許」の取得が可能。
対象者は小学校高学年となっていますが、低学年から中高生、一般まで取得することが出来ます。
この施設では第3土曜日に行なわれていることが多いようですが、事前に確認することをおススメします。
- 講習会(35分)
- 交通ルールの基本
- 安全な運転の知識
- 学科試験(15分)
- ○×解答方式1問4点×25問 合格基準80点以上
- 実技試験(1人約10分のコース走行)
- まず実技講習を受けてから試験になる
- 北九州市自転車運転免許証の交付
免許証には写真を入れることが出来ます。
講習会を実施してくれます
また保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校そして保護者や高齢者向けにも、それぞれの年齢に合わせた内容の講習会を出張で行なってくれます。
ルールは変わっていくものなので、一生に一回受ければ良いというものではありません。
自動車免許の更新のように、定期的に受けられることが理想です。
この施設では交通安全・自転車教室、ダミー人形での衝撃実験などがあるそうです。
自転車は手軽、それがNG
罰則は軽くても損害賠償は重いのです
交通事故全体の件数が減少傾向になりつつある中で、交通事故全体における自転車関連の事故の割合は、この10年で増加しているそうです。
自転車は車両である=危険
という認識が足りないことが大きな原因といわれています。
罰則も
この程度のものが中心で、厳しいものでも飲酒運転の
となっています。
罰則が軽いといっても、前出のように高額な損害賠償を命じられることも覚悟しておかなくてはなりません。
自転車保険
これだけ普及している自転車でも、自転車保険に加入している人は全体の10%にも満たないのではないかといわれています。
そこにも危険という認識の低さが表れています。自転車保険の保険料は決して高くはありません。
1年で4,000円程度のものからありますし、単独ではなくレジャー保険の中に組み込まれているものもあります。
また幼稚園から大学生まで入れるような学生専用の保険もあり、これにはだいたい個人賠償責任補償が付いています。
この個人賠償責任とは
「事故により他人にケガをさせたり、他人が保有している物を壊したりした場合の賠償責任に備える補償」
です。
学生保険の場合は1事故に対し、最高で2億円の補償をしてくれるものもあるので、やはり入っておくと安心です。
走る凶器
2015年6月から改正道交法が施行されます。
(信号無視、一時停止違反、歩道での徐行違反、ブレーキのない自転車での通行など)
に当てはまる運転をした場合、警察から指導もしくは警告等を受け、これに従わないと違反切符を交付されてしまいます。
2回以上の交付で3時間の講習を受けなければなりません。受講しない場合は5万円以下の罰金となります。
気を付けて自転車に乗ることは当然ですが、止むを得ず自分や我が子が加害者になってしまうこともあるのです。
「自転車は手軽な乗り物」という意識を改善し、「走る凶器」という一面を持つ乗り物であることを強く認識し、これからの世代に伝えていかなくてはいけません。
自転車ってかなりの確率で一時停止した自動車とかバイクを追い越していくよね。
こないだバイクが「止まれ」の一時停止線で一時停止した直後、自転車がものすごいスピードでバイクを追い越そうとして、バイクが発進したらぶつかりそうになってた。一時停止と安全確認はしなさい!